【今週の債券】長期金利1%中心の推移継続か、金利上昇時の買い支え

今週の債券市場で長期金利は1% を挟んだ推移が継続すると予想されている。欧州債務問題に対する過 度な懸念の後退が金利の押し上げ要因となる見通し。半面、今年度下 期の初めで投資家の国内債での運用意欲は強いとみられており、利回 りが上昇すれば買いが見込まれている。

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、長期金利に ついて「1%中心の推移が続く」と予想する。「欧州債務問題に関する 懸念がいったん緩和したが、市場のリスクオフ(回避)の姿勢は変わ らない。米独の長期金利が振れても日本は安定しており、投資家は押 し目買いを入れてくる」と説明した。

長期金利の指標とされる新発10年債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人から聞いた今週の予想レン ジは、全体で0.95%から1.05%となった。前週末の終値は1.015%。

前週の長期金利は1%を挟んで推移した。今年度下期の初めに伴 い、投資家が債券残高を積み上げる買いで12日には0.985%まで下げ た。13日は株価の堅調推移や同日入札された30年債のヘッジ売りな どで約1週間ぶり高水準の1.02%を付けたが、週末には買い戻された。

欧州債務問題について、スロバキア議会が前週に欧州金融安定フ ァシリティー(EFSF)の機能強化策を可決し、いったん懸念は後 退。15日閉幕の20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後 の声明では欧州の取り組みに対して「野心的な改革の採用を歓迎する」 と表明。欧州当局者はギリシャ債で最大50%の評価額引き下げや銀行 の支援策、EFSFの拡充などに取り組んでおり、23日に開かれる欧 州連合(EU)首脳会議で具体策が打ち出されるかが注目されている。

1%割れに警戒感も

SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは「欧州 当局がもはや時間稼ぎはできないと観念し、課題解決に向けて前向き な行動を継続するとの期待が市場で芽生えてきた」と指摘。半面、具 体策の内容次第で市場の失望を招く可能性もあるとの見方もある。

欧州当局のこうした金融問題の取り組みで、長期金利の1%割れ を買い進むことに警戒感が出ている。三菱UFJ投信債券運用部の倉 林俊之次長は「これまでの内外株安や金利低下に揺り戻しが起きてい る。さすがに0.9%台を買い進む地合いではなくなった」とみる。

もっとも、投資家の潜在需要は強いとみられ、金利上昇懸念は乏 しい。三井住友海上火災保険の高野徳義グループ長は「入札を控えた 5年債は10年債への入れ替えで割安だが、利回りが0.4%に接近すれ ば買って良い水準。20年債も1.7%台の利回り水準なら生命保険や損 害保険も買っていかざるを得ないだろう」とみている。

5年、20年債入札は波乱なしか

18日に5年国債、20日に20年国債の入札がそれぞれ実施される。 JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は「5 年債入札では増発は織り込まれているので問題ないのではないか。20 年債入札は13日に行われた30年債入札が良かったこともあり、波乱 なく消化しそう」との見方を示している。

今回の5年入札について、前週末の入札前取引では0.38%付近で 推移しており、表面利率(クーポン)は前回債と横ばいの0.4%が予 想されている。発行額は2兆4000億円程度。バークレイズ・キャピタ ル証券の徳勝礼子シニア債券ストラテジストは「5年債は割安で、入 札はそれほど悪くないのではないか」と言う。

一方、20年債入札は、前週末の入札前取引では1.735%付近で推 移しており、クーポンは前回債より0.1ポイント引き下げの1.7%が 見込まれている。発行額は1兆1000億円程度。

市場参加者の予想レンジとコメント

14日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の 通り。先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは318回債。

◎三井住友海上火災保険の高野徳義グループ長

先物12月物141円80銭-142円50銭

新発10年債利回り=0.98%-1.05%

「長期金利は1%を挟んだレンジで推移か。米国債の動きにも反 応が鈍く、保守的な売買が続く。入札を控えて5年債は10年債への入 れ替えで割安だが、0.4%に接近すれば買って良い水準。20年債入札 が終わるまでは先物の上値も重そうだが、1.7%台の利回りなら生損保 も買っていかざるを得ないだろう」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物141円90銭-142円70銭

新発10年債利回り=0.97%-1.04%

「長期金利は1%中心の推移が続く。欧州債務問題に関する懸念 がいったん緩和したが、市場のリスクオフ(回避)の姿勢は変わらな い。米独の長期金利が振れても日本は安定しており、投資家はたんた んと押し目買いを入れてこよう。中期ゾーンは先行き増発が警戒され るものの、5年債が0.4%に接近すれば買いターゲットとみている」

◎SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジスト

先物12月物141円90銭-142円50銭

新発10年債利回り=0.995%-1.035%

「弱含みもみ合いか。4月上旬からの金利低下局面が潮目を迎え つつある。欧州財政危機に対し、政治が問題解決に本格的に乗り出し た。予断は許されないが、『質への逃避』に伴う金利低下圧力は低減。 一方、米10年金利がボトムアウトした可能性、大震災に伴う復興需要 の顕在化でカネ余り度合いが変化しつつあることも上値を抑える」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物12月物141円80銭-142円80銭

新発10年債利回り=0.95%-1.05%

「欧州債務問題が落ち着いてきたが、先行きの動向を見極めたい。 最近の米経済指標は強めで、ニューヨーク連銀製造業景気指数や住宅 関連指数が注目だ。5年債入札は、増発は織り込まれているので問題 ないだろう。20年債入札は、13日の30年債入札が良かったこともあ り波乱なく消化しそう」

--取材協力:赤間信行、池田祐美、船曳三郎 Editors:Masaru Aoki,Hidenori Yamanaka

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