欧州の銀行資本増強、20兆円試算も-高債務国と同時救済の現実

(最終段落に専門家のコメントを追加して更新します)

【記者:Gavin Finch and Liam Vaughan】  10月7日(ブルーム バーグ):欧州連合(EU)の指導者らは、域内の銀行の包括的支援策 を11月の20カ国・地域(G20)首脳会議までに策定するよう求める 投資家の圧力にさらされている。

MFグローバルのセールス担当責任者、サイモン・モーン氏(ロン ドン在勤)は6日のブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、 「銀行の資本増強の包括的な実施、場合によっては過度の資本増強を行 うことだけが、この重大な岐路で信頼感を回復させる唯一の手段になる だろう」と語った。

EUの行政執行機関である欧州委員会のバローゾ委員長は6日、欧 州の銀行への資本注入計画が「進行中である」ことを明らかにした。国 際通貨基金(IMF)のボルヘス欧州局長によれば、欧州の金融機関は 最大で2000億ユーロ(約20兆5900億円)の追加資本を必要とする可 能性がある。

EUの指導者らが包括的な銀行資本の増強計画で合意するとの観測 が広がり、ブルームバーグ欧州銀行金融サービス指数は過去2営業日で 9%上昇した。ギリシャやイタリア、スペイン、ポルトガルの国債を保 有する金融機関が評価損を被るとの投資家の懸念が高まり、銀行株は年 初来で30%下げている。

特効薬ではない

モルガン・スタンレーの銀行アナリスト、ヒュー・ファンステーニ ス氏(ロンドン在勤)は、借り入れコストへの各国政府の対応能力をめ ぐる疑念はなお払拭(ふっしょく)されず、銀行の資本増強も投資家の 安心感につながらないのではないかと指摘。銀行への資本注入は危機を 退治する「銀の弾丸」(特効薬)とはならず、ソブリン債支援策と同時 に実行する必要があるとの見方を示す。

JPモルガン・チェースの9月26日付の顧客向けリポートによれ ば、銀行が保有するギリシャ国債の60%、ポルトガルとアイルランド の国債の40%、イタリアとスペインの国債の20%に相当する評価損を 計上すると想定した場合、追加資本の必要額は約1480億ユーロに上る と試算される。ドイツ最大の銀行であるドイツ銀行は97億ユーロ、コ メルツ銀行は51億ユーロ、フランスのソシエテ・ジェネラルは60億 ユーロが必要になるとみられる。

国が弱体化する危険

クレジットサイツのストラテジスト、デービッド・ワッツ氏(ロン ドン在勤)は「ソブリン債危機が解決するまで、銀行危機は解決しない だろう。資本注入は有効な方法ではない。必要な資本額が大き過ぎるた め、その国が弱体化する恐れがある」と警告する。

一方、ロンドンを拠点とする政策グループ、リデファイン・ヨーロ ッパのマネジングディレクター、ソニー・カプール氏は、高債務国の救 済基金である欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の役割の限界に 言及し、「経営難の銀行と高債務国の両方を支援するには規模が十分で ない。機能の拡充が実現しても、支援を最も必要とする高債務国の脆弱 (ぜいじゃく)な銀行を助けることはできないだろう」と話している。

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