EU:銀行支援で大筋合意、基金拡充ではECB除外-包括策で前進

欧州各国は23日開いた首脳会議 で、債務危機の影響を受ける銀行の支援策で大筋合意した一方で、救 済基金の実質拡充策をめぐっては欧州中央銀行(ECB)に依存しな いことで一致、ギリシャ発の債務危機解決の包括策に向けて前進した。

欧州各国は債務危機打開を目指して過去1年9カ月で13回目と なる同日の首脳会議で、救済における国際通貨基金(IMF)の役割 拡大の方策も探った。また、ギリシャ債務の強制的な再編策は実施せ ず、あくまでもギリシャの財政再建を支援するための債券保有者の自 発的な負担受け入れを目指す方針。

フランスのサルコジ大統領は欧州連合(EU)首脳会議終了後、 ユーロ圏首脳会議を前に記者団に、「銀行に関する作業はうまく進んで いる。基金と基金利用の可能性についても選択肢は絞られつつある」 と述べた。「ギリシャについて事態は進展しているが、まだ時間を要す る」とも語った。

21日公表されたECBとEUの欧州委員会、IMFの合同審査団 (トロイカ)の報告書で、ギリシャ財政の一段の悪化が示されたこと で、欧州首脳らの選択肢はさらに狭まった。

ギリシャ発の危機は同国をデフォルト(債務不履行)へと追いや る恐れがあるほか、銀行システムを脅かし、スペインやイタリアにも 負の感染が拡大、世界経済をリセッション(景気後退)に陥れようと している。

危機解決の包括策合意は26日の次回サミットまで持ち越された。 同日は23日同様、EU27カ国の首脳会議後にユーロ圏17カ国の首脳 会議が開かれる予定。

「現時点では失望」

ロイズ・バンク・コーポレート・マーケッツの市場戦略責任者、 チャールズ・ディーベル氏(ロンドン在勤)は「結論を言えば、詳細 の全ては明らかになっていないものの、現時点の提案では真の包括的 解決策にはならないと判断しており、失望せざるを得ない」と指摘し た。

2009年10月にギリシャを発端に始まった危機は、2560億ユーロ 規模の救済後も収拾の気配は見えず、今月に入ってからは格付け会社 スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がフランスのトリプルA の格付けを引き下げる可能性を警告する事態になった。

事情に詳しい関係者によると、銀行の資本増強に必要な資本額は ほぼ1000億ユーロ(約10兆6000億円)と見込まれている。資本増強 では、銀行がまず自力調達を目指し、次に当該国政府が支援、域内救 済基金の欧州金融安定基金(EFSF)の利用は最後の手段とするこ とで欧州当局者らは合意した。オランダのルッテ首相はEFSFの利 用について「厳しい条件の下でのみ利用可能」と述べた。

2つの選択肢

ドイツは今回の首脳会議で、EFSFがECBから資金借り入れ できるようにするフランス案を排除することでは目的を達成した。首 脳らは発行される国債にEFSFが保証を付けることで基金の実質的 な融資能力を高める案での合意に近づいている。2つ目の選択肢は、 EFSFが保証するファンドを設立する案で、問題のある国債に対す る外部からの投資を受け入れる内容。

EUの欧州委員会のバローゾ委員長は、「われわれはEFSFの能 力を高める選択肢を議論した」とした上で、「26日に進展が確認でき ると確信している」と語った。

欧州当局者1人が記者団に明らかにしたところによると、24時間 以内に細部の詰めを終えることを目指している。26日の次回首脳会議 ではこれら2つの選択肢のほか、救済においてIMFが果たす役割を 拡大する方法についても検討するという。

フィンランドのカタイネン首相は、「例えばIMFや新興市場諸国 からの追加資金を得ることは可能だ」と述べた。

「友人として」圧力

ドイツのメルケル首相はまた、イタリアが欧州の無制限の支援を 期待することはできないことを、ベルルスコーニ首相との「友人同士 の会話」で明確にしたことを明らかにした。

メルケル首相は、「防護壁だけで信頼を築くことはできない。イタ リアには強力な経済力があるが、その債務水準は非常に高く、今後数 年にしっかりとした削減が必要だ」と語った。

依然決まっていないのがECBによる債券購入を今後どうするか の問題。ECB当局者は、昨年のギリシャとアイルランド、ポルトガ ル国債に加え、今年になってイタリアとスペイン国債に拡大した債券 購入に消極的姿勢を示してきている。

一方、ギリシャ債券保有者の負担に関する7月の合意については、 自発的な交換や、債券価値の50%のギリシャ新発債への交換を強制す るいわゆる「ハードな債務再編」など、5つの修正シナリオが検討さ れている。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。

EU首脳はこのほか、ユーロ圏の運営改善に向けて統治条約を限 定的に改正して、ファンロンパイEU大統領をユーロ圏首脳会議の常 設議長に充てることで合意した。