オリンパスは英社買収の顧問料で調査を、当局が関心も-外部報告

先週末に英国人社長を解任したオ リンパスは2008年の英医療機器会社ジャイラス買収で支払った顧問料 に関し十分な調査を進めるべきだとする報告書を、外部の監査事務所が まとめていたことが分かった。当時のオリンパスのリスク管理や手続き の在り方が金融・検察当局の調査を招く可能性があるためとしている。 ブルームバーグ・ニュースが16日、この文書を入手した。

報告書はコンサルティング会社プライスウォーターハウスクーパー ス(PwC)が、オリンパスのマイケル・ウッドフォード前社長の在職 中の要請により11日付でまとめた。同氏は今年4月の就任から約半年 後の14 日、社長職を解任された。

報告書が問題視したのは、AXAMインベンツメンツなどファイナ ンシャルアドバイザー(FA)2社に支払われた報酬が、買収総額9億 3500万ポンド(当時2150億円)の36%に膨らんだ点。報酬は買収額 に含まれていない。AXAMは支払い完了3カ月後の昨年6月、ケイ マン諸島で免許料不払いを理由に登録を抹消された。

M&A(企業の合併・買収)仲介会社MAパートナーズのサイトで は、成功報酬の料率の目安を1-5%と表記している。

PwC報告書は支払い増大の要因として、ジャイラスの優先株を挙 げている。優先株は顧問料の一部として08年に発行され、当初の評価 額1億7700万ドル。しかしFA側の要請を経て、最終的には昨年3月 にオリンパスが6億2000万ドルで、この優先株を買い戻した。

報告書は最終的な買収コストが極端に大きかったと指摘。「不適切 な行為が行われたと確信することはできない」ものの、現段階ではその 「可能性を排除できない」とコメント。この他にも違法性の有無に関す る検討が必要な事項が多数あると指摘。その中には不正な会計処理や財 務支援、取締役会の注意義務違反が含まれる、とした。

前社長「信じ難い」

ウッドフォード氏は16日のブルームバーグの取材に、この支払い は「信じ難い」とコメント。ジャイラス買収では「資産査定をした証拠 が全くない」などとして、オリンパスは経営改革が必要と強調した。

PwC広報担当のデレク・ナッシュ氏は、同社がオリンパスのため 何らかの報告書をまとめたか「肯定も否定もできない」と述べている。

また、ブルームバーグが別に入手したウッドフォード氏の書簡によ ると、06-08年にオリンパスが計7億7300万ドルを投じた非公開企業 3社の買収に関しては、その後に投資額の約8割に当たる計5億 8600 万ドルの減損処理が行われている。

同氏は買収対象となった3社は、オリンパスの主要業務と関連がほ とんどない「化粧クリームやタッパーウェアの製造会社」だと指摘。当 時の経営陣が「一体何をしていたのか」と批判している。

「新たな発表予定なし」

同社広報担当の藤原康俊氏は17日、「現時点で前社長やジャイラ ス買収に関する新たな発表をする予定はない」と説明。次回の取締役会 の期日については「社内事項なので公表はできない」と述べた。

ブルームバーグは経営陣にも取材を試みた。森久志副社長は16日 夜、報告書は「推測に基づくもの」とした上で「うかつに社内のことを 外に話すわけにはいかない」と語った。ウッドフォード氏解任で社長も 兼務している菊川剛会長からの回答は得られていない。

菊川氏は14日の会見で、ウッドフォード氏解任の理由に「独断専 横」の経営手法などを挙げていた。同席した森氏はウッドフォード氏の 「コスト削減のポイントが少しずれていた」と述べていた。

オリンパス株価は17日も大きく崩れた。一時はストップ安(値幅 制限いっぱいの下落)水準である前週末比500円(24.5%)安の1545 円と、2年5カ月ぶりの安値まで売り込まれた。終値は同24%安の 1555円と、解任発表前日である13日終値から37%値を下げた。17日 の売買代金も875億円と、2位のトヨタ自動車の約6倍に達した。

14日の発表を受け、証券会社は相次いでオリンパスの評価を引き 下げた。投資評価を「買い」から「中立」に下げたシティグループ証券 の芝野正紘アナリストは同日付リポートで、オリンパスが再評価される 条件の1つとして、ウッドワード氏解任後でも構造改革が進んでいるこ とを詳細に示し、株式市場を「説得する」必要があるとコメントした。

取材協力: 安真理子、山口祐輝、藤村奈央子、沢和世、上野英治郎

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