新日鉄とJFE:原料価格、円高が業績の大きな壁-上期は予想未達

国内鉄鋼2強の新日本製鉄とJFE ホールディングスは4-9月期連結決算で、鉄鋼原料価格の大幅な上昇 と円高の壁を乗り越えることができなかった。東日本大震災以降、落ち 込んでいる鋼材販売の回復速度が見込みを下回り両社とも苦戦を強いら れている。

両社が26日に発表した決算資料によると、新日鉄の4-9月期連結 営業利益は前年同期比46%減の644億円、JFEは同54%減の529億円と それぞれ半分近い減益となった。

3月の大震災後から低迷していた国内粗鋼生産は、自動車・産業機 械メーカーなどの生産回復を受けて、8月に一時は前年実績を上回った が、下期に向けて見通しが厳しくなっている。

同日会見した新日鉄の谷口進一副社長は、欧州債務危機による景気 減速や歴史的な円高水準、タイの洪水の影響など、「いくつかのファク ターがあり、全体として悪い方向へ向かっている」との認識を示した。 特に為替要因は円高の影響を受け、競合する韓国鉄鋼メーカーに対して 「コスト競争力が一気になくなった」と指摘した。

両社の2012年3月期通期の純利益見通しは、これまで未定としてき た新日鉄が850億円と発表したが、前期から9%減少する見通し。JF Eは出資先のインド鉄鋼株などの評価損も加わり、66%減の200億円、 従来予想との比較では75%減まで落ち込むと予想している。

新日鉄が同日発表した資料によると、上期の全国粗鋼生産量は震災 の影響による自動車メーカーなど製造業の生産活動の落ち込みや、円高 による需要家の海外生産拠点へのシフトを受けて5331万トンと前年下期 に比べ206万トン減少した。

円高への対応について、JFEの石川良雄副社長は同日の会見後、 ブルームバーグ・ニュースに対して、現在の水準になる前から輸出販売 先を「絞っている」ことを明らかにした。ただ、鉄鋼メーカーは、操業 ペースを落し過ぎると採算が悪化することから、生産調整が難しい。

外国為替市場のドル・円相場は1ドル=75円台と、過去最高値の水 準で推移している。26日午後6時11分現在の相場は75円91銭と1年前に 比べ6.8%円高となっている。

UBS証券の山口敦アナリストは25日付のリポートで、ウォン安で 輸出競争力がある韓国鉄鋼メーカーが「今10-12月期に輸出攻勢で操業 度を維持する方針」と指摘。「アジアの薄板市場で日本ミル(鉄鋼メー カー)のシェアが低下しそうだ」とみている。