ユーロが9月下旬以来の高値圏、銀行支援策が支え-ドル・円76円後半

東京外国為替市場では、ユーロ がドルと円に対して9月下旬以来の高値圏で取引された。ドイツとフラ ンスによる欧州の銀行支援表明をきっかけに域内の債務問題をめぐる市 場の懸念が緩和し、ユーロが底堅さを維持した。

ユーロ・円相場は正午過ぎに1ユーロ=104円39銭まで下押され たあと、午後の取引で104円73銭まで上昇。その後は104円台半ば を中心に推移した。前日の海外市場では一時104円99銭と、9月21 日以来、約3週間ぶりの高値を付けていたが、連休明けの東京市場は、 ギリシャの債務削減をめぐる不透明感が残り、ユーロの上値を追う展開 とはならなかった。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、欧州発の安心材 料を受けた前日の米株上昇で「市場が楽観に傾いた」とし、ユーロは売 り持ち高が積み上がり過ぎた反動で上昇したと説明。ただ、ユーロ圏の 首脳会議(サミット)が延期されており、ギリシャの債務削減が遅れて いるとの連想が働きやすい面があるとし、「ここからユーロは買えない 」といい、ユーロの戻りは限定的になるとみている。

前日の海外市場で1ユーロ=1.3699ドルと、9月21日以来の水 準まで上昇していたユーロ・ドル相場は1.3617ドルを下値に底堅さを 維持したが、上値は1.3658ドルにとどまった。

一方、ドル・円相場はユーロ主導の展開が続く中、ドルの高値が1 ドル=76円76銭、安値が76円62銭と、値幅14銭のレンジ内での取 引に終始した。前日の取引では一時76円97銭と、3営業日ぶりの水 準までドル高・円安が進む場面が見られていた。

欧州懸念が緩和

サルコジ仏大統領はメルケル独首相と9日に行った記者会見で、 「われわれは今月末までに危機の問題とビジョンの問題に対応すること になるだろう」と発言。さらに、メルケル首相は銀行が十分な資本を確 保するために欧州の指導者らは「必要なあらゆる対応策」を実行すると 言明し、サルコジ大統領は11月3日に開かれる20カ国・地域(G20) 首脳会議までに計画をまとめると約束した。

独仏主導の銀行支援策を受け、前日の海外市場では株価が上昇。ダ ウ工業株30種平均は300ドルを超える大幅高となり、株価の予想変動 率の指標であるシカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリテ ィ指数(VIX指数)は9月20日以来の水準に急低下している。

さらに、保有する欧州のソブリン債をめぐる不安が広がって短期資 金の調達に行き詰まっていたベルギー・フランス系銀行デクシアの解体 が10日までに決定され、ベルギー政府は国内の消費者向け金融部門を 買収することで合意。不良資産を引き受けるバッドバンクを設立するこ とも決まった。

この日の東京市場では、欧州懸念の緩和などを背景に、日本株が3 日続伸。日経平均株価は一時9月16日以来となる8800円台に乗せる 場面も見られた。

SMBC日興証券の野地慎シニア債券為替ストラテジストは、ギリ シャの大幅なヘアカット(債務減免)を想定した場合に最も懸念されて いるのが金融機関への影響と、それに伴う金融システム不安だっただけ に、「資本増強ということがコミットされたということは、非常に大き い」と説明。積み上がっていたユーロ売り持ち高の解消につながり、市 場は次の一手を見極める「ターニングポイント」にあるとしている。

ユーロ圏サミット延期

一方で、18日に予定されていたユーロ圏サミットは23日に延期 された。欧州連合(EU)のファンロンパイ大統領が10日に電子メー ルした声明によると、「ギリシャの状況や銀行の資本増強、安定のため の仕組みの効率向上などに対応するため追加の要素が必要とされている 」とされ、変更後の「日程ならば、包括的な戦略の最終案をまとめるこ とができる」と説明されている。

そうした中、ギリシャのベニゼロス財務相は10日、同国のメガT Vとのインタビューで、EUと欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金 (IMF)の代表団との協議が事実上終了したことを明らかにするとと もに、報告書の準備に約10日間必要になるだろうと語った。

また、ECB当局者が匿名を条件に明らかにしたところによると、 7月21日のユーロ圏サミットで合意したギリシャ支援を含む一連の救 済策について、ドイツが修正を求めているが、ECBはこれに反対して いるという。

外為オンラインの佐藤氏は、「このままでは、なかなかギリシャの 財政赤字削減が進まないのは事実」とした上で、欧州内銀行の資本増強 についても、「裏を返せば、万が一の時に備えている」ということだと し、ユーロに対する警戒感は根強いとみている。

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