債券下落、欧州危機対応受けた株高警戒-日銀政策現状維持に反応薄

債券相場は下落。欧州各国が債務 危機解決に向けた取り組みを強めているとの観測から、前日の米国市 場で株高・債券安となった流れを引き継いで売りが優勢だった。一方、 日本銀行が金融政策の現状維持を決めたことは事前予想通りで、相場 の反応は限定的となった。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは、 「欧州中央銀行(ECB)と英イングランド銀行(BOE)の政策決 定を受けて金融システムに対する不安感が後退して、株価が堅調とな っており、債券は売りが優勢となっている」と話した。

東京先物市場で中心限月12月物は、前日比8銭安の142円65銭 で取引を開始。しばらく142円60銭台中心に推移していたが、午後の 取引開始後に日経平均株価が上げ幅を拡大すると売りが増えて、この 日の安値142円54銭まで下落。その後はやや持ち直し、結局は9銭安 の142円64銭で引けた。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の318回債利回 りは前日比1ベーシスポイント(bp)高い0.985%で開始。午前は同水 準で推移したが、午後の開始後に1.5bp高い0.99%と2日ぶりの高水 準を付けた。午後2時半前後から再び0.985%で推移。5年物の99回 債利回りは一時1.5bp高い0.35%と4日ぶりの高い水準を付けた。一 方、超長期債は堅調。20年物の130回債利回りは1bp低い1.695%。 30年物の35回債利回りは1bp低い1.90%。

金融政策据え置き

日銀は7日、同日開いた金融政策決定会合で、金融政策について 全員一致で現状維持を決めた。被災地金融機関を支援する資金供給オ ペの受付期限を6カ月延長し、2012年4月末とすることも決定した。 トヨタアセットの浜崎氏は「市場予想通り。国内的に金融緩和を強化 しなければいけない状況にもない」と話した。野村証券の松沢中チー フストラテジストは「市場の大勢は、今回は政策据え置きの見方に傾 いていたので、相場への影響は小さいと思う」と説明した。

日銀の白川方明総裁は7日の定例会見で日本経済の先行きに「海 外経済をめぐる不確実性や金融資本市場の不安定な動きを考えると、 下振れリスクをより意識する必要がある」と述べた。さらに「世界経 済の不確実性の高まりを背景にグローバルな投資家がリスク回避姿勢 を強めており、円が相対的に安全な通貨と認識されて変わりやすい状 況となるなど、日本にも影響が及んでいる」との見方も示した。

朝方は米国市場動向を受けて売りが先行した。6日の米国債相場 は続落。欧州各国が債務危機解決に向けた取り組みを強めているとの 観測から米国債の需要が後退。米10年債利回りは10bp上昇の1.99% 程度。一方、米株相場は続伸し、S&P500種株価指数は1.8%高。

ECBと英中銀が危機対策再開

ECBは域内ソブリン債危機で動揺する市場を支えるため、カバ ード債の購入と市中銀行への期間1年以上の融資の再開を発表。イン グランド銀行(英中央銀行)が英国でのリセッション(景気後退)再 発を防止するため、資産買い取りプログラムの規模を3割強拡大し、 2750億ポンド(約33兆円)にすることを決めた。

もっとも、流動性を供給しても欧州問題は銀行への資本注入など が実現するまで不安は払しょくされないとの見方がある。JPモルガ ン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、「欧州債務問 題の行方はまだ微妙な感じで、今後の動向を見極めたい」と指摘した。

日本時間今晩に9月の米国雇用統計が発表される。ブルームバー グがまとめたエコノミスト調査によれば、9月の非農業部門の雇用者 数は前月比5万5000人増加の予想。失業率は9.1%と横ばいの見通し。

米雇用関連は足元で強めの統計が相次いでいる。オートマティッ ク・データ・プロセッシング(ADP)エンプロイヤー・サービシズ によると、9月の米民間部門雇用者数は前月比9.1万人増と、予想7.5 万人増から上振れ。また、先週の新規失業保険申請件数(季節調整済 み)は6000件増の40.1万件と予想(41万件)を下回った。

野村証の松沢氏は、いずれも米雇用統計の上振れを示唆するとし ながらも、一方で非製造業ISM(米供給管理協会)雇用指数など弱 い周辺統計もあるとして、今回の雇用統計については「実際に見るま で、市場はポジション(持ち高)を傾けられないだろう」と言う。