ウォール街に「出口がない」、銀行が恐れる衰退と失望の長期暗黒時代

「ウォール街を占拠せよ」のデモ 隊が4週間にわたって居座る米金融街。しかし、業界幹部らが心配し、 やり場のない怒りを感じている理由はほかにある。

バンカーにとって衰退と失望の時代は何年も続きそうだ。業界幹 部や投資家がそのような悪い予感を抱いていることが、20人余りとの インタビューで分かった。彼らによれば、それは政府の干渉や迫害の せいだ。現在の停滞の中で勝ち点を上げるには世界が不安定過ぎ、レ バレッジとリスク意欲が足りなさ過ぎだという。

ヘッジファンド、ナビゲーター・グループのチャールズ・スティ ーブンソン社長は「今は金をもうける時ではなく、生き残りを模索す るべき時だ」と話す。同社長が住民自治会の会長を務めるパークアベ ニュー740番地のマンションは11日にデモ隊に取り囲まれた建物の1 つだ。同マンションには同社長のほか、投資会社ブラックストーン・ グループのスティーブン・シュワルツマン会長やCITグループ最高 経営責任者(CEO)のジョン・セイン氏らも住んでいる。「未来はわ れわれが知っている過去のようなものにはならない。この泥沼からは 出口がない」と同社長は言う。

世界的な景気の弱さ、欧州ソブリン債危機、9%超に高止まりす る米失業率、停滞する株式市場が、信用危機から立ち直り2009年は過 去最高益に沸いていたウォール街の陶酔に冷水をかけた。

四半期赤字

納税者からの救済7000億ドルと米連邦準備制度理事会(FRB) からの緊急融資1兆2000億ドルの効果は薄れた。来週はゴールドマ ン・サックス・グループが決算を発表するが、ブルームバーグ・ニュ ースがまとめたアナリスト26人の予想平均では1999年の株式公開以 来2回目の四半期赤字が見込まれている。

04年の米グーグルの新規株式公開(IPO)で、すべての公募・ 売り出し株が売れる水準まで価格を下げていくダッチ方式の入札を編 み出した米投資銀行WRハンブレクトのウィリアム・ハンブレクトC EOは、「彼らが望むような金は稼げなくなる」が、「過去のあれは金 融バブルだったという事実を、彼らが受け入れられたかどうかは怪し いものだ」と話した。

資本と流動性の新規則「バーゼル3」の下で銀行は自己資本比率 を2倍以上に高めなければならない。米金融規制改革法のボルカール ールの草案に従えば債券事業の収入は25%減少しかねないと、サンフ ォード・C・バーンスティーンのアナリスト、ブラッド・ヒンツ氏が 試算した。各社がレバレッジを低下させる中で、規則により株主資本 利益率(ROE)が4-6ポイント低下するとモルガン・スタンレー などのリポートが指摘している。

大衆迎合政権の産物

米資産家でプライベートエクイティ(未公開株、PE)投資家の ウィルバー・ロス氏は電子メールで、これら新規則は「ワシントンの 大衆迎合的政権」の社会的政策の産物だと断じた。

とは言え、バンカーの未来は暗いばかりではないようだ。米財務 省の問題資産購入計画(TARP)の特別監察官を務めたニール・ バロフスキ氏は電子メールで、「私ならウォール街のことをそれほど心 配しない」として、「金融危機に至るまでの時期に大き過ぎてつぶせな い銀行が謳歌(おうか)していたシステム上の有利さは短期的には後 退したかもしれないが、本質的な構造は変わっていない。良い時代が 戻ってくれば再び最高益と最高ボーナスへとまっしぐらに進む銀行を 後押ししてくれるだろう」と語った。