貧困層支援目指したオバマ大統領の母の夢、NPOがファンドで実現へ

米ニューヨーク市のマンハッタ ンにある民間非営利団体(NPO)「女性のための世界銀行」のマリ ー・エレン・イスケンデリアン最高経営責任者(CEO)は、らせんと じの青い書籍に収められた、ほとんど知られていないマイクロファイナ ンス専門家の助言に従っている。その専門家とは、オバマ米大統領の母 親、アン・ダナム氏だ。

イスケンデリアンCEOによると、貧困層支援のため金融サービス 業界を対象にキャンペーン活動を行った人類学者、アン・ダナム氏は 20年前、バンク・ラヤット・インドネシアで地方の融資プログラムに ついて調査した。同CEOはこのリポートについて、今でも参考にする 価値があると語る。ダナム氏は、金融機関はパフォーマンス向上のため だけに再融資を行ったり、顧客が取り扱える以上の額の資金を融資した りすべきではないと書いている。

ダナム氏がかつて示したこの方向に沿って、プライベートエクイテ ィ(未公開株、PE)投資ファンドを立ち上げる。同CEOはこの NPOの新たな船出に際し、ダナム氏が残した助言を心に留めておくつ もりだ。

イスケンデリアンCEO(52)によれば、古代エジプトの女神にち なんで名づけられたこの「イシス・ファンド」は「利益獲得という動機 と社会的目標の達成との微妙なバランス」を保っていく方針だ。

マイクロファイナンスは、世界の貧困層に対して小口融資を行う事 業。この事業を手掛けるNPOの金融機関への移行が進む中、マイクロ ファイナンスに出資する国際的な投資家が増えている。そのうちの1つ で、著名投資家ジョージ・ソロス氏が支援するSKSマイクロファイナ ンスは昨年、新規株式公開(IPO)で163億ルピー(現在のレートで 約260億円)を調達した。マイクロファイナンス・エクイティ・ファン ド審議会(ボストン)にはシティグループのロンドンのマイクロファイ ナンス部門など23社が加盟する。

バングラデシュのグラミン銀行を創設し2006年にノーベル平和賞 を受賞したムハマド・ユヌス氏はこのような展開を好ましく思っていな い。インタビューで「真の意味のマイクロクレジット(小口融資)は 人々が貧困から抜け出すのを支援するためのものであり、富裕層の収入 源ではない」と指摘した。

唯一の方法

イスケンデリアンCEOは、世界で金融サービスにアクセスできな い約28億人にサービスを提供する唯一の方法は投資家から資金を募る ことだと主張。このNPOのファンドは、小口融資を行う金融機関が確 実に貧困層の女性に対し忠実にサービスを提供し続けられるようにする ことを目指すという。

このNPOは27カ国で39カ所のマイクロファイナンス提供機関 のネットワークを持ち、顧客2600万人は主に女性。今回設定する資産 規模6000万ドル(約46億円)のファンドは、1日当たり数ドルで生 活している人々に融資を提供する機関に出資する予定だ。