円が76円前半、介入警戒もドル安円高傾向続く-欧州債務問題大詰め

東京外国為替市場では円が対ド ルで底堅く推移した。前週末の戦後最高値更新を受け、為替介入への警 戒感から円売りが強まる場面も見られたが、堅調な株価を背景に逃避先 通貨であるドルに売り圧力がかかるなか、ドル・円も1ドル=76円前 半でドル安・円高傾向が続いた。

午後4時21分現在のドル・円相場は76円24銭前後。前週末には 一時、75円82銭まで円が急伸し、8月19日に付けた戦後最高値(75 円95銭)を塗り替えた。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、「市場全体とし ては足元リスク志向になっていると思うが、背景に米国の量的緩和など があるので、ドル・円に関してはドルが下がってしまう」と指摘。「流 れとしてはドル安・円高の方に向いている。あとは力でどう止めるかだ 」と話した。

一方、欧州で債務危機の封じ込めに向けた調整が大詰めを迎えるな か、午後にかけてはユーロ買いが加速し、対ドルで一時、9月8日以来 の高値となる1ユーロ=1.3954ドルを付けた。

介入警戒

安住淳財務相は24日午前、前週末の外国為替市場で円が戦後最高 値を更新したことを受け、円高が「あまり行き過ぎれば断固たる措置を 取らなければならない。事務方にはどういうことでも対応できるよう準 備を指示した」と述べ、為替介入も辞さない考えを明らかにした。

財務相発言を受け、朝方には円売りが一時的に強まり、ドル・円は 76円20銭付近から76円49銭まで円安に振れる場面が見られた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏は 、財務相が円高への対応を事務方に指示したとなれば、さすがに介入の 可能性が意識されるので、いったん円売りで反応したが、その後実際に 介入が入らなかったことで再び円が買われたと説明。その上で、「75 円台では介入警戒が高まるだろうが、株価も堅調で、26日にEU(欧 州連合)首脳会議といったイベントを控えて、介入もしづらい面がある のではないか」と話した。

円の戦後最高値更新は今年3回目。上田ハーローの山内氏は、日本 政府がまとめた円高対策に対する失望感や米金融当局者による追加緩和 に関する発言のほか、「76円60銭あたりでドル買いよりも、逆にス トップ(損失を限定するためのドル売り・円買い注文)の方が多かった というテクニカルな要因もあった」と解説した。

また、野村証券金融市場調査部の池田雄之輔チーフ為替ストラテジ ストは、欧州債務問題の解決に向けた政策期待から、リスクオン(選好 )的な形になり、「突発的にドル安に巻き込まれた形での円高」が進ん だと説明。その上で、足元では「介入警戒感が奏功している」面がある ものの、EU首脳会談が期待外れの内容になると、株価の下落や米金利 の低下を背景にドル安・円高圧力が戻る可能性が警戒されると話した。

EU、包括策で前進

欧州各国は23日開いた首脳会議で、債務危機の影響を受ける銀行 の支援策で大筋合意した。救済基金の実質拡充策をめぐっては欧州中央 銀行(ECB)に依存しないことで一致。ギリシャ発の債務危機解決の 包括策に向けて前進した。

危機解決の包括策合意は26日の次回サミットまで持ち越された。 同日は23日同様、EU27カ国の首脳会議後にユーロ圏17カ国の首脳 会議が開かれる予定。

ユーロ・ドル相場は1ユーロ=1.38ドル後半から一時1.3829ド ルまでユーロ売りが先行したが、その後切り返し、午後には1.3900ド ル台を回復した。

ユーロ・円相場も1ユーロ=105円40銭付近から一時106円47 銭までユーロ高・円安が進行。3営業日ぶりユーロ高値を付けた。

上田ハーローの山内氏は、欧州債務問題について、「一時期のよう に『本当に崩壊に向かって行く』というよりは、内部としてまとまりつ つあり、銀行の資本増強など少しずつ形を見せてきたことが評価されて いる」と分析。ただ、「やはり対策としては不十分だろうという見方が 強い」とし、「それを払しょくとまではいかないまでも、少し緩和する ようなものが26日のサミットで決まるかがポイントだ」と話した。

24日の東京株式相場は3営業日ぶりに反発。欧州債務問題 をめぐ る首脳会談が銀行支援などでおおむね合意したほか、米国企業決算の堅 調や中国の製造業購買担当者指数(PMI)の改善が好感された。アジ ア株式相場も続伸。米株価指数先物は朝方下落した後、上昇に転じた。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)副議長は21日、失業と 金融混乱の悪影響を受ける米景気の浮揚に必要なら、量的緩和第3弾が 正当化されるかもしれないとの認識を示した。債券ファンド最大手、米 パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)のグロ ーバルポートフォリオ責任者、スコット・マザー氏は24日、FRBは 金融刺激策を強化する公算が大きく、それにはバランスシートの拡大が 含まれるとの予想を示した。

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