ユーロが1週間ぶり高値圏、銀行資本強化観測で-米雇用統計見極め

東京外国為替市場では、ユーロが 対ドルで1週間ぶり高値圏で推移した。欧州当局が銀行資本強化に動 いているとの観測を背景に投資家のリスク回避姿勢が和らぐなか、ユ ーロは1ユーロ=1.34ドル台を維持。ただ、根本にある欧州債務問題 への懸念は根強く、海外時間に注目の米雇用統計の発表も控えて、ユ ーロの上値は限られた。

午後4時現在のユーロ・ドル相場は1.3440ドル前後。前日の海外 市場では一時1.3451ドルと9月30日以来の水準までユーロ高・ドル 安が進んでいた。ユーロ・円相場は1ユーロ=102円96銭付近。海外 時間には103円10銭を付ける場面があった。

一方、ドル・円相場は1ドル=76円台後半での小動きに終始。午 後には76円59銭まで円が強含む場面も見られたが、その動きも続か ず、日中の値幅はわずか14銭にとどまった。日本銀行はこの日開いた 金融政策決定会合で、全員一致で現状維持を決定した。

ステート・ストリート銀行の富田公彦金融市場部長は「ユーロ圏 の問題が簡単に片付かないことはみんなもう分かっているが、今のと ころ次の取っ掛かりにできる、これまで以上に悪い話がない」と指摘。 「大きな意味ではユーロ売りといっても、マーケットは同じことばか りだと疲れてしまう。ただ、悪い話が出てくればまた乗るのだろう」 と語った。

一方、米雇用統計について、富田氏は「ある程度悪いだろうとい うことはみんな頭の中に入っているので、例えば雇用者数がマイナス というようなことでなければ、瞬間的な動きだけでそれほど大きな材 料にはできないのではないか」と話した。

銀行の資本増強欧州危機への対応

メルケル独首相は6日、銀行の資本不足を指摘する専門家の意見 を「極めて深刻」に受け止める必要があり、資本増強の必要があると 分かれば「十分な資金が投入される」と言明、「われわれはその時点で ためらうべきではない」と強調した。欧州連合(EU)の行政執行機 関、欧州委員会のバローゾ委員長は同日、銀行の資本強化に向けた協 調行動を同委が加盟国に提案していることを明らかにした。

欧州当局者は銀行の財務基盤強化に取り組み始め、ギリシャの債 務負担軽減に向けた手段を検討している。メルケル首相は投資家が確 実視しているギリシャのデフォルト(債務不履行)に備える必要性に 言及する一方、フランスのサルコジ大統領は、同国の銀行が最大の損 失を被ることになるデフォルトに慎重だ。両首脳は9日にベルリンで 会談を行う。

欧州の危機対応が前進しているとの観測を背景に前日の欧米株式 相場は続伸。7日のアジア株も上昇した。

クレディ・スイス証券外国為替調査部の深谷幸司チーフ通貨スト ラテジストは、欧州中央銀行(ECB)はきのう利下げを見送ったが、 「基本的には金融緩和方向で、流動性供給の話もリスクアセットには プラス」だと指摘。銀行への資本注入の話もリスクオン(選好)の傾 向を強めているとし、「アジア時間も株はしっかりだろうから、よほど ネガティブな話が出ない限りムードが壊れることは恐らくないだろう」 と話していた。

一方、三菱UFJモルガン・スタンレー証券クレジット市場部為 替課長の塩入稔氏は「われ先にと資産圧縮に走る雰囲気ではなくなっ ている」ものの、「欧州の問題も銀行に資本注入するという期待だけで きているし、おまけに米国が景気減速し、新興国の景気も減速傾向が 出ている。そういう意味では真剣にリスクを増やすという感じではな い」と語った。

米雇用統計

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれば、 7日発表の9月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数は5万5000人 増加したとみられている。失業率は9.1%と横ばいの見通し。

ステート・ストリート銀の富田氏は「一時は『ジョブレス・リカ バリー(雇用なき回復)』とも言われていたが、今や『ジョブレス・リ セッション(雇用なき景気後退)』になりそうだ」とし、仮に雇用者数 がマイナスとなった場合は、リスク回避の動きが強まり、ドルはむし ろ買われる可能性があると指摘した。

三菱UFJモルガン・スタンレー証の塩入氏も「強い数字が出れ ば、何となく今のムードを引き継いで株も買われて債券は若干売られ、 為替はきっとドル売りというような形になりそうな雰囲気だし、逆に 弱くて株が崩れれば、またドル買いになる」と予想。ただ、週末の独 仏会談や月内に予定されているギリシャ国債の償還などを見極めない と「本気で大きな舵を切ることはできない」と話した。

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