米国債:下落、追加のEU首脳会議発表で逃避需要が弱まる

米国債相場は下落。欧州 連合(EU)は域内のソブリン債危機への対策で、追加の首脳会議 (サミット)を来週開催すると発表した。これを受けて米国債への逃 避需要が弱まった。

10年債利回りは上昇。EU当局は23日に予定通り首脳会議を開 催し、26日に追加会議を開くと発表。ドイツとフランスの政府が発 表した共同声明によれば、意欲的な危機対策が必要との認識で独仏両 国は合意に達している。米財務省が20日実施した30年物インフレ 連動債(TIPS)の入札では、最高落札利回りが過去最低となった。

モルガン・スタンレー・スミス・バーニーのチーフ債券ストラテ ジスト、ケビン・フラナガン氏(ニューヨーク在勤)は、「市場の動 きは全て欧州関連の報道が材料になっており、最新の報道が米国債の 方向感を定める」と指摘。「短期的にはデータではなく、政策に左右 される」と述べた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時 間午後4時24分現在、10年債利回りは前日比3ベーシスポイント (bp、1bp=0.01%)上昇の2.19%。一時は2.20%に上昇し たが、2.11%に低下する場面もあった。同年債(表面利率2.125%、 2021年8月償還)価格は7/32下げて99 15/32。30年債利回りは 3bp上げて3.21%となっている。一時3.12%まで下げていた。

追加サミット

米国債はもみ合いが続き、朝方の上げを日中に失った。ドイツの メルケル首相とフランスのサルコジ大統領がユーロ圏首脳に対し、「包 括的で意欲的な」対策パッケージの検討を23日の首脳会議で求めるこ とで合意したとの発表が背景にある。26日の追加サミットで対策措置 の合意を目指している。メルケル首相の言葉としてザイベルト首席報 道官が電子メールで明らかにした。

欧州各国政府は、一時的措置の欧州金融安定ファシリティー(E FSF)と恒久的な救済枠組みである欧州安定化メカニズム(ESM) の統合を検討しており、最大9400億ユーロ(約99兆3240億円)を 融通する可能性がある。協議に詳しい関係者2人が明らかにした。

シティグループの金利ストラテジスト、ブレット・ローズ氏(ニ ューヨーク在勤)は、10年債は欧州討議の成果に強く反応する公算が 大きいとの見方を示した。

欧州討議の成果

同氏はまた、「成果が見られない、あるいは弱いものであれば、利 回りは20bp下げる可能性がある。予想をはるかに超える大きな成果 が出れば、利回りは20bp上げるだろう」とし、「市場は期待の変化 につれて上下に動いている。われわれは今、その中間に位置している」 と指摘した。

米国債相場は朝方に不安定な動きを増した。米フィラデルフィア 連銀管轄地区の製造業活動は10月、市場予想に反して拡大したほか、 米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、 前週から6000件減少して40万3000件となったことが背景。

米財務省が20日実施した30年物インフレ連動債(TIPS)の 入札(銘柄統合、発行額70億ドル)の結果によると、最高落札利回り は0.999%と、入札直前の市場予想の1.038%を下回った。前回入札 (6月23日)は1.744%と、当時の過去最低を記録していた

CRTキャピタル・グループ(コネティカット州スタンフォード) の国債ストラテジスト、イアン・リンジェン氏は「明らかにTIPS 入札は引きが強かった」と指摘。「今後30年間のインフレに対応しよ うとする需要が存在する」と説明した。