今日の国内市況:株式は反発、債券下落-円じり高、欧州包括策合意

東京株式相場は3日ぶりに反発し、 主要株価指数は1カ月ぶりの上昇率となった。欧州連合(EU)が債 務危機封じ込めの包括策で合意し、債務・金融システム問題への懸念 が後退した。銀行や証券、保険など金融株が東証1部33業種の上昇率 上位に並び、為替のユーロ堅調や米国景気の改善期待も後押しし、電 機など輸出関連、商社株も高い。

TOPIXの終値は前日比16.31ポイント(2.2%)高の762.79 で、9月16日以来の高値。日経平均株価は178円7銭(2%)高の 8926円54銭ときょうの高値で引け、9月2日以来の高水準となった。

EU首脳らは26日、域内銀行に対し、保有ソブリン債の評価を引 き下げた上で、2012年6月30日までに中核的自己資本比率を最低9% とするよう求めることで合意。さらに、東京時間27日午前には、ギリ シャ債の50%損失負担や欧州金融安定化基金(EFSF)の実質拡大 について、レバレッジ(てこ)を効かせて規模を現在に比べ最大5倍 の1兆4000億ドル(約106兆円)にすることでも合意した。

一連の欧州の動きを受け、ユーロは対ドルや対円で上昇。さらに シカゴ24時間電子取引システム(GLOBEX)の米S&P500種指 数先物は、合意内容の詳細が伝えられると、東京時間午後にかけてじ り高となり、海外株高期待も加わった日本株は一段高となった。

幅広い業種が買われる中、業種別では証券・商品先物、保険、銀 行、その他金融株が業種別上昇率の上位を占めた。金融システム不安 による世界的な金融株安傾向に歯止めがかかると期待され、三菱UF Jフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループの上 昇率はともに5%超。野村ホールディングスが7.7%高、オリックス は3.5%高、東京海上ホールディングスは6.9%高となった。

東証1部の売買高は概算で18億533万株、売買代金は同1兆1179 億円。代金はきのうまで8営業日連続で1兆円を下回り、1兆円割れ の連続記録は約7年9カ月ぶりの長期に及んでいたが、きょうは9日 ぶりに大台を上回った。値上がり銘柄数は1283、値下がり291。

債券下落、日銀会合結果で午後一段安

債券相場は下落。欧州債務問題に対する懸念の緩和で株高・債券 安となった米国市場の流れを引き継いで売りが先行した。日本銀行が きょうの金融政策決定会合で資産買い入れ等基金の増額を決めたが、 一部で期待されていた国債残存期間の長期化が見送りになったことで 午後に相場は一段安となった。

東京先物市場で中心限月12月物は、前日比横ばいの142円66銭 で始まり、142円58銭まで下落。その後、買いが増えると3週間ぶり 高値となる142円70銭を付けたが、午前終了にかけて水準を切り下げ た。午後に入って日銀会合結果の発表後にいったん142円70銭を付け たが、直後から売りが増えて142円49銭まで下落。結局は14銭安い 142円52銭で引けた。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の318回債利回 りは、前日比1ベーシスポイント(bp)高い0.995%で始まり、その後 は0.99-0.995%で推移。午後2時過ぎから水準を切り上げ、前日比

2.5ベーシスポイント(bp)高い1.01%と2日ぶり水準まで上昇した。 5年物の99回債利回りは1bp高い0.355%。一方、2年物の310回債 利回りは0.14%と、前日入札後の0.145%からやや低下している。

日銀は27日、同日開いた金融政策決定会合で、資産買い入れ等基 金を「50兆円」から「55兆円」に拡大することを8対1の賛成多数で 決定したと発表。反対は宮尾龍蔵審議委員で同委員は60兆円への増額 を提案したが、反対多数で否決。政策金利は0-0.1%に据え置いた。 市場では、日銀が国債買い入れ年限の長期化を見送ったことにやや失 望したとのと指摘が出ていた。

こうした中、日銀はこの日午後、半年に1度の経済・物価情勢の 展望(展望リポート)を公表した。2012年度の見通し(委員の中央値) は、実質国内総生産(GDP)成長率が海外経済の減速などから7月 の中間評価時点のプラス2.9%からプラス2.2%に下方修正。消費者物 価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比は基準改定の影響でプラ ス0.7%からプラス0.1%に下方修正された。

円が対ドルでじり高

東京外国為替市場では、午後の取引で円がドルに対してじり高に 推移した。日本銀行が資産買い入れ等基金の増額を発表した直後はや や円安に振れたものの、市場では当局の円売り介入を見極めたいとの 姿勢が根強く、円の下値は限定的となった。

1ドル=76円ちょうど近辺で推移していたドル・円相場は、午後 に日銀の金融政策決定会合の結果が伝わると、76円25銭前後まで円 安が進行。しかし、持続的な円売りの動きにはつながらず、その後75 円86銭まで円がじりじりと値を戻し、午後3時35分現在は76円88 銭付近で取引されている。

一方、欧州各国は26日から開いた首脳会議で債務危機封じ込めに 向けた包括策で合意。対策を強化するように求める世界からの圧力に 対応し、ギリシャ債務の民間投資家の損失負担を50%とし、救済基金 の実質的な融資能力を1兆ユーロ(約106兆円)に拡充するほか、銀 行の資本増強を決めた。

ギリシャ債務のヘアカット(債務減免)をめぐっては、ぎりぎり まで欧州首脳陣と負担を強いられる域内銀行団との間で交渉が難航し ていたが、世界の銀行業界を代表する国際金融協会(IIF)のダラ ーラ専務理事は最終的に合意する声明を出している。

ギリシャ債務の負担をめぐる合意後は、ユーロが上昇基調を強め、 ユーロ・ドル相場は午後の取引で一時1ユーロ=1.4014ドルと、9月 8日以来の水準までユーロ高が進行。朝方の取引では銀行団との交渉 をめぐる不透明感を背景に1.3864ドルまで下押しされる場面も見ら れていた。

ユーロ・円相場も一時1ユーロ=106円51銭と、19日以来の水準 までユーロ高・円安が進んでいる。