キヤノン:通期予想を減額、純利益は6.7%減に-タイ洪水、円高で

カメラ世界最大手キヤノンは25 日の決算発表に合わせ、今期(2011年12月期)連結純利益予想を従来 よりも300億円低い2300億円へと下方修正した。タイの洪水や円高の 影響を織り込んだ。営業利益と売上高の予想も減額した。

修正後の純利益予想は前期比6.7%減。額はブルームバーグ・デー タによるアナリスト23人の事前予想平均2549億円を下回っている。

営業利益予想も従来比200億円カットして3600億円と、アナリス ト予想平均3802億円に届かない水準となった。前期比では7.1%減と なる。修正後の売上高予想3兆6500億円も、前期比1.5%減。

発表資料によるとタイの洪水により最大で売り上げ500億円、営業 損益200億円のマイナス要因が発生し、通期は減収減益となる見込み。 円高進行を背景に、年間の想定為替レートも1ドル=79.41円(従来81 円)、1ユーロ =110.83円(同115円)へと修正した。10-12月期の 想定は1ドル=77円と、1ユーロ=105円。

いちよし投資顧問の秋野充成運用部長は、キヤノンが示したタイ洪 水の被害想定額について、今後の拡大度合いが読めないため「慎重に見 ているのだと思う」とコメント。その上で「キヤノンの数字は他の企業 に広がってくるのでは」と語り、タイに生産拠点を置く他企業の業績に も影響が出ている可能性を指摘した。

再度の天災

東証で25日会見した田中稔三副社長は「円高は企業努力である程 度吸収できたが、震災と洪水は天災だから仕方ない」と語った。同社は 3月の東日本大震災でサプライチェーン(供給網)混乱の影響を受けて 立ち直っていたが、再び災害で打撃を受けた形。

同氏によると、被害を受けた地域にカメラ関連工場は立地していな いものの洪水で現地での部品調達が滞り、書き入れ時である年末商戦で の「影響は避けられない」状況。デジタルコンパクトカメラの今期販売 計画は従来比100万台減の1900万台、一眼レフは同10万台減らし720 万台とした。

浸水被害を受けたインクジェットプリンター工場については、同国 の別の地域やベトナムにある拠点で代替生産する方針。田中副社長は復 旧には「数カ月単位」の時間が掛かると説明した。

同時発表した第3四半期(7-9月)の連結純利益は前年同期比 14%増の779億円。営業利益は17%増の 1225億円。急激な円高の影響 を販売数量増などではね返し、4四半期ぶりの増収増益となった。

取材協力: 安真理子、沢和世