FOMCの13番目のメンバー「ティールブック」の公開求める声も

フランスの銀行BNPパリバがニ ューヨークに置くトレーディングデスクで働くジュリア・コロナド氏 は、米連邦準備制度理事会(FRB)が9月21日の連邦公開市場委 員会(FOMC)後に発表した声明に盛り込まれた「著しい下振れリ スク」という表現が、米経済を下支えしようとするFRBの最新の試 みを損ねるものだとみている。

この表現が景気見通しについて警告する一方、リスクの重大さに ついては何の手掛かり示していないためだ。7つの段落から成るFO MCの声明で、FRBは来年6月にかけ残存期間が6-30年の国債 を4000億ドル(約30兆4000億円)購入し、期間が3年以内の国 債を同額売却すると表明。失業率は徐々にしか低下しないものの、景 気回復ペースが若干上向くと当局者が見込んでいることを明らかにし た。

9月のFOMC以前、FOMCのメンバーはもっとずっと詳細な 予想を目にしていた。バーナンキFRB議長のスタッフである博士号 を持ったエコノミスト50人程度が6週間ごとにまとめる「ティール ブック」だ。そこには、失業率や経済成長率、インフレ率の数値予想 が小数点以下まで示されている。

ティールブックはあまりにも影響力があるため、12人から成る FOMCの「13番目のメンバー」とも呼ばれているが、FRBは5 年間、その公表を控えている。

具体的な数値予想がないため、FRBが発表する声明の文言を解 析するのがコロナド氏のようないわゆる「フェドウォッチャー」の仕 事となっている。先月のFOMC声明の表現については、債券は「買 い」、株式は「売り」時であることを意味すると投資家は判断。その 日のS&P500種株価指数は前日比3%安で引けた。

「説明責任」

FOMC後に声明が出されるたびにニューヨークからマイクを通 じて数百人いる社内のトレーダー向けに自身の解釈を説明する北米担 当チーフエコノミストのコロナド氏は「この声明は多くの人を驚かせ 混乱させた」と話す。

2008-09年の金融危機時のFRB融資について、米議会と連邦 裁判所は前例のないディスクロージャー(情報公開)を命じた。これ を受け、FRBは透明性を広げ、ティールブックに記された見通しの 公表を始める必要があると考えるエコノミストや投資家が増えている。

元FRB副議長のアラン・ブラインダー米プリンストン大学教授 は、「地区連銀総裁が一定の説明責任を負わなければならないように、 FRBのスタッフもその仕事に対し一定の説明責任を負う必要がある」 と指摘。「私は常にスタッフによる見通しを公表すべきだと主張して いる」と語る。

FRBのデービッド・キッドモア報道官は電子メールで、FOM Cはスタッフ見通しを公表するかどうかという問題を検討してないと 説明、「スタッフによる見通しよりむしろ政策を決める当局者の見通 しが金融政策決定のベースを形成する」とコメントした。毎回のFO MC議事録には、見通しに対するFOMCメンバーの見方が反映され ていると付け加えた。