ECB:カバード債購入を再開、長期の資金供給へ-危機に対応

欧州中央銀行(ECB)はカバー ド債の購入と期間1年以上の長期資金の供給を再開する。トリシェ総 裁が自身にとって最後の定例政策委員会後の記者会見で発表した。ソ ブリン債危機が短期金融市場を脅かす中で、ECBとしての危機対応 を打ち出した。

トリシェ総裁はベルリンでの会見で、ECBが400億ユーロ(約 4兆1000億円)相当のカバード債の購入を11月から開始することを 明らかにした。2回の流動性オペによって期間12カ月と13カ月の資 金を無制限に供給することも発表した。ECBはこの日、政策金利を

1.5%で据え置いた。トリシェ総裁は定例のリファイナンスオペでの無 制限供給を少なくとも2012年7月まで継続することも明らかにした。

債務危機は欧州をリセッション(景気後退)に押し戻そうとして いるが、ECBは今年実施した2回の利上げを打ち消す方向への転換 をためらい、今までに利用した措置によって金融市場を沈静化させる 道を選んだ。

トリシェ総裁は8年間の任期を10月31日をもって満了し、イタ リア中銀のドラギ総裁が11月から新ECB総裁となる。トリシェ総裁 の最後の決定は、欧州統合の象徴として同総裁が守り育ててきたユー ロの将来にとって最も重大な決断の一つと言えるだろう。

コメルツ銀行の債券戦略責任者、クリストフ・リーガー氏(フラ ンクフルト在勤)は「ECBにとっての問題は、同中銀が行動すれば その分、各国政府が行動しなくなることだ。ECBは利下げをするだ ろうが、12月まではないだろう」と話した。

「強い下振れリスク」

トリシェ総裁は、9月に3%に上昇したインフレ率は今年いっぱ いECBが上限と見なす2%を上回って推移し、2012年に入って低下 し始めるとの見通しを示した。景気については「金融市場で続いてい る緊張と資金調達環境への望ましくない影響が、7-12月(下期)の ユーロ圏の経済成長ペースを鈍らせる公算が大きい」と分析した。景 気見通しには「強い下振れリスクがある」ものの、金利は低いとの認 識を示した。

この日の政策委員会で利下げの議論も出たことを明らかにし、「利 下げの利点と問題点について協議した」結果、「総意によって据え置 きを決めた」と説明した。

ギリシャがデフォルト(債務不履行)の縁に立ち欧州の銀行が被 り得る損失への投資家不安が高まる中で、ECBは一段の刺激策を打 ち出すことを求められている。既に6カ月物資金供給を再開したほか、 9月には米連邦準備制度理事会(FRB)との協調によるドル資金供 給オペも発表した。

トリシェ総裁によると、12カ月物資金入札を今月、13カ月物の オペを12月に実施する。前回の12カ月物供給は2009年末。1年物 資金供給は金融危機時に起きた銀行間貸し渋りへの対策として導入さ れた。

ECBは昨年6月までの1年間のプログラムで、カバード債600 億ユーロ相当を購入している。銀行の資産の流動性を高め融資を促す ことが目的だった。今回の購入は発行市場と流通市場の双方で行うと いう。11月に開始し2012年10月末までに完了する計画だとトリシ ェ総裁は述べた。

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