【今週の債券】長期金利1%中心継続か、欧州の政策対応先送りで慎重

今週の債券市場で長期金利は1% 中心の推移が続くと予想されている。欧州での債務危機回避に向けた 取り組みを見極めるまで新規取引が控えられる公算が大きいとみられ ることが背景。9月6日以降、ほぼ1カ月半に及ぶ0.965-1.03%の レンジを引き継ぐ見通し。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、長期金利に ついて「1%中心が続く」と予想。最大テーマである欧州債務問題の 決着先送りにより、市場の動意が一段と鈍る可能性が高いと指摘し、 「欧州銀の資産圧縮がいずれ実体経済に悪影響を及ぼす可能性もあり、 金利が上がりにくい環境は変わらない」とも言う。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全 体で0.94%-1.03%となった。

前週の長期金利は1.0%付近でもみ合い。週初には中期から超長 期にかけて幅広い年限に売りが先行して、9月5日以来の高い水準と なる1.03%を付けた。しかし、第3次補正予算に伴う市中発行額が抑 制されることなどから、中長期ゾーンで金利上昇圧力が緩和して、週 間ベースでは1ベーシスポイント(bp)低い1.005%で終了した。

売り買い交錯

欧州連合(EU)はギリシャのデフォルト(債務不履行)回避や 銀行危機の阻止に向け、前週末からユーロ圏財務相会合など協議を行 っているが、危機克服に向けた包括的計画の合意は当初予定の23日か ら26日に先送りされた。

欧州債務問題を見極め切れないことから、国内債市場は週半ばに かけて手掛かり難の状況が続きそう。大和住銀投信投資顧問の伊藤一 弥国内債券運用第2グループリーダーは、26日の追加首脳会議まで動 意薄の展開がほぼ確定的だと言い、「10年債利回り0.9%台では売り、 逆に1.0%台半ばにかけて買いの売買が繰り返されそうだ」とみる。

実際、前週には金利上昇局面では買いが入る一方、欧州危機に対 する過度の悲観見通しが後退したことで、長期金利は0.9%台での低 下余地は限界との見方も広がった。みずほ証券の三浦哲也チーフマー ケットアナリストは足元の投資戦略について、「流動性の高い新発10 年債や先物市場で短期的なディーリングを行い、細かく売買益を積み 上げる対応で良さそう」と言う。

こうした中、21日の欧米市場では当局の政策対応への期待から株 式相場が上昇。ニューヨーク外国為替市場は欧米経済の先行き懸念を 背景に円が買われ、円相場は約2カ月ぶりに戦後最高値を更新した。

米GDPや展望リポートも注目

米連邦準備制度理事会(FRB)がいずれ追加緩和を行うとの観 測が、為替市場における円高進展の一因にもなっており、米国の景気 動向も注目材料だ。27日には米国で7-9月期の国内総生産(GD P・速報値)が発表され、ブルームバーグ調査による事前予想値は、 前期比年率で2.5%増加と4-6月の同1.3%増を上回る見通し。

一方、国内では日本銀行が27日に金融政策決定会合を開催する。 金融政策の据え置きが予想されているが、為替市場の動向次第では追 加緩和の憶測が広がる場面もありそう。また、今回の会合で、半年に 一度の経済・物価情勢の展望(展望リポート)を作成し、2013年度ま での経済、物価見通しを公表する。

このほか、26日に2年利付国債の価格競争入札が実施される。28 日には鉱工業生産や消費者物価などの指標発表が予定されている。

市場参加者の予想レンジとコメント

10月21日夕までに集計した市場参加者の債券相場に関する今週 の予想レンジは以下の通り。

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物12月物142円00銭-143円00銭

10年国債利回り=0.94%-1.03%

「前週末に欧州債務問題へのポジティブ材料を織り込んだため、 逆に市場で失望感が広がる場面では債券の支援材料となる。円高が進 まない限り金融政策の変更はなかろう。消費者物価や生産など国内指 標より米GDPが注目材料。短期金融市場に資金が流入していること もあって、26日の2年債入札は問題なく消化されるだろう」

◎SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物12月物142円00銭-142円50銭

10年国債利回り=0.99%-1.03%

「相場の上値は重そう。欧州の財政危機に関する問題がヤマ場を 迎える中、質への逃避に伴う長期金利の低下にはブレーキがかかり始 めており、10年債利回り1%割れの水準は売り場とみている。ただ、 欧州の危機収束への期待が高まるには時期尚早。潜在的な押し目買い 意欲は強いため、金利上昇の流れに転じたとまでは考えていない」

◎みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジスト

先物12月物142円00銭-142円60銭

新発10年債利回り=0.97%-1.03%

「こう着状態が続きそう。EUの首脳会議では現状から大幅な進 展が見込めず、債務問題の落としどころにサプライズはないとみる。 また、日銀が経済・物価見通しを下方修正しても、市場が想定内と認 識する可能性が高い。夏場の金利低下が小さかったことから上振れ余 地も限られ、昨秋のように金利が持続的に上昇する感じでもない」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物142円00銭-142円70銭

新発10年債利回り=0.97%-1.03%

「10年債は1%中心。EUの協議が長期戦となって債務問題があ く抜けしない状況が続き、結果的に国内債は方向感なくもみ合う展開 だ。潜在的な買い需要は旺盛でも市場の様子見姿勢は変わらないだろ う。一方、国内では日銀の展望リポートで下振れリスクが強調されれ ば、金融緩和の時間軸が5年債など中期債を支える」

--取材協力:池田祐美 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

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