タイ洪水、日系自動車の業績を圧迫-震災から挽回期にまた生産停止

洪水被害が全国に広がっているタ イで、現地生産を相次いで停止している日系の自動車メーカーでは再 開のめどが立っていない。トヨタ自動車の場合、生産停止1カ月で営 業利益に230億円程度の影響があると専門家はみている。生産停止が 長期化すると、東日本大震災の影響から挽回を目指す今下期の業績に 圧迫要因となる可能性がある。

バークレイズ・キャピタル証券の二本柳慶アナリストは「震災の 影響でタイでも洪水が起こる前からフル生産していたので、洪水によ る生産ロスを挽回することは難しいだろう」と指摘した。

JPモルガン証券の高橋耕平アナリストは「トヨタの工場が浸水 していないとしても、部品の供給が滞れば生産ができなくなる。震災 と同じ構図だ」と指摘し、たとえ生産を再開したとしても、部品調達 難で問題が長期化する可能性を示唆した。

高橋氏は10月12日付のリポートで、タイ工場の生産停止による 営業利益への影響について、1カ月当たりトヨタが230億円、ホンダ は110億円、日産自動車が63億円と試算している。

タイの洪水により、トヨタは部品供給難で現地3工場の車両生産 を10日から22日まで停止、その後は状況をみて判断するとしている。 ホンダは浸水や部品供給難で現地工場の操業を、四輪車が4日から、 二輪車は6日から、いずれも21日まで停止すると発表した。各社とも 再開のめどは立っていない。日産自は14日まで操業していた車両工場 を、部品供給問題で15日から19日まで停止し、その後は状況をみて 判断するとしている。

約50年で最悪の洪水に見舞われたタイでは、政府のまとめによる と、3カ月に及ぶ被害で930の工場が冠水した。

ホンダの工場がある中部アユタヤ地区は被害が最も大きい。年間 生産能力24万台の自動車工場では8日、工場敷地内への浸水が確認さ れた。広報担当の根本淳氏によると、17日現在、施設に立ち入れない 状況という。

設備被害なら半年も

アドバンストリサーチジャパンの遠藤功治アナリストは、設備が 浸水した場合、「精密機器の点検や復旧も考えると影響が半年はかかる 可能性もある」と指摘した。遠藤氏はホンダの1カ月当たり生産停止 の営業利益への影響を80億円と試算し、半年間で480億円の影響が出 るとみている。それに加え設備関係の被害で数百億円のコストも予想 されるという。ホンダの今期(2012年3月期)営業利益予想は2700 億円。

ホンダの現地工場では、四輪車や二輪車のほか、エンジン構成部 品などを製造し、日本や中国を含むアジア大洋州域内すべの生産拠点 に供給している。また、タイやインドなどアジア地域で拡大するエン トリカー市場向けに開発した世界戦略車「ブリオ」も生産している。

難しくなる業績予想

富国生命投資顧問の桜井祐記社長は、東日本大震災のわずか半年 後にタイで大規模な洪水被害が起きたことを指摘し、天災の影響まで 考慮に入れる必要が出てきたとして「業績の予想は難しくなっている」 と述べた。また、円高で国内生産の採算が悪化する中、「タイのような 比較的安定した場所でこういうことが起きると、仮に海外に生産を移 転するにしても、一体どこに分散をすればいいのか」とコメントした。

自動車各社は、震災で落ち込んだ販売の挽回を今下期に見込んで いた。自動車工業会によると、10年のタイの自動車生産台数は164万 台。うち、トヨタの生産は約63万台、ホンダが約17万台、日産自は 約20万台となっている。

--取材協力:堀江政嗣 Editor:Hideki Asai、Takeshi Awaji

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