今日の国内市況:株式は小幅続落、債券3週間ぶり高値、円高75円台

東京株式相場は小幅続落。26日 の欧州首脳会議を控えて全般的様子見ムードが強い中、銀行や食料品、 小売、情報・通信など内需関連中心に売られた。上期の営業微減益と野 村証券の格下げが嫌気された花王は大きく下げ、TOPIXの下落寄与 度でトップ。同2位は、上期経常赤字の拡大を伝える一部報道をきっか けに急落した任天堂だった。

一方、日立製作所やファナックがTOPIXの上昇寄与度首位とな るなど、好決算との評価が高まった銘柄を中心に電機株が上昇。アジア 株高も追い風となり、海運や機械といった海外景気に敏感な業種の一角 も堅調だった。一部アナリストが高評価を与えた影響で日本電産やTD KといったHDD関連株も急伸し、相対的に内需から外需関連銘柄へ資 金が動いた。

TOPIXの終値は前日比1.22ポイント(0.2%)安の746.48、 日経平均株価は13円84銭(0.2%)安の8748円47銭。

26日の欧州では、EUとユーロ圏の首脳会議がブリュッセルで開 かれるが、EU財務相会合の予定は突如中止となった。このため、域内 首脳らが債務危機解決で苦戦するとの懸念が広がり、きのうの米欧株は 下落。ドイツのメルケル首相は25日、EU首脳会議の文書は欧州中央 銀行(ECB)の国債購入継続に言及していない、と述べていた。

きょうの日本株は朝方から売りに押されたが、中国・上海総合指数 やシカゴ24時間電子取引システム(GLOBEX)の米S&P500種 指数先物が堅調に推移、電機株の堅調にも支えられ、午後の株価指数は 先物主導でプラスに転じる場面もあった。ただ、円高警戒や決算本格化 といった要因もあり、結局小安く終了。

個別銘柄中心の動きの中で、ハードディスクドライブ(HDD)関 連株は終日強さを見せた。野村証券は電子部品業界リポートで、回復局 面での収益性改善が期待できるHDD関連をまず推奨するとし、ミネベ ア、TDK、日本電産をそろって買い推奨。3社は東証1部値上がり率 上位を占有した。このほか、午前に4-9月利益が従来予想を上回った もようと発表した日立製作所、きのう好決算を発表したファナックも高 い。

東証1部の売買高は概算で14億6096万株、売買代金は同9222 億円。売買代金はきのうに比べて3.7%減。値上がり銘柄数は587、値 下がり884。

債券先物が約3週間ぶり高値

債券市場では、先物相場が一時約3週間ぶりの高値を付けた。前日 の米国市場で債券高・株安となった地合いを引き継いだほか、円がドル に対して戦後の最高値を更新したことで、日本銀行が追加緩和に踏み切 るとの観測も相場を支えた。

東京先物市場で中心限月12月物は、取引開始後に2週間ぶり高値 の142円61銭まで上昇し、前日比28銭高の142円58銭で午前の取 引を終了。午後には142円62銭まで水準を切り上げた後、日経平均株 価がプラスに浮上すると、やや伸び悩む場面も見られたが、一時142 円68銭と6日以来の高値を更新。結局、36銭高い142円66銭で引け た。

現物債市場では、長期金利の指標とされる新発10年物の318回債 利回りが午前の早い段階で2週間ぶりに1%を下回り、午後には前日比

2.5ベーシスポイント(bp)低い0.99%まで水準を切り下げている。 5年物の99回債利回りも午後に一時2.5bp低い0.345%を付けてい る。

また、この日に実施された2年債の入札好調を受けて、2年物の 309回債利回りは1bp低い0.14%と18日以来の水準まで下げた。

25日の米国債は上昇。EUが26日に予定していた財務相会合を 中止したことで、債務危機の打開を目指すサミットでの危機解決が難し くなるとの見方が広がった。逃避先として米国債の妙味が高まり、米 10年債利回りは前日比12bp低い2.11%程度。米株式市場ではS&P 500種株価指数が4日ぶりに下落。円は対ドルで一時75円74銭まで 上昇。戦後最高値を更新した。

日銀は27日に金融政策決定会合を開催する。ブルームバーグが有 力日銀ウオッチャー13人を対象にした調査では現状維持が大勢。しか し、急激な円高など市場で大きな混乱が起こった場合、追加緩和の可能 性があるとの見方も出ていた。

安住淳財務相は26日午前、海外市場で円が対ドルで最高値を更新 したことを受け、「あらゆることにすぐ対応できるよう事務方に準備を 指示した。あらゆる措置を排除せず対応する」と述べ、あらためて為替 介入も辞さない構えを示した。また、日銀による追加緩和の可能性が指 摘されていることについては、「危機感は共有している。適宜適切に対 応してくれると思っている」と語った。

一方、財務省がこの日実施した2年利付国債(310回債)の入札結 果によると、最低落札価格は100円10銭となり、事前予想の100円 09銭5厘を上回った。小さければ好調とされるテール(最低と平均価 格との差)は1厘となり、1月入札以来の小ささ。応札倍率は4.07倍 と前回の3.29倍を上回った。

円が75円台へ上昇

東京外国為替市場では円が対ドルで1ドル=75円台へ上昇した。 欧州債務問題への懸念や米国の景気不安を背景にリスク回避に伴う円高 圧力が継続。ただ、介入警戒感や日本銀行の追加金融緩和の思惑もあり 、海外時間に付けた円の戦後最高値を試すには至らなかった。

ドル・円相場は午前10時ごろに東京市場では初めて76円を割り 込み、その後も76円ちょうど前後で推移。午後には一時75円91銭を 付けた。円は前日の海外市場で一時、75円74銭まで上昇。2営業日 ぶりに戦後最高値を更新した。

一方、海外時間に注目の欧州連合(EU)首脳会議を控えて、ユー ロ・ドル相場は1ユーロ=1.39ドル前半を中心に推移。ユーロ・円相 場は1ユーロ=105円後半でもみ合った。

安住淳財務相は26日午前、衆院財務金融委員会で、足元の円高進 行について、政府として「あらゆる措置を排除せず、必要な場合には断 固たる措置を取らせていただく」とあらためて強調。「現在の市場の状 況に鑑み、事務方には必要があれば断固たる行動ができるよう絶えず準 備を整えておくことを指示している」と語った。

日本経済新聞は、日銀が27日に開く金融政策決定会合で、追加的 な金融緩和策を検討すると報じた。安住財務相は、最高値更新の続く円 相場について、日本銀行と危機感を共有しているとした上で、日銀が適 時適切な対応を取ってくれると期待していると述べた。

欧州首脳らは26日の会合で救済基金の実質拡大と銀行の資本増強、 ギリシャ救済の3つについて合意を目指す。EU首脳会議は26日午後 6時(日本時間27日午前1時)、ユーロ圏首脳会議は同7時15分 (同午前2時15分)の開始が予定されている。

EU当局者によれば、包括策には救済基金である欧州金融安定ファ シリティー(EFSF)や債券保有者の損失負担などに関して、さらに 技術的作業で必要な部分が残っている。首脳会議で大筋合意した後で、 技術的詳細を財務相らが取りまとめる格好になるという。

ユーロ圏財務相会合(ユーログループ)のユンケル議長(ルクセン ブルク首相兼国庫相)は、スイス紙ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥ ング(NZZ)とのインタビューで、ギリシャ国債を保有する銀行など 民間投資家は、救済策の一環として50%の損失負担を受け入れる必要 があるとの見解を示した。

一方、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、オンライン 版)によると、世界の銀行業界を代表する国際金融協会(IIF)は、 ギリシャ債の評価額の引き下げ幅拡大に反対の姿勢を表明。銀行が自己 資本拡充を求められていることについても、積極的に対応すれば信用収 縮の波が経済活動に深刻な打撃を与えると警告していると伝えた。