独首相:民間債権者の負担増も必要-条件付きで銀行資本強化を支持

ドイツのメルケル首相は、欧州の 救済基金は銀行救済の最後の手段としてのみ利用可能だと述べるとと もに、ギリシャ支援策の一環として民間債権者による負担増が必要に なるかもしれないとの立場を示した。

同首相は5日、ブリュッセルで欧州連合(EU)の欧州委員会の バローゾ委員長と会談。その後、記者団に語った。ギリシャ問題がフ ランスやイタリアにまで波及して両国を脅かし始めて以来、メルケル 首相が欧州債務危機での銀行の役割について明確に言及したのは初め て。ユーロ圏諸国が危機封じ込めのため銀行資本増強に取り組んでい るとの観測から、この日は金融株が上昇した。

同首相は記者団に対し、資本増強の必要性を判断するための「時 間はなくなりつつある」と発言。経営難の銀行はまず自力で資本調達 を試みる必要があり、それができなければ各国政府が支援することに なると述べた。

その上で、「ある国が自国資金を使って経営難の銀行を支援するこ とが不可能になり、それがユーロ全体の安定を脅かす状況になれば、 欧州安定金融ファシリティー(EFSF)を活用する可能性がある」 と指摘。ただ、EFSFを活用するには「常に一定の条件を満たすこ とが必要となる」と語った。

欧州諸国首脳がここにきて、銀行支援への取り組み強化やギリシ ャ救済の一環として投資家に負担増を迫る可能性を示唆しているのは、 欧州債務危機の収束を求める国際社会の圧力に加え、支援拡大に反対 する国内世論が強まっていることが背景。

「必要なら調整」

メルケル首相は、1590億ユーロ(約16兆3000億円)規模の第2 次ギリシャ救済パッケージの民間債権者の負担分について、「必要とな れば調整されるだろう」と指摘した。同パッケージはギリシャ財政に 関する国際通貨基金(IMF)などの監査報告待ちとなっている。監 査報告は来月開かれる欧州の財務相会合までに提出されることになっ ている。

同首相は、「銀行の資本は不十分という共通の評価」が示され、財 務当局が「統一基準」を策定するなら、欧州の銀行への資本注入を支 持すると言明、今月の欧州連合(EU)首脳会議でドイツは銀行支援 の可能性を討議する用意があると語った。

46銘柄で構成するブルームバーグ欧州銀行・金融サービス指数は 5日、仏クレディ・アグリコルやフランスとベルギー両政府が出資す るデクシアを中心に一時4.8%高まで上昇。クレディ・アグリコルは パリ市場で前日比9.9%高の5.17ユーロで終了。デクシアは同1.3% 高の1.02ユーロで引けた。

資本注入額

モルガン・スタンレーの試算によると、欧州の銀行には、米国の 問題資産購入計画(TARP)と同様のプログラムを通じて1400億ユ ーロ(約14兆3000億円)余りの資本を注入する必要がある。

ヒュー・ファンステーニス氏らモルガン・スタンレーのアナリス トは5日のリポートで、「当局者はますます厚いソルベンシーバッファ ーを構築することを望んでいる」とし、「欧州の中核国の銀行はリセッ ション(景気後退)に、周辺国の銀行はディプレッション(恐慌)に 備えることが必要だ」と指摘した。