カダフィ大佐が死亡-42年の独裁に幕、リビアに抑圧という負の遺産

リビアの最高指導者だったカ ダフィ大佐が20日、故郷のシルトで殺害された。69歳だった。北 大西洋条約機構(NATO)の支援を受けた反体制派による政権崩壊 から2カ月を経て、独裁体制は幕を下ろした。

国際社会による制裁措置などに特徴付けられる40年以上に及ぶ 独裁体制では、富の分配の問題などが議論を呼んだ。リビアの原油埋 蔵量はアフリカ最大だが、国民の生活水準は中東の大半の産油国より も劣っていた。

反体制派組織「国民評議会」のアブドル・ハフィズ・ゴーガ副議 長はベンガジで記者団に対し、「カダフィ大佐が革命家の手により殺 害されたことを、全世界にお知らせする」と発表した。

国営テレビは「リビアは歓喜に沸き、国民は祝福し合っている」 と報じた。

今年に入りチュニジアやエジプトでは民主化を求めた反政府デモ の末、政権が転覆。カダフィ大佐もこの運命を避けることはできなか った。リビアでは非暴力によるデモがやがて内戦状態に発展し、最終 的に政権が崩壊したが、大佐は平和的なデモの状況下においても国民 に対して武力を行使した。カダフィ大佐の死により、大佐に忠誠を誓 う勢力と反体制派との戦闘は終結に向かうとみられる。

カダフィ大佐は反体制派による蜂起が始まって以降、行方をくら ませていた。国民評議会はカダフィ派の最後の要塞であるシルトの陥 落を待って、リビアの全土解放を宣言すると発表。解放後8カ月以内 に選挙を実施する方針を明らかにしている。

資産凍結

リビアの主要政府系ファンド(SWF)であるリビア投資庁(L IA)で副会長を務めていたムスタファ・ザルティ氏によれば、カダ フィ大佐に対する民衆蜂起が始まった時点でLIAは約650億ドル (約5兆円)相当の資産を保有し、大半が現金と短期証券だった。た だこの資産は、カダフィ大佐への軍資金を絶つため、欧州連合(EU) とスイスによって全額凍結された。LIAはイタリア企業や名門プロ サッカーチーム「ユベントス」などに投資している。

蜂起が起こる前には、リビアは日量約160万バレルの原油を生 産していた。だが国際エネルギー機関(IEA)によれば、騒乱が起 きてからは生産量は「ごくわずか」にまで落ち込んだ。

IEAは先週、リビアの生産量は年末までに日量60万バレルま で回復するとの見通しを示した。CIAワールド・ファクトブックに よれば、リビアの推定埋蔵量は470億バレルで、世界9位。

「カストロ気取りの三流指導者」

国際通貨基金(IMF)によれば、原油生産がピークの時でも、 リビアの1人当たり国内総生産(GDP)は購買力平価ベースでアル ジェリアを除き中東のすべての主要産油国を下回った。原油はリビア の輸出全体の95%を占める。

カダフィ大佐はリビアの歳入の一部を、自身のセキュリティーや カダフィ一家に忠誠を誓う兵力の増強に流用した。大佐の家族は残忍 な人権侵害に加担することもあった。1996年にはトリポリにあるア ブサリム刑務所で1200人が殺害され、人権団体ヒューマン・ライ ツ・ウォッチは「大量虐殺」だと非難した。

カダフィ政権下で問題となった行為には96年の虐殺のほか、88 年にスコットランド上空で起き270人が死亡した旅客機爆破事件な どがある。

仏国際関係研究所(パリ)の研究員、フィリップ・モロー・デフ ァルジュ氏は「非人道的で閉鎖的、かつ抑圧的な支配を続け、自国民 に対する武力行使も決してためらうことがなかった」と指摘。キュー バの指導者だったフィデル・カストロ氏を引き合いに出し、「カスト ロ気取りの三流指導者として記憶されるだろう」と続けた。

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