米ウォール街、取引・投資銀行業務の退潮鮮明-将来性に疑問も

米ウォール街最大級の銀行が手掛 けるトレーディングと投資銀行業務にとって、7-9月(第3四半期) は金融危機が深刻化してから最悪の四半期となった。こうした事業の 将来性を危ぶむ声も浮上している。

JPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ(BOA)、シ ティグループ、ゴールドマン・サックス・グループ、モルガン・スタ ンレーの5行は、会計上の調整を除いた7-9月のトレーディング 収入が合わせて135億ドル(約1兆400億円)と、前年同期比35% 減少。投資銀行業務の収入は前四半期との比較で41%減り、44億 7000万ドルとなった。

BOAは債券トレーディング収入が約90%落ち込み、ゴールドマ ンの債券引き受け業務にとって03年来で最低の四半期となった。米 景気減速と欧州債務危機が広がるとの懸念から、企業が増資を延期し、 投資家がリスク資産を売却したことが影響した。

ポーテールズ・パートナーズ(ニューヨーク)のチャールズ・ピ ーボディ氏は19日のブルームバーグテレビジョンとのインタビュー で、「マクロ経済の影響がミクロ経済に及び始めた。金融システムの 緊張が各行に打撃となっている」と指摘、「問題はこれが今後も続く かということだ」と述べた。

5行のトレーディング収入は今年これまで、債務評価調整(DV A)を除いたベースで前年同期に比べ16%減少している。

「ボルカールール」

米S&P500種株価指数は7-9月に14%下落し、08年10-12 月(第4四半期)以来最悪の四半期を記録。米国株オプションの指標 であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数 (VIX)は7-9月に160%上昇し、09年1-3月(第1四半期) 以来の高水準となった。

ウォール街の各行は、預金受け入れ銀行に対し自己勘定取引を禁 止するとともに、ヘッジファンドとプライベートエクイティ(PE、 未公開株)投資事業を制限する、いわゆる「ボルカールール」の影響 についても対応を迫られている。新たな規制の草案を公表した当局は、 銀行側からの意見を求めている。

サンフォード・C・バーンスティーンのアナリスト、ブラッド・ ヒンツ氏は今月の投資家向けリポートで、米金融規制改革法に基づく ボルカールールの草案に従えば、ウォール街の債券事業は25%減収 となりかねないとの試算を示している。