ECBと英中銀が危機対策再開、二番底回避で世界の中銀が対応拡大

欧州の主要中央銀行が危機対応モー ドに戻ったことで、景気と金融市場を支援する世界の金融当局の取り 組みが一段と拡大した。これと対照的に各国政府は機動的対応を取れ ないでいる。

欧州中央銀行(ECB)は6日にベルリンで政策委員会を開催し た後、域内ソブリン債危機で動揺する市場を支えるため、カバード債 の購入と市中銀行への期間1年以上の融資の再開を発表した。ロンド ンではイングランド銀行(英中央銀行)が英国でのリセッション(景 気後退)再発を防止するため、資産買い取りプログラムの規模を3割 強拡大し、2750億ポンド(約33兆円)にすることを決めた。

世界の中銀がインフレ抑制スタンスを弱め、金融システムの流動 性維持を図るプログラムを再開しているのは、経済成長の落ち込みが 本格的な景気収縮に転化しないよう対策を急いでいるためだ。米連邦 準備制度理事会(FRB)は2カ月連続で金融緩和策を拡大。マレー シアと韓国の中銀は物価上昇の抑制よりも成長の維持を重視し、利上 げを見送っている。

スタンダードチャータード銀行のチーフエコノミスト、ジェラー ド・ライオンズ氏は、「世界の中銀に最近、変化があった。欧米諸国で は金融緩和に傾いている。新興市場では引き締めを見送り、必要に応 じて緩和の選択肢を備えている」と指摘。欧米諸国においては、財政・ 金融政策という「戸棚の中にはほとんど何も残っていない。このため、 中銀には一段の力仕事を求める圧力がかかっている」と述べた。

追加緩和も

政策金利を先進国で最高水準としているオーストラリア準備銀行 は今月4日、インフレ圧力の緩和に伴い必要に応じて金利を引き下げ る余地があるとの見解を示した。トルコとロシアは今週、外貨準備の 売却を一段と進めた。ブラジルは8月31日に政策金利を予想外に12% に引き下げた後も緩やかな利下げを進める方針だと、金融政策に詳し い政府当局者が今週、匿名を条件に明らかにしている。

FRBは先月、保有する4000億ドル相当の短期の国債を期間が長 めの国債に入れ替える「オペレーション・ツイスト(ツイストオペ)」 を発表。8月には事実上のゼロ政策金利の継続期間について、従来の 「長期にわたり」という表現を変更して「少なくとも2013年半ばまで」 とし、より具体的に時間軸を示した。

さらなる緩和策が近く行われる可能性もある。JPモルガン・チ ェースのエコノミストらは先週、先進国の金利が国内総生産(GDP) で加重平均したベースで0.80%から年末までには0.62%に低下すると 予想した。新興市場国では5.93%から5.80%に下がるという。

リーガル・アンド・ゼネラル・インベストメント・マネジメント (ロンドン)のグローバルエコノミスト、ティム・ドレイソン氏は「追 加措置が講じられるだろう」と述べ、「FRBには量的緩和第3弾(Q E3)の余地が明らかに広がっており、ECBは利下げ可能だ」と指 摘した。

ECBによる政策金利の据え置き決定を受け、外国為替市場では ユーロが反発し、ニューヨーク時間午後5時(日本時間7日午前6時) 時点で0.7%高の1ユーロ=1.3437ドルに上昇した。ポンドは0.1%安 の1ポンド=1.5445ドル。