S&Pに圧力か、最上級付与に「腰抜け」と社内で批判も-豪裁判所

米格付け会社スタンダード・アン ド・プアーズ(S&P)が訴えられたオーストラリアでの裁判で、原 告側はS&Pが投資証券を販売する銀行の圧力に屈し、負け続けてい るギャンブラーが倍賭けするような商品に最上級格付けしたと主張し た。

2008年の世界的な金融危機時に価値が急落した証券の販売をめ ぐり、S&PはABNアムロ銀行と英銀ロイヤル・バンク・オブ・ス コットランド(RBS)の豪部門と共に自治体から提訴された。

裁判所が電子メールで公表した原告側の冒頭陳述によれば、S& Pでこの証券向けの内部モデルを準備していたセバスチャン・ビーナ ス氏は、格付け担当アナリスト、デレク・ディン氏に対し「バンカー の前で意見を曲げるなんて君は腰抜けだ」と述べた。「本当は『A-』 (Aマイナス)なのに、『AAA』(トリプルA)を付与したのではな いか」とも尋ねたという。

豪州の10以上の自治体が、「コミュニティー・インカム・コン スタント・プロポーション・デッド・オブリゲーション・ノーツ(C PDO)」に投資した1600万豪ドル(現在の為替レートで約12億円) で1500万豪ドルの損失を被ったと主張。裁判所資料によれば、信用 スプレッドが拡大し続け、この証券の金銭的価値がなくなったとして 自治体の購入後、2年を経ずして同証券は事実上清算されたという。

米コロンビア大学のラマ・コント教授は「CPDOの戦略はギャ ンブラーが負けているときに勝つまで賭けを倍にする倍賭け戦略を洗 練させたもののように見えるかもしれない。持ち金が限られるギャン ブラーは結局勝つ前に資金が枯渇し、全てを失うことになる可能性が ある」との意見を示したという。

S&Pの反論

冒頭陳述によれば、S&Pのビーナス氏はまた、格付けは自身が 決めたものではなく、「私には責任はない。ただ内部モデルを作るの を手伝っただけだ」と語ったという。

S&Pは5日、ブルームバーグ・ニュースの取材に対し電子メー ルでコメントを寄せ、問題の証券にAAA格付けを付与するよう銀行 から圧力受けていたとの見方を否定。「自治体側は文脈から外れたや り取りを指摘することで、訴訟における弱みを隠そうとしている。当 社は自社の格付けプロセスに従って独自の分析を行った」と説明した。

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