【今週の債券】長期金利1%前後か、欧米懸念や投資家需要-高値警戒

今週の債券市場で長期金利は1% 前後の推移が予想されている。欧米経済の先行き不透明感に加えて、 今年度下期入りで投資家が債券残高を積み増す需要が支えとなる見通 し。半面、前週は今年の最低水準まで長期金利が低下しており、相場 水準の高さに対する警戒感も強い。

SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは、今週 の長期金利は1.0%前後でのもみ合いを予想している。「欧州債務問題 が継続する中、下期の初めで投資家から買いが入りそう。ただ、高値 警戒感もあり、上にも下にも行きにくい」と述べた。

長期金利の指標となる新発10年債利回りについて、ブルームバー グ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全体で

0.95%から1.05%となった。前週末終値は0.985%。

前週の長期金利は、1.0%台前半から0.9%台後半へ水準を切り下 げた。欧州債務危機への警戒感や世界的な景気減速懸念が背景。今年 度下期入りしたことで投資家の購入意欲が強まり、6日には一時

0.965%と9月22日に付けた今年最低水準に並んだ。

1%台では着実に買い

岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長は、「欧州の債務 問題に関する懸念が足元で緩和しているが、根本的な解決には相当の 時間が必要だろう。利回り0.9%台を買い進む展開には至らずとも、 1%乗せでは着実に押し目買いが入る」との見方を示している。

ドイツのメルケル首相とフランスのサルコジ大統領は、今月にま とめる新たな危機対応の作戦計画の焦点を銀行に定めた。新計画は12 週間前にまとめられ、まだ実践に至っていない計画を置き換えること になる。

今週14、15日には20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁 会議が開催される。欧州の金融機関の資本増強やEFSF(欧州金融 安定ファシリティー)の機能拡充が進展するかが焦点。UBS証券の 伊藤篤シニア債券ストラテジストは、「欧州債務問題で具体的な対策が 前進するのかが注目される。楽観的な見方が後退すれば、債券相場は 高値を試す可能性もある」と語った。

一方、欧州は債務危機打開策を話し合う首脳会議(サミット)を 18日から23日に延期。ギリシャ債の評価額引き下げ幅拡大をめぐり ドイツとフランス、欧州中央銀行(ECB)の意見が一致せず調整の ための時間が必要とみられる。スペイン、イタリアの危機からの隔離、 銀行への影響阻止の方策を手探りしている状態だ。

国内指標では、11日に9月の景気ウオッチャー調査、12日に8月 の機械受注が発表される。ブルームバーグ調査では、景気ウオッチャ ーの現状判断DIは46.5(前月は47.3)、機械受注は前月比3.9%増 (前月は同8.2%減)が見込まれている。トヨタアセットマネジメン トの浜崎優チーフストラテジストは、「東日本大震災からの回復が一巡 しつつある中、景気持続を判断する上で、景気ウオッチャー調査に注 目している。最近、機械受注は伸び悩んでおり、増加傾向が維持され るかが鍵となる」と述べた。

30年債入札、波乱ないとの声

13日に30年利付国債の価格競争入札が実施される。前回9月に 入札された35回債と銘柄統合されるリオープン発行で表面利率(クー ポン)は2.0%。発行額は前回債と同じ7000億円程度。

30年債入札について、JPモルガン・アセット・マネジメントの 塚谷厳治債券運用部長は、「世界的に超長期や長期債利回りが低下して おり、波乱なく通過すると思う。海外金利の低下で国内債券の魅力が 増している」と語った。SMBC日興証の野村氏は「第3次補正予算 編成に伴う国債増発の対象に超長期債が入る可能性があり、利回り曲 線がブル・フラット(平たん)化するほどではない」と言う。

市場参加者の予想レンジとコメント

7日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は中心限月12月物、新発10年国債利回りは318回債。

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物142円10銭-143円00銭

新発10年債利回り=0.95%-1.03%

「長期金利は1%付近で推移。欧州の債務問題に関する懸念が足 元で緩和しているが、根本的な解決には相当の時間が必要だろう。前 週の相場は10年国債の入札通過後もしっかりするなど、下期の買いが 徐々ににじみ出ている状況。利回り0.9%台を買い進む展開には至ら ずとも、1%乗せでは着実に押し目買いが入るとみている」

◎みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジスト

先物12月物142円20銭-142円90銭

新発10年債利回り=0.96%-1.02%

「欧州の混乱が収束方向で米独国債利回りは上昇余地があるもの の、円債への影響は弱まっている。むしろ期初の買いが強く、10年債 入札で1%台を買い逃した投資家は利回り水準を切り下げていかざる を得なくなっている。一方、30年債は20年債と比べても軟調で、入 札がやや警戒される。水準的にも強い買いは期待できない」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物12月物142円00銭-143円00銭

新発10年債利回り=0.95%-1.05%

「引き続き横ばい圏か。米国や中国の経済指標に注目している。 ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は現行の低金利政策継続を決 めており、方向感が出にくい。世界的に超長期、長期債利回りが低下 しており、30年債入札は波乱なく通過すると思う。海外金利の低下で 国内債券の魅力が増している」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物12月物142円25銭-143円00銭

新発10年債利回り=0.95%-1.02%

「相場は緩やかな上昇基調が続きそう。投資家の押し目買い意欲 も強い。欧州債務問題に対する不安が後退しても、抜本的に解決する わけではなく、金利が上昇する環境ではない。米国のデモが政治的な 影響を与え、消費者心理が悪化し、内需を冷やす可能性もある。30年 債入札は下期も生命保険など年限長期化圧力が強く、波乱なしか」

--取材協力:赤間信行、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Joji Mochida

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