ユーロの上値重い、欧州不透明感根強い-ドル・円は76円後半でこう着

東京外国為替市場では、ユーロが ドルと円に対して海外市場で付けた約1カ月ぶりの高値から水準を切 り下げ、上値の重い展開が続いた。欧州債務問題の早期解決への期待 感が後退する中、フランス格下げの可能性が浮上するなど、不透明要 因が根強いことから、ユーロの上値は限定された。

ユーロ・円相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=107円68銭と、 9月9日以来のユーロ高値を付けていたが、その後105円37銭まで急 落。東京市場では一時105円94銭まで値を戻したが、同水準を上値に 105円台後半で伸び悩んだ。

ユーロ・ドル相場も、海外市場で9月15日以来の高値1ユーロ=

1.3914ドルを付けたあと、ユーロ売りが活発化。日本時間朝の取引で 一時1.3725ドルまで水準を切り下げている。その後、1.3788ドルま で戻したが、上値は限定的となり、午後の取引にかけて1.37ドル台半 ばから後半を中心に推移した。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部の棚瀬順哉チーフF Xストラテジストは、独当局者の発言にネガティブに反応するなど、 週末に欧州連合(EU)首脳会議(サミット)を控えて、発言内容に 振らされやすい不安定な相場展開が続く可能性があると指摘。一転し て前向きな話が出てくれば、株が買われて、リスクオン(選好)的な 流れになる可能性も排除はできないが、欧州の問題は非常に不透明な 状況が続いているとして、「長い目で見れば、持続的にリスクオンの流 れにはなりづらい」としている。

一方、ドル・円相場は海外市場で1ドル=77円45銭までドル高・ 円安が進んでいたが、欧米株の下落を背景にリスク回避に伴う円買い が優勢となり、一時は76円60銭と、3営業日ぶりの水準まで円が反 発。東京市場では円の高値が76円79銭、安値が76円88銭と、午前 に形成された値幅9銭のレンジ内での取引に終始した。

欧州不透明感根強い

15日に閉幕した20カ国(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声 明は、23日に開かれるEUサミットまでに欧州債務危機に対応した包 括的な計画を打ち出すよう要請。市場では、早期解決への期待感が生 じていた。

しかし、メルケル独首相のザイベルト主席報道官は17日、ベルリ ンでの記者会見で、「このパッケージによって何もかもが解決し、月曜 には全てが完了しているという夢物語がまたしても根を張りつつある が、その夢の実現は不可能だ」との同首相の見解を明らかにした。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、ユーロ圏の危 機は少しずつ解決に向かっており、ユーロの下値を攻める動きも出に くい半面、危機が去ったような状況にはまだ遠いと指摘。EU首脳会 議サミットで全てが解決されるわけではないとの冷静な見方に加え、 フランスの格下げの可能性も警戒されており、「ユーロの上値は厳し い」とみている。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは17日の 発表資料で、フランスの「Aaa(トリプルA)」格付けについて、欧 州債務危機に伴う追加的な負担の可能性や債務指標の悪化からの圧力 にさらされているとの見解を明らかにした。

バロワン仏財務相は18日、同国がトリプルA格付けを維持するた めにあらゆることを行うだろうと述べた。

リスク回避圧力

欧州問題の早期解決期待はく落で、前日の欧州市場では、株価が 反落。債券市場でも域内の安全資産とされている独国債が買われ、9 月1日以来の高水準となる2.25%を付けていた同10年債の利回りは、

2.10%まで低下した。

また、米国でも株安が進み、株価の予想変動率の指標であるシカ ゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX指 数)は33.39と、今月7日以来の水準に急上昇した。

この日のアジア市場では、日経平均株価が100円を超える大幅反 落となるなど、ほぼアジア株は全面安の展開となっている。

JPモルガンの棚瀬氏は、アジア株の動向をみると海外市場で活 発化したリスクオフ(回避)の動きは続いているが、外為市場では短 期的な調整の動きが優勢となり、ドルと円の買いが持続していない面 があると説明。その上で、先週末のVIX指数低下で、リスクオンの 流れ継続の芽が出ていたが、週明けで同指数が再び上昇しており、「円 の下値も限定的」とみている。

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