欧州危機、リーマン破局を想起させる段階に-G20が最後のチャンスか

【記者:Simon Kennedy and Elisa Martinuzzi】

10月14日(ブルームバーグ):ガイトナー米財務長官は9月24 日の朝、各国の財務相らに対して、「欧州が悪化する債務危機を解決 しない限り、連鎖的なデフォルト(債務不履行)と銀行の取り付け、 大惨事のリスクが世界経済の行く手に待ち受けることになる」と警告 した。

ガイトナー財務長官は自らの経験と教訓に基づいてこの発言を行 った。ガイトナー氏は3年前、リーマン・ブラザーズ・ホールディン グスの破綻を受けた混乱の中で、ニューヨーク連銀総裁として金融シ ステムを支えるために力を尽くした。

財務長官はワシントンで開かれた国際通貨基金(IMF)の会合 でこの警告を発したが、これに先立つ2回の週末にはフランスとポー ランドを訪れ、欧州の政策担当者に行動を直接訴えていた。

2008年9月15日のリーマン破綻の後、金融機関は約1兆ドル (約77兆円)の損失ないし評価損を被り、S&P500種株価指数は 半年で40%下落した。戦後最悪のリセッション(景気後退)に陥った 世界経済はそこから回復しきれておらず、過去数カ月は再びほぼ失速 に近い状態が続いている。バークレイズ・キャピタルのアナリストら は、欧州の債務危機の影響で、7月1日以降に約13兆ドル相当の資 産が失われたと試算する。

これは世界的な危機

ノーベル経済学賞受賞者であるコロンビア大学のロバート・マン デル教授によれば、欧州の悪夢のシナリオは金融の新たな大惨事の発 生を意味する。最悪の場合、欧州当局はギリシャのデフォルトを阻止 できず、支払い不能を引き起こす投資家の反応がイタリアやスペイン に波及する。そのような嵐は銀行のバランスシートに壊滅的な打撃を 与え、市場を揺るがして経済成長を妨げ、ユーロ圏を分裂させる恐れ がある。

欧州単一通貨ユーロの理論的支柱になったとされる研究を行い、 「ユーロの父」と称せられるマンデル教授は6日のブルームバーグテ レビジョンとのインタビューで、「リーマン破綻の直前の段階でも、 その後起こったような出来事を誰も予想し得なかった。われわれはま さに危機の渦中にある。ソブリン債危機というだけでなく、銀行の危 機であり、これは今や世界情勢となっている。米国にも影響が波及し ようとしている」と語った。

大恐慌しのぐ破局も

ガイトナー財務長官の先月の発言は、世界各国の要人が相次いで 行っている破局の到来への警告の一つにすぎない。イングランド銀行 (英中央銀行)のキング総裁は、大恐慌よりもひどい金融危機が起き る可能性があると述べ、欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁も10 月11日、「危機がシステム全体に影響を与える次元に達した」との 見方を示した。

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントのジム・オニ ール会長は、14日パリで開幕する20カ国・地域(G20)財務相・中 央銀行総裁会議からスタートする欧州連合(EU)とG20の一連の会 議こそが、メルトダウン(崩壊)に歯止めをかける最大のそして最後 のチャンスだと指摘。「カンヌで開かれるG20首脳会議(サミット) で何ら成果が出てこなければ、それこそ悪夢だろう」と話している。