政府:海外M&A支援、10兆円規模に拡大-円高総合対応策案

政府が21日に閣議決定する予定の 「円高への総合的対応策」案が20日、明らかになった。円高メリット を活用した海外M&A(合併・買収)や資源開発を支援するため、外国 為替特別会計から国際協力銀行(JBIC)への融資枠を現在の1000 億ドル(約7.7兆円)から10兆円規模に拡大することを明記した。

対応策は20日朝の民主党成長戦略・経済対策PT総会で政府側が 提示し、了承された。ブルームバーグ・ニュースは民主党関係者から文 書を入手した。

このほか、産業革新機構が金融機関から資金調達する場合の政府 保証枠(現行8000億円)の1.8兆円への拡充を通じて海外M&Aを促 進する方針も盛り込んでいる。

外為特会を活用した海外M&A支援策は野田佳彦首相が財務相だ った8月24日に発表。日本企業による海外企業の買収や資源確保など を後押しすることで、民間の円資金の外貨への転換を促すのが目的だ。 JBICへの融資枠拡大は民主党の前原誠司政調会長が求めていた。

第一生命経済研究所の熊野英生・主席エコノミストはJBICを 通じたM&A支援策拡大について「これは円高防止策ではなく円高順 応策だ」と指摘。その上で、「これまでこの制度を使った実例を聞いた ことがないので実情が伴っていない。海外M&Aを進めるのにどれだ け効果があるか未知数だ」と語った。

節電エコ補助金

対応策はまた、家庭向けのリチウムイオン蓄電池(定置用)、住宅 用太陽光発電システムなどの導入を補助する「節電エコ補助金」の創 設を明示。住宅エコポイント制度の1年間を対象とした再開なども盛 り込んだ。税制・財政・金融上の支援措置を講じて国際競争力の強化を 目指す「国際戦略総合特区」の第1次指定について5か所程度を目安 に年内に行う方針も打ち出した。

個々の政策の進め方には「数値目標と期限を設け、迅速に具体的 な成果を出す」として、「景気対応検討チーム」で進ちょく状況を管理 するという。

為替市場の現状については「一方的に偏った円高の動きが続いて いる」と指摘。その上で「為替市場の過度な変動は、経済・金融の安定 に悪影響を及ぼすものであり、その動向を注視するとともに、あらゆ る措置を排除せず、必要な時には断固たる措置を取る」と、場合によ っては再度の市場介入に踏み切る方針も示した。

みずほ総合研究所の武内浩二シニアエコノミストは「国際協調が 得られない中で、円売り介入がやりにくいのではないかという見方も あるが、円高総合対策で、断固たる措置を取る用意があることをはっ きりと示す見通しにあり、円高が進む局面では、介入への期待感につ ながる可能性がある」と指摘している。

非伝統的施策

また、諸外国や国際機関との連携では、「非伝統的な施策を含め国 際金融市場の安定確保に資する施策を幅広く検討」することも盛り込 んだ。

財政に関しては「財政規律の維持は、巨額の政府債務を抱えるわ が国が厳しい市場の選別の眼にさらされながら生き残る上で必須の課 題」として、「今後とも、国債の信認の確保に万全を期す」との姿勢を 強調している。

円ドル相場は今年7月中旬以降、1ドル80円を割り込む状況が続 いており、20日は76円台後半で推移している。日本経団連の米倉弘昌 会長は8月4日、記者団に対し、為替水準について「80円を超える円 高は大きな痛手だ」と指摘している。

--取材協力:坂巻幸子、小笹俊一、三浦和美 Editor:Hitoshi Sugimoto,Kenzo Taniai, Takeshi Awaji,Joji Mochida

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