トリシェ総裁が握る「欧州の運命」-きょうの最後の会合で利下げも

【記者:Jana Randow and Gabi Thesing】

10月6日(ブルームバーグ):欧州中央銀行(ECB)のトリシェ 総裁は、8年の任期を締めくくる最後の数週間を迎えている。しかし、 今後語り継がれるトリシェ総裁の業績には、さらに書き換えられる余 地が残っている。

トリシェ総裁は6日、ベルリンで最後の金融政策決定会合に臨む。 エコノミストらによれば、イタリア銀行(中央銀行)のドラギ総裁が 11月1日にECBの総裁職を引き継ぐまで残された時間は短いが、ト リシェ氏はこの間、ECBを未踏の領域にさらに踏み込ませる必要に 迫られるかもしれない。

ギリシャがデフォルト(債務不履行)の瀬戸際に追い込まれる中 で、ECBはユーロ圏の債券市場を自力もしくは欧州の救済基金の力 によって支えるため、持てる武器を無制限に投入するよう圧力を受け ている。

トリシェ総裁が欧州統合の象徴として擁護する欧州単一通貨ユー ロの存続をソブリン債危機が脅かしており、ECBには資金繰りに苦 しむ銀行へのより長期の資金供給や利下げを選択肢として検討する余 地がある。トリシェ氏が最後に関与するこの日の決定は、ユーロの将 来にとって最も重大なものの一つになる可能性がある。

INGグループのシニアエコノミスト、カールステン・ブルゼス キ氏は「今年初めの段階で、トリシェ総裁が最後の政策決定会合で火 消し役を再び担わなければならなくなると考えた人がいただろうか。 3年前のリーマン破綻後にユーロを救い、物価安定を実現した遺産を 称賛されるはずだったが、政治家と銀行を再び救済せざるを得なくな っている」と話す。

思い付く限りの手段

バークレイズ・キャピタルの欧州担当チーフエコノミスト、ジュ リアン・キャロー氏は「欧州の運命は現時点でトリシェ総裁の掌中に ある。ユーロ圏のリセッション(景気後退)が長引くようなら大惨事 になるだろう。それを防ぐために政策担当者は思い付く限りの手段を 投入する必要がある」との見方を示す。同氏は、ECBがこの日の政 策委員会で0.25ポイントの利下げを行うと予想している。

ブルームバーグ・ニュースが調査したエコノミスト52人の大半は、 ECBがこの日、主要政策金利を現行の1.5%で据え置くと予測。た だ5人が1.25%、6人が1%に引き下げると考えており、1年4カ月 ぶりに全員の予想が一致しない状況となっている。

ECBの政策決定はベルリン時間午後1時45分(日本時間同8時 45分)に発表され、その45分後にトリシェ総裁が記者会見を行う。

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