債券先物は1カ月ぶり安値、欧州懸念緩和や30年債入札に絡んだ売りで

債券相場は下落し、先物は一時約 1カ月ぶりの安値を付けた。前日の米国市場で、欧州債務懸念が和ら ぎ、債券安・株高となった流れを継続して売りが先行した。この日実 施の30年債入札は無難な結果となったものの、販売に時間がかかると の見方が広がり、先物中心にヘッジ売りなどが膨らんだ。

パインブリッジ・インベストメンツ運用本部の松川忠債券運用部 長は、「全体的に先週から株式、商品、ユーロなどリスク資産を選好す る流れが継続しており、債券が売られる傾向となっている。春から夏 にかけての強気相場がいったん終わった感じ」と述べた。

東京先物市場で中心限月12月物は、前日比13銭安の142円35 銭で始まり、午前は142円20銭台中心に推移した。午後に入ると一段 安となり、1時半過ぎには142円13銭と、中心限月の日中ベースで9 月1日以来の安値を記録。結局は24銭安の142円24銭で引けた。

先物が午後に下げ幅を拡大させたことについて、30年債入札に関 連した売りなどが膨らんだためとの見方が出ていた。パインブリッジ の松川氏は、「入札結果は思ったほど悪くなかったが、発行額が7000 億円程度で一気に吸収できず、抱えている30年債へのヘッジ売りが出 ている。他の年限を売って、30年債を買う動きもあるのではないか。 時間をかけて消化するため、相場が反発するのは厳しい」と解説した。

30年債利回り1カ月ぶり高水準

現物債市場では超長期債が安い。30年物の35回債利回りは一時 3ベーシスポイント(bp)高い1.94%と1カ月ぶり高水準を付けた。20 年物の130回債利回りは3.5bp高い1.735%と9月21日以来の水準ま で上昇した。

財務省がこの日実施した30年利付国債(35回債、10月発行)の 入札結果によると、最低落札価格は101円05銭となり、事前予想(101 円00銭)を上回った。一方、小さければ好調とされるテール(最低と 平均価格との差)は11銭となり、前回の8銭からやや拡大。応札倍率 は3.27倍と前回の3.55倍から低下した。

現物債市場では、日本相互証券がシステム障害の影響で午前の現 物債取引を見送っていたが、午後の通常取引時間の零時25分から再開 した。システムが復旧したことによる。現物債取引の停止は、東日本 大震災が発生した3月11日以来。

クレディ・スイス証券の海老原慎司債券ストラテジストは、「30 年債入札結果は無難。午前に日本相互証券経由の取引が使えなったの で弱気の見方もあった。しかし、同証券以外の取引で出合った水準が 平均落札価格となった」と語った。

長期金利は1.02%まで上昇

長期金利の指標とされる新発10年物の318回債利回りは、午後零 時30分にようやく前日比2bp高い1.015%で始まった。午後1時半過 ぎには2.5bp高い1.02%と、新発10年債として3日以来の高水準を 付けた。その後は1.015-1.02%で推移している。

朝方は米国市場動向を受けて売りが先行した。12日の米国債相場 は下落。欧州当局者が域内の債務危機を収束させるとの楽観的な観測 が広がり、安全逃避先としての米国債の魅力が減退した。米10年債利 回りは一時2.27%と9月1日以来の高水準を記録。一方、米株式相場 は上昇。S&P500種株価指数は1%高の1207.25。

欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会のバローゾ委員長 は、危機に見舞われた域内銀行の資本強化とギリシャ融資第6弾の実 行、恒久的な救済枠組みとなる欧州安定化メカニズム(ESM)の発 足前倒しを呼び掛けた。

三菱UFJ投信債券運用部の倉林俊之次長は「欧州の債務問題に 対する政策対応に一定の評価がなされ、これまでの内外株安や金利低 下に揺り戻しが起きている。さすがに0.9%台を買い進む地合いでは なくなった」と話した。ただ、「金融システム不安が解消するわけでは なく、手放しでリスクオン(選好)の地合いに転換するとは考えづら い。1%付近の水準から大きくかい離するのでなければ、投資家はい ずれ押し目買いで動くとみている」とも言う。

--取材協力:山中英典、赤間信行 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

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