欧州の銀行、賞与・配当停止で増資困難に-36兆円資本増強に逆効果も

【記者:Ben Moshinsky and Jim Brunsden】

10月13日(ブルームバーグ):欧州の金融機関が欧州連合(EU) の一段と厳しい資本基準を満たすために資本注入を必要とする場合、 バンカーらはボーナスをあきらめ、株主は配当見送りを受け入れざる を得ないという現実に直面することになる。

EUの行政執行機関、欧州委員会のバローゾ委員長は12日、欧州 の債務危機に対応する域内銀行の資本増強策を公表した。これには報 酬および配当の制限と資本準備金の積み増しが盛り込まれている。

ドイツ銀行連盟(BDB)は、EUの提案は根本的な問題を何ら 解決するものではなく、むしろ民間からの資本調達をさらに難しくす ると批判。ミヒャエル・ケマー事務局長は電子メールで配布した文書 で、「配当支払いの禁止で増資がなお一層困難になり、逆効果となる恐 れがある」と警告した。

事業に詳しい関係者1人が12日明らかにしたところによると、E Uの銀行監督機関である欧州銀行監督機構(EBA)は、バローゾ委 員長の資本増強策の一環として、狭義の中核的自己資本(コアTie r1)比率の9%達成を域内の金融機関に暫定的に義務付けることを 検討している。

バローゾ委員長は、新たな基準を満たすことができない銀行は、 「できる限り早急に」資本増強策を提示しなければならないとした上 で、それまでの間、「監督当局が配当とボーナスの支払いを禁止する必 要がある」と言明した。

欧州全体で36兆円

配当問題の解決は難しいとしても、銀行は最も優秀な行員に対す る報酬については、現行水準を維持できる手段を見つけることができ るだろう。ロンドンを拠点とするアレン・アンド・オブリーで金融規 制を担当する弁護士のボブ・ペン氏は「ボーナスの問題はたやすく回 避されよう。銀行は有能な人材の流出を恐れ、固定給の引き上げを提 案することになろう」と話す。

みずほ証券のアナリスト、ロジャー・フランシス氏(ロンドン在 勤)の試算によれば、コアTier1比率9%と保有するソブリン債 を時価評価するストレステストの下では、イタリアのウニクレディト が約580億ユーロ(約6兆1700億円)、英銀ロイヤル・バンク・オブ・ スコットランド・グループ(RBS)は約188億ユーロの資本増強が 必要となり、欧州の銀行全体の必要額は3390億ユーロ(約36兆円) に達する見通しだ。