政府・日銀:国債担保に洪水被害の日系企業に現地通貨-タイと合意

政府・日本銀行は、タイの洪水で 被害を受けた日系企業の支援策の一環として、日本のメガバンクが保 有する日本国債を担保にタイ中央銀行から現地通貨を融資する新たな 制度を創設する。政府・日銀が25日午前に正式発表した。

同制度は、タイに進出している日本企業が災害などの緊急時にタ イ・バーツでの資金繰りが困難になった場合に、取引先のメガバンク が保有する日本国債を担保にタイ中銀からバーツを調達して融資する 仕組み。担保国債を管理するタイ中銀の口座を日銀に設ける。同国は 日本のほか米国や欧州の5カ国とも同様の担保制度創設に向け調整し ている。

日銀は発表文で「タイにおける金融市場の安定確保および流動性 供給手段の拡充に資する」のが新制度の狙いとし、日系企業と取引関 係にある邦銀や現地金融機関の資金繰り安定にも寄与するとしている。 制度の詳細は今後詰める。

民主党の大久保勉政調副会長は24日、ブルームバーグ・ニュース に対し同制度の創設ついて明らかにした上で、「洪水で大きな被害を受 けた日本企業の救済とともに、国内からの日本企業の撤退を懸念して いるタイ政府を支援することができる」と意義を強調した。

これまでタイはじめ新興国での現地通貨調達は、主に企業の取引 先のメガバンクや国際協力銀行(JBIC)が提携する現地銀行など を通じて行われていた。しかし、タイの洪水被害が拡大していること も踏まえ、同国内での流動性に万全を期す必要があると政府・日銀は 判断した。

タイ向けに包括支援策

タイを襲った洪水による死者は7月以降300人を超え、現地の1 万4000社余りが操業停止に追い込まれた。タイ政府は被害額を最大 1200億バーツ(約3000億円)と概算。日系企業は自動車メーカーな ど数多く進出しており、世界的なサプライチェーン(供給網)への影 響も指摘されている。

日本自動車工業会(自工会)は20日、洪水の影響について、トヨ タとホンダ、日産自動車を含む日系メーカー9社が被害を受け、生産 への影響は1日当たり6000台相当になることを明らかにした。JPモ ルガン・チェースは、減産に伴う大手3社の損失が月5億ドル(約380 億円)を超える可能性があるとみている。

日本政府は今回の融資制度に併せ、復旧事業や被災者向けの無償 資金協力、防水対策専門家で構成する国際緊急援助隊の派遣などタイ に対する包括支援策を取りまとめた。

政府・日銀はインドネシアやインド、オーストラリア各国とも日 本国債を活用した融資制度の実現に向けた話し合いを進めており、今 回の合意をもとに各国との調整に弾みがつく可能性もある。

--共同取材 Jun Yang、広川高史、日高正裕  Editor:Norihiko Kosaka, Hitoshi Sugimoto

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