ユーロ売り圧力くすぶる、ECB会合控え慎重姿勢-ドル・円76円後半

東京外国為替市場では、ユーロ売 り圧力がくすぶった。欧州内銀行の資本強化に向けた協調行動への期 待感を背景とした欧米株の上昇でリスク回避の動きが一服した一方、 欧州債務問題の長期化で域内景気の先行き不透明感が深まる中、欧州 中央銀行(ECB)の政策対応への警戒感から一段のユーロ買いには 慎重な姿勢が残った。

ユーロ・円相場は1ユーロ=102円61銭を上値に伸び悩みとなり、 正午過ぎには102円22銭まで水準を切り下げた。午後の取引も102 円台前半で推移し、午後3時45分現在は102円45銭付近で取引され ている。ユーロ・ドル相場も上値が1ユーロ=1.3375ドルにとどまり、 一時は1.3321ドルまで下押された。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、今回の ECB会合で「金融緩和に政策のかじが切られるかどうか」が焦点に なると指摘。その上で、ECBの緩和策は基本的にユーロ売りの材料 になるが、欧州経済の下振れ懸念がある中で、景気刺激につながる緩 和策がユーロにポジティブに働く可能性もあるとして、ECBの決定 やトリシェ総裁の会見内容を見極めるまでは、「様子見で動きづらい」 と説明している。

一方、前日の海外市場で一時1ドル=77円07銭と、2営業日ぶ りの水準まで円安が進む場面も見られたドル・円相場は、ユーロ主導 の相場展開の中、76円台後半で方向感に乏しい取引となった。ドルの 上値は76円83銭、下値が76円70銭で、値幅は13銭にとどまった。

ECB見極め

ドイツのメルケル首相は5日、欧州連合(EU)の欧州委員会の バローゾ委員長との会談後、記者団に対し、銀行の資本強化への協調 的な取り組みの可能性について、そのような措置が必要であればドイ ツは加わる用意があると言明。また、そのような資本強化が必要かど うかを判断する客観的かつ統一された基準を確立するため、ユーロ圏 が独立機関に諮問することを呼び掛けた。

前日の海外市場では楽観ムードとなり、欧米の株価が上昇。また、 米国では株価の予想変動率の指標であるシカゴ・オプション取引所(C BOE)のボラティリティ指数(VIX指数)が6営業日ぶりの水準 に低下した。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、ギリシャ支援 というよりギリシャが破綻したときの銀行の毀損(きそん)や破綻に 潜在的には焦点が移りつつあるとして、「そこに対して資本が増強され るということであれば、センチメントの改善につながってくるだろう」 と説明。不透明な部分は残るものの、「アナウンス効果で今のところは 市場が少し落ち着いている」としている。

一方、この日はECBが定例政策委員会を開く。ブルームバーグ・ ニュースがまとめた事前調査によると、調査対象のエコノミスト52 人の大半は主要政策金利が現行の1.5%で据え置かれると予想。5人 が1.25%、6人が1%に引き下げると見込んでいる。

5日に発表されたユーロ圏の8月の小売売上高指数は前月比

0.3%低下と、3カ月ぶりにマイナスに転じた。また、9月の域内総合 景気指数は49.1に下方修正され、8月の50.7から低下。活動の縮小 を示唆している。

ただ、先週末に発表されたユーロ圏の9月の消費者物価指数速報 値は、前年同月比で3%の上昇と、2008年10月以来、最大の伸びと なっており、ECBの利下げ観測が後退している中で、政策の手詰ま り感も指摘されている。

外為どっとコムのジェルベズ氏は、ユーロ圏のインフレが目標値 を上回っている上、トリシェ総裁がタカ(物価重視)派で知られてい ることもあり、利下げをすぐにやるとは考えにくいと指摘。一方、イ ンフレファイターとして知られるトリシェ総裁が、残りわずかな任期 中に、最後のECB会合で自身の方針を曲げて利下げに踏み切るとな ると、逆に欧州経済が深刻な状況にあることを裏付けかねない面もあ るとも説明している。

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