今日の国内市況:株式は反発、債券先物2週ぶり高値-ユーロ売り圧力

東京株式相場は5営業日ぶりに反 発。欧州債務問題への懸念が和らいだ上、米国の雇用関連指標の改善 も好感され、半導体など輸出関連、非鉄金属など素材・資源関連中心 に買われた。アナリストの強気評価も追い風となった住友電気工業は 急反発し、非鉄金属は東証1部の業種別上昇率首位。

TOPIXの終値は前日比10.61ポイント(1.5%)高の736.86、 日経平均株価は139円4銭(1.7%)高の8522円2銭。

5日の欧州株市場では、不良資産の受け皿となる「バッドバンク」 設立計画が好感され、ベルギーとフランス両政府が出資する金融機関 デクシアは5営業日ぶりに反発。仏銀行大手のBNPパリバやイタリ ア、ドイツの大手銀行も急伸し、これらの影響で欧米株式は上昇した。

また、給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プ ロセッシング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが5日に発表し た集計調査によると、9月の米民間部門の雇用者数は前月比で9万 1000人増加。ブルームバーグがまとめたエコノミストの予想中央値 (7万5000人増)を上回った。9月の米供給管理協会(ISM)非製 造業総合景況指数は53と、ブルームバーグがまとめたエコノミスト予 想中央値(52.8)よりやや高い水準。

欧州問題と景気への不安が後退し、日本株は景気敏感業種を中心 に終始買いが先行。輸出関連の中では、東京エレクトロンやエルピー ダメモリ、SUMCO、ディスコなど半導体関連株の上げが顕著だっ た。きのうの米市場では、半導体の設計や製造の主要企業で構成され るフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が3.1%高と大幅高。

6日午前に米アップルのスティーブ・ジョブズ前最高経営責任者 の死去が伝えられたが、アップルの経営戦略に与える短期的な影響は 大きくないと受け取られ、きょうの日本株への影響は限定的だった。

業種別では非鉄金属、石油・石炭製品、鉱業など資源関連の上げ も顕著で、これらが東証1部の業種別上昇率上位に並び、商社株も堅 調。欧米不安の後退、米原油在庫の予想外の減少などを手掛かりに、 きのうのニューヨーク原油先物11月限は前日比5.3%高の1バレル=

79.68ドルと、4日ぶりに急反発。銅も上昇するなど堅調な国際商品 市況が好感された。

上昇率1位の非鉄については、課徴金リスクを織り込むも株価は 下げ過ぎとメリルリンチ日本証券が指摘した住友電気工業が反発。S MBC日興証券が新規に調査を開始し、高機能携帯電話(スマートフ ォン)など向けの電磁波シールドフィルムが7-9月以降の業績を大 幅に成長させる可能性が高いとしたタツタ電線も急伸した。

東証1部の売買高は概算で16億2811万株、売買代金は同1兆611 億円。きょうの欧州中央銀行(ECB)定例政策委員会を控え午後は 様子見ムードも強く、売買代金は9月21日以来の低水準だった。値上 がり銘柄数は1321、値下がりは251。

債券先物、一時2週間ぶり高値

債券市場で先物相場が一時、2週間ぶり高値圏に達した。朝方は 前日の米国市場で株高・債券安となった流れを引き継いで売りが先行 した。しかし、その後は、今年度下期入り後で投資家需要が強いこと から徐々に買いが優勢となった。

東京先物市場で中心限月12月物は、取引開始後にこの日の安値 142円62銭まで下げたが、その後は徐々に水準を切り上げ、午後の開 始後には上昇に転じた。一時は前日比15銭高い142円88銭と、9月 22日以来の高値を記録。終了にかけて伸び悩み、結局は横ばいの142 円73銭で引けた。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の318回債利回 りは前日比0.5ベーシスポイント(bp)高い0.975%で開始。しばらく 同水準では推移したが、午後に入ると水準を切り下げ、2時過ぎに

0.5bp低い0.965%に下げ、9月22日に付けた今年最低水準に並んだ。 午後3時過ぎからは0.97-0.975%で推移している。

財務省がこの日実施した流動性供給入札(発行額3000億円)の結 果によると、募入最大利回り較差がプラス0.005%、募入平均利回り 較差がプラス0.001%となった。需要の強さを示す応札倍率は3.36倍 と、7月11日入札以来の高い水準となった。

ユーロに売り圧力

東京外国為替市場では、ユーロ売り圧力がくすぶった。欧州内銀 行の資本強化に向けた協調行動への期待感を背景とした欧米株の上昇 でリスク回避の動きが一服した一方、欧州債務問題の長期化で域内景 気の先行き不透明感が深まる中、欧州中央銀行(ECB)の政策対応 への警戒感から一段のユーロ買いには慎重な姿勢が残った。

ユーロ・円相場は1ユーロ=102円61銭を上値に伸び悩みとなり、 正午過ぎには102円22銭まで水準を切り下げた。午後の取引も102 円台前半で推移し、午後3時45分現在は102円45銭付近で取引され ている。ユーロ・ドル相場も上値が1ユーロ=1.3375ドルにとどまり、 一時は1.3321ドルまで下押された。

一方、前日の海外市場で一時1ドル=77円07銭と、2営業日ぶ りの水準まで円安が進む場面も見られたドル・円相場は、ユーロ主導 の相場展開の中、76円台後半で方向感に乏しい取引となった。ドルの 上値は76円83銭、下値が76円70銭で、値幅は13銭にとどまった。

ドイツのメルケル首相は5日、欧州連合(EU)の欧州委員会の バローゾ委員長との会談後、記者団に対し、銀行の資本強化への協調 的な取り組みの可能性について、そのような措置が必要であればドイ ツは加わる用意があると言明。また、そのような資本強化が必要かど うかを判断する客観的かつ統一された基準を確立するため、ユーロ圏 が独立機関に諮問することを呼び掛けた。

この日はECBが定例政策委員会を開く。ブルームバーグ・ニュ ースがまとめた事前調査によると、調査対象のエコノミスト52人の大 半は主要政策金利が現行の1.5%で据え置かれると予想。5人が

1.25%、6人が1%に引き下げると見込んでいる。

5日に発表されたユーロ圏の8月の小売売上高指数は前月比

0.3%低下と、3カ月ぶりにマイナスに転じた。9月の域内総合景気指 数は49.1に下方修正され、8月の50.7から低下。活動の縮小を示唆 している。ただ、前週末に発表されたユーロ圏の9月の消費者物価指 数速報値は、前年同月比で3%の上昇と、2008年10月以来、最大の 伸びとなっており、ECBの利下げ観測が後退している中で、政策の 手詰まり感も指摘されている。