欧州首脳会議、包括戦略の合意先送り濃厚-民間損失負担で協議難航

欧州連合(EU)は26日の首脳 会議で、第2次ギリシャ救済の一環であるギリシャ債民間保有者の損 失負担をめぐって銀行団との間で妥協点を見いだせず、交渉は難航し ている。このため、首脳会議で包括的な危機打開策で合意する可能性 は低くなった。

ブリュッセルでEUと協議していた国際金融協会(IIF)は26 日深夜に声明を発表、「いかなる要素に関しても合意に至っていない」 ことを明らかにした。IIFは世界の金融機関450社を代表する団体。

IIFのダラーラ専務理事は同声明で、「われわれは自主的な合意 を目指す対話の扉を依然開けている」と述べた。また債務削減の規模 などの詳細に関して合意は成立していないとした。

ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は事態の打開 を図り、首脳会議を抜けて、ダラーラ専務理事とファンロンパイEU 大統領、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事と協議した。そ の後、27日午前0時45分に首脳会議は再開した。

首脳会議では欧州の銀行資本増強策では合意した一方で、4400億 ユーロ(約46兆5000億円)の救済基金の欧州金融安定ファシリティ ー(EFSF)の実質拡大案については協議継続。銀行など民間投資 家のギリシャ債務の損失負担で行き詰り状態となっている。

担保で対立か

EU当局者が匿名を条件に語ったところによると、債券保有者側 はギリシャ債務の50%の減免で意見がまとまりつつあるが、担保の部 分で対立している。このため首脳会議ではさらなる協議を行うとの表 明にとどまる見通しだ。

EU首脳会議後に発表された声明では、2012年6月30日までに 銀行が、保有するソブリン債の評価額を引き下げた後での狭義の中核 的自己資本(コアTier1)比率を9%以上とすることが盛り込ま れた。

EUの銀行監督当局である欧州銀行監督機構(EBA)は27日、 この基準を満たすためには欧州の70行は向こう8カ月間で合わせて 総額1060億ユーロの資本増強が必要になるとの見通しを示した。国別 ではギリシャの銀行が300億ユーロ、スペインが262億ユーロ、フラ ンスが88億ユーロ、イタリアが148億ユーロと算定した。

新たな資本基準を満たさない銀行は、配当金の支払いと賞与支給 が制限される見通しだ。ファンロンパイEU大統領は声明で、資本増 強の詳細はEU財務相会合で取りまとめる必要があると説明している。 財務相会合がいつ開催されるかには言及していない。

中国の資金拠出で電話協議へ

EU当局者によると、首脳らはギリシャ国債の評価額引き下げに ついて、「自発的な」解決策を引き続き目指しているものの、強制的な 実施の可能性を排除しない方針だ。

首脳らはEFSFの実質的な融資能力拡大で2つの選択肢を検討 した。EFSFを国債発行の保証に活用することと、IMFなど外部 から資金を呼び込むための特別目的投資事業体(SPIV)を設立す ることだ。

またフランスのサルコジ大統領は、27日に中国の胡錦濤国家主席 に電話し、SPIVへの中国の資金拠出の可能性について協議する。 事情に詳しい関係者1人が明らかにした。

EU当局者は、市場はユーロ圏が危機対策の規模を1兆ユーロ超 にすると示唆することを強く望んでいるものの、11月末までに具体的 な数字を示すことはできないだろうと述べた。