アジア席巻Kポップに思わぬ逆風-大麻禍でYGがIPO縮小(2)

韓国の男性歌手グループ「ビッグ バン」が所属するYGエンターテインメントは、新規株式公開(IP O)での資金調達目標額を引き下げた。同グループのリーダーがマリ フアナ検査で陽性となったためだ。

YGは18日、韓国取引所に提出した修正版の目論見書で、リーダ ーのG-DRAGON(ジー・ドラゴン)の薬物使用により、ビッグ バンの活動はしばらくの間「制約」される可能性があるとの見方を示 した。コンサートの延期や広告収入の減少が見込まれるとしている。 YGによると、ビッグバンとそのメンバーは2010年に同社の総売上高 の半分以上を占めた。

ビッグバンが日本で複数回開催した大規模公演はいずれも満員と なり、YG所属の女性4人グループ「2NE1」の人気が高まる中、 YGは当初、IPOで399億ウォン(約27億円)の調達を目指してい たが、359億ウォンに引き下げた。韓国総合株価指数が10%下落する 一方、株式公開しているYGのライバル企業SMエンターテインメン トの株価は年初来で3倍以上に上昇している。

KBアセット・マネジメントのファンドマネジャー、チェ・ウン ピル氏(ソウル在勤)は「G-DRAGONはYGの最も重要なアー ティストであり、同社を韓国の音楽業界でトップクラスの企業に押し 上げた」と指摘。「主要ライバル企業のSMの業績は引き続き非常に好 調であり、YGの潜在成長性も損なわれていないため、IPOへの関 心がしぼむことはないだろう」と語る。

深い後悔

YGを通してG-DRAGON(本名クォン・ジヨンさん)のコ メントを求めたが得られなかった。同社が5日に発表した文書による と、クォンさんは日本でツアー中の5月にたばこと思ってファンから 受け取ったマリフアナを「2回か3回吸った」後、トイレに捨てたと 話している。

YGは文書で「G-DRAGONは故意に吸引したのではなく検 出されたマリフアナも微量だったため、韓国検察当局は不起訴処分と した」と説明。「G-DRAGONと当社は深く後悔しており、慎重さ を欠いたことを謝罪する」としている。

YGは18日の目論見書で、「アーティストのリスク管理」チーム の設置を計画していることを明らかにした。同社によると、1人のア ーティストのイメージがエンターテインメント企業の収入に影響を及 ぼす傾向があるからだ。

目論見書によると、IPO募集期間は11月14-15日。当初予定 は今月12-13日だった。発行株式数は約125万株で、価格は2万2100 -2万8800ウォン。当初は2万4600-3万2000ウォンだった。

「少女時代」

1995年創業のSMの所属グループは韓国国内のポップチャート を制覇した。同国の音楽チャート「ハント」によると、SMを代表す る男性グループ「スーパージュニア」と女性グループ「少女時代」の アルバム売り上げは昨年首位に輝いた。

インターネット検索最大手、米グーグルの投稿動画サイト「ユー チューブ」では、これらのグループのビデオを世界中で数千万人が視 聴している。より規模の小さいレコード会社JYPエンターテインメ ントの株価は、女性グループ「Miss A」などのヒットにより、 年初来で163%上昇している。

YGのチェ・スンジュン最高執行責任者(COO)は10日の電話 インタビューで、これらの企業の成功でIPOへの機運が高まったと 述べた。

チェCOOは「最近、Kポップに注目が集まっているのは間違い ない」と指摘、「投資家がKポップファンでなくても、彼らの10代の 子供がこれらの音楽を購入したり、口ずさんだりしているかもしれな い。そんな親近感から当社の潜在成長性に安心して投資できると感じ てくれることを望んでいる」と語った。

冬のソナタ

Kポップは今や、「韓国の波」と呼ばれる韓国のポピュラーカルチ ャーの主力になっている。2000年代初めに日本で「冬のソナタ」など のテレビドラマが大ヒットしたことをきっかけに、この波はアジア全 域に広がり始めた。「Jポップ」の名で知られる音楽業界が成長を遂げ た日本は、Kポップにとって最大の市場。大韓貿易投資振興公社の6 月のリポートによると、音楽分野の輸出の69%を日本が占めた。

2位は東南アジアで21%、中国は8%だった。ユーチューブなど のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が欧州でもK ポップの普及促進につながっているが、輸出に占める割合は1%にと どまっている。

YGは、大宇証券が引受幹事となるIPOでの調達資金を新人ア ーティストの発掘や制作スタッフの増員、国外での事務所開設に充て る計画だ。

韓国若者文化の象徴

YGを率いるヤン・ヒョンソク氏は1990年代に活躍した3人組音 楽グループ「ソテジワアイドゥル」の元メンバー。ポップやラップ、 ロック、テクノをアレンジしたサウンドで韓国の若者文化の象徴的な 存在になった。ヤン氏(41)はYGの筆頭株主で株式の48%を保有す る。YGの1-6月(上期)の純利益は72億ウォン、前年同期は56 億ウォンだった。

チェCOOは「これまで所属グループの国外でのプロモーション に慎重過ぎたかもしれない。IPOによる調達資金を利用して当社の 認知度を高めることができる」と意気込みを語った。

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