債券続落、欧州懸念後退し米債安・株高が重し-長期金利1.02%に上昇

債券相場は続落。外為市場の円高 地合いなどを受けて買いが先行したが、前週末の米国市場で欧州債務 危機の解決策をめぐる当局者の合意観測などを背景に、株高・債券安 となったことが重しとなり、売りが優勢となった。

JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは「株式 相場が上昇したので、債券相場は若干下げた。ただ大きく崩れたわけ でもない」と指摘。その上で、「ギリシャの債務問題に対して、債券市 場は冷静な感じ。欧州債務危機への包括的な解決策が出たわけでもな く、26日の欧州連合(EU)首脳会議(サミット)までは様子見姿勢 が強い」と述べた。

東京先物市場で中心限月12月物は、前週末比3銭高の142円34 銭で始まった後、いったん4銭高の142円35銭の日中高値をつけた。 しかしその後は、日経平均株価が上げ幅を拡大したことを受けて、徐々 に売りが優勢となり、10銭安の142円21銭まで下落し、日中安値で 引けた。

前週末の米債安や内外株高が債券の売り材料となった半面、円高 傾向は支援材料となった。みずほインベスターズ証券の落合昂二チー フマーケットエコノミストは、債券相場はほぼ横ばい圏と指摘し、「欧 州債務危機への対応は多少織り込んでいたこともあり、サプライズ(意 外感)があったわけではない。26日に包括策合意で結論が出ても、予 想の範囲内であれば、相場は大きく動かないのではないか」と語った。

新発10年債利回りは1.02%に上昇

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の318回債利回 りは前週末比横ばいの1.005%で始まった後、徐々に水準を切り上げ、 一時は1.5ベーシスポイント(bp)高い1.02%に上昇し、20日以来の 高水準を付けた。その後は1.015-1.02%のレンジで推移している。

RBS証券の福永顕人チーフ債券ストラテジストは、今月の金利 上昇局面でも10年債利回りは1%という節目の水準を挟んだレンジ で動いていなかったため、割高と分析し、「相場が調整する場合に最も 脆弱と考えられるのは、10年セクターであろう」と見込んでいた。

国内株式市場で、日経平均株価は反発。前週末比165円09銭高の 8843円98銭で終了した。JPモルガン証の山脇氏は「株式相場は、 ショートカバー(売り建ての買い戻し)なのか、リスクオン(選好) なのか不透明。米国株の動向を見極めたい」と語った。

21日の米国債相場は続落。欧州債務危機の解決は近いとの楽観的 な見方が広がり、米株式相場は上昇した一方、安全資産としての米国 債の需要が後退した。米10年債利回りは前日比3ベーシスポイント (bp)高い2.22%程度。S&P500種株価指数は1.9%高の1238.25。終 値ベースでは8月3日以来の高水準。

債務危機解決の包括策持ち越し

欧州各国は23日のEUサミットで、債務危機の影響を受ける銀行 への支援策で大筋合意した。また、ギリシャ債務の強制的な再編策は 実施せず、あくまでもギリシャの財政再建を支援するための債券保有 者の自発的な負担受け入れを目指す方針を示した。危機解決の包括策 合意は26日の次回サミットまで持ち越された。

一方、21日のニューヨーク外国為替市場では円が一時、1ドル= 75円82銭を付け、戦後最高値を更新。週明け24日の東京市場も76 円台前半で推移している。日本銀行の金融政策決定会合を27日に控え て、為替市場の動向次第では追加緩和観測が広がる場面もあるとの見 方も出ており、債券相場の下支えとなった。

米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン副議長は21日、デン バーで講演し、失業と金融混乱の悪影響を受ける米景気の浮揚に必要 なら、量的緩和第3弾が正当化されるかもしれないとの認識を示した。 みずほインベスターズ証の落合氏は、債券相場が底堅いことに対して、 「イエレン米FRB副議長が量的緩和第3弾に前向きの発言をしたこ となどが意識されているのではないか。米国は金融緩和バイアスがか かりやすいことが底流にある」と語った。