TOPIXことし安値、イタリア格下げと業績警戒-金融、輸出売り

東京株式相場は4日続落し、TO PIXは日中、終値ベースでともにことしの安値を更新した。米格付 け会社によるイタリア国債の格下げで欧州債務問題への懸念が再燃し、 銀行など金融株が下落。為替の円高止まりによる業績懸念から、機械 など輸出関連株も下げた。

TOPIXの終値は前日比9.93ポイント(1.4%)安の726.25 と9月26日の水準を下回り、2009年3月13日以来、2年7カ月ぶり の安値。日経平均株価終値は73円14銭(0.9%)安の8382円98銭。

富国生命保険の山田一郎株式部長は、「欧州金融問題が落ち着くま で、投資家は保有する金融株をグローバルで外そうと考えている」と 指摘。08年秋のリーマン・ショック時も、「当初影響は軽微と見られ ていた日本の金融機関も、結局は信用収縮の影響を受けた」と話して いた。

米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは4日、 イタリア国債の格付けを「Aa2」から「A2」に3段階引き下げた。 アウトルックは「ネガティブ」としている。同国政府が慢性的な低成 長の中で、債務の削減に苦戦するとの懸念が格下げ理由だ。

ムーディーズでは別の発表資料で、最上級の「Aaa」より低い 格付けの欧州諸国が格下げとなる可能性もある、と言及。「ユーロ圏で 最強の国以外では、格付けに持続的な負の圧力に受ける可能性が大き い。従って、ムーディーズの予想では、Aaaより低い国の中で高い 格付けを保持できる国は少なくなろう」とし、他の欧州諸国にも負の 圧力がかかる見通しを示した。

今夜の欧州警戒、TOPIX震災後安値抜ける

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤戸則弘投資情報部長に よると、「イタリアは格下げ後もアウトルックをネガティブとされてお り、ユーロ圏で政府債務残高が最も多いイタリアが市場の焦点となり つつある」という。今晩の欧州では、ソブリン債を保証するイタリア のCDSスプレッドが上昇し、「信用リスク不安が高まる可能性がある」 と警戒していた。

欧州債務危機による信用リスク高まりへの警戒で、三井住友フィ ナンシャルグループなど銀行株が売られ、銀行はTOPIXの下落寄 与度でトップだった。銀行のほか、証券・商品先物取引やその他金融 も東証1部の業種別下落率上位に入り、金融株はTOPIXの下げを 主導。TOPIXは終値だけでなく、日中ベースでも一時724.77と東 日本大震災直後の3月15日に付けていた安値725.90を割り込んだ。

東京外国為替市場では、ユーロやドルが対円で軟調に推移したこ とで、円は対ユーロで102円前後、対ドルでは76円台後半で高止まり した。「為替要因だけを考えると、今月中旬からの決算発表では輸出中 心に通期業績予想が下方修正される可能性が非常に高い。TOPIX の安値更新は、こうした日本の独自要因も加わっている」と、富国生 命の山田氏は見る。シティグループ証券では、コマツや三菱重工業の 業績予想を減額、円高などを理由に会社計画の未達リスクを指摘した。

電力株も安い

また、電力株も安い。「東京電力に関する経営・財務調査委員会」 で、「届出時と実績の料金原価が過去10年で6000億円過大」と指摘さ れた東電は4日、コストダウンを徹底した結果との見解を発表した。 しかしシティグループ証券では、制度上のコストが多めに見積もられ ていることが委員会で指摘されたことを踏まえ、今後は発電所構成の 変更時の速やかな料金改定、値下げ改定時の原価精査、託送料金の引 き下げなど、電力セクターにとってネガティブな制度設定がなされる 可能性があると分析。「やや弱気」のスタンスを確認した。

きょうの日本株は、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)の報 道を受けきのうの米国株が切り返した流れから、朝方こそプラス圏で 始まったが、ユーロの下げも引き金となってその後はじり安。午後の 取引後半に下値を模索する動きとなった。「英紙報道の内容はあいまい で、具体性に乏しかった」と三菱Uモルガン証の藤戸氏。FTによる と、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会のレーン委員 は、ソブリン債危機に歯止めをかけるため、域内の協調した取り組み が必要との「共通認識が高まっている」と指摘した。

ゴールドマンはTOPIX目標下げ

このほか、ゴールドマン・サックス証券では4日、マクロ経済予 測の修正を反映し、日本の企業収益と市場見通しを下方修正。TOP IXの今後12カ月の目標水準は、これまでの950ポイントから870 ポイントへ見直した。

同証ストラテジストのキャシー松井氏は、日本は主要国で唯一、 PBR(株価純資産倍率)が世界金融危機のボトム水準0.9 倍まで低 下している国だが、「現在のリスク・シナリオは世界経済の景気後退局 面入りであり、その場合13年3月期EPS(1株利益)は前年比19% 減となり、TOPIXはバブル崩壊後の安値を更新する可能性がある」 としている。

東証1部の売買高は概算で20億6774万株、売買代金は同1兆 3080億円。値上がり銘柄数は189、値下がりは1416。