【クレジット市場】ソフバンク信用力低下、iPhone独占崩れ

米アップルの携帯電話「iPhon e(アイフォーン)」の日本での取り扱いを一手に引き受けていたソフ トバンクの信用力が、急速に低下している。KDDIも国内販売に加わ ることに伴う独占崩壊のデメリットが懸念されている。

信用力を示すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のソフ トバンク5年物は、KDDI参入が報じられた9月22日以降に急上昇。 5日に330ベーシスポイント(1bp=0.01%)と昨年7月以来の高水 準に達した。この間の上げは145bpと同業のNTTドコモの4bpや KDDIの11bpに比べ際立つ。13日時点でも300bp。

2008年7月から「iPhone」国内販売を独占してきたソフトバ ンクの今年9月末の携帯契約数は2690万件。2位KDDIとの差はこの 3年強で450万件近く縮まり676万件になった。「iPhone」効果で 10年3月期以降、年間営業利益ではKDDIを上回る。

朝日ライフアセットマネジメントの中谷吉宏シニアファンドマネジ ャーは「iPhoneはデータ通信収入を増やし、ソフトバンクの収益 をブーストさせてきた」と指摘。KDDI参入で独占体制が崩れ顧客も 流出するとの懸念が、CDSを急上昇させたとしている。

ソフトバンクのCDSはリーマン・ショックを受け2400bp超まで 上昇した。06年の携帯事業買収で巨額の負債を負った点が背景にあった が、iPhone効果で返済が順調に進み、借り換えも進行。4月下旬 から6月初めには100bpを切る水準に下がっていた。

顧客流出の懸念

ブルームバーグ・データによると、KDDIの参入報道を受けてソ フトバンクのCDSが急上昇した期間で、市場の動きを示すマークイッ トiTraxx日本指数は49bp上昇の233bpにとどまった。この間 ソフトバンク社債のスプレッド(国債との利回り差)も、拡大傾向を示 した。同社広報担当の伊東史博氏はiPhone販売の独占崩壊と同社 の信用力低下との関連について13日、コメントを避けている。

ソフトバンクの信用力の低下基調は「4S」の料金体系を発表した 7日を機にいったん止まった。KDDIよりも安いデータ定額料金の適 用継続とiPhone旧機種から乗り換える顧客への優遇策を打ち出し た。朝日ライフアセットの中谷氏は「これで顧客流出に歯止めが掛かる と安心する向きが増えた」と述べている。

SMBC日興証券の森行真司アナリストは今後に関し、これまでi Phoneを買えなかったKDDI契約者に「マグマがたまっている」 として、当初はKDDIの契約純増数が伸びる可能性を指摘。「そうな れば最悪、ソフトバンクからの顧客流出懸念が一時的に拡大し、信用悪 化を招く可能性がある」という。

同氏は「エントリーユーザーは料金を一番重視する」とも述べ、契 約統計発表などで「流出が大規模ではないと確認できれば、信用悪化も 沈静化する」と分析している。

収益拡大と通信網

iPhoneなどのスマートフォンには、データ通信収入を急増さ せる代償として、通信網を混雑させる側面がある。他社に比べ携帯がつ ながりにくいとの批判を受けたソフトバンクは11年3月期に、それまで で最大の4205億円の設備投資を実施。さらに今期と来期にも各5000億円 の投資を行う計画だ。

KDDIの田中孝司社長は14日、発売記念セレモニーで、自社の通 信網をアピールし、出遅れていたスマートフォン戦略で巻き返す意向を 示した。

通信網に関しては、コスモ証券の川崎朝映アナリストが「KDDI の方が値段は高いが通信網はつながりやすい」と指摘していた。

これに対しソフトバンクの孫正義社長は、同社が採用している通信 規格向けに「iPhoneはもともと開発が進んでいた」ことから、K DDIにはない機能が多いと利点をアピールしていた。

--取材協力 東京 Kazuyo Sawa, Pavel Alpeyev, Yuki Yamaguchi, Takashi Amano Editors:Eijiro Ueno, Hidekiyo Sakihama

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