日銀は今回も追加緩和見送りか、次回実施の見方-欧州危機で緊張続く

日本銀行が6、7日開く金融政策 決定会合は現状維持との見方が強い。被災地金融機関向けの資金供給 オペの延長が表明される可能性を指摘する声もある。欧州ソブリン問 題をめぐり市場の緊張状態が続いており、今会合で追加緩和を見送っ ても今月下旬の2回目の会合で追加緩和に踏み切るとの見方が根強い。

ブルームバーグが日銀ウオッチャー14人を対象にした調査では、 2人を除き現状維持を見込んだ。東海東京証券の佐野一彦チーフスト ラテジストが資産買い入れ等基金の対象国債の残存期間を1-2年か ら1-5年に拡大する金融緩和の強化を予想。みずほ証券の上野泰也 チーフマーケットエコノミストが追加緩和の可能性は五分五分とした。

もっとも、欧州ソブリン債問題に対する不安から世界的に株価が 下落するなど、海外経済をめぐる先行き不透明感はこれまで以上に強 まっている。円の対ドル相場は引き続き最高値近辺で推移。日経平均 株価も大きく落ち込んでおり、日本企業への逆風が続いている。日銀 は今月27日の決定会合で、半年に一度の経済・物価情勢の展望(展望 リポート)を作成し、2013年度までの経済、物価見通しを公表する。

3日発表された日銀企業短期経済観測調査(短観)では、大企業・ 製造業の業況判断指数(DI)がプラス2と6月の前回調査から11 ポイントの大幅改善。3カ月先の見通しも改善を見込むなど、サプラ イチェーン(供給網)の復旧が進んだことを受けて、大企業を中心に 景況感が大きく改善した。

企業部門は「底堅い」

シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミストは「6月調査 以降、欧州ソブリン債務危機の深刻化に伴う金融市場の動揺や欧米景 気の下振れリスクの高まりといった新たな展開があったが、企業部門 を全体としてみる限り、それらが企業の業況と先行き見通し、あるい は設備投資計画に明確な影響を与えるには至っていない」と指摘。企 業部門は「今のところ底堅い」という。

野村証券の松沢中チーフストラテジストは「今後サプライチェー ン復旧の生産押上げが一巡してくる中で、海外景気減速の悪影響が出 てくることが懸念されるが、短観ではその点が十分反映されていない」 と指摘。非製造業が停滞するなど短観は強弱まちまちだったが、「日銀 はこれを即時の追加緩和実施の理由とはしにくいだろう」という。

SMBC日興証券の岩下真理チーフマーケットエコノミストは 「先月29日にドイツ議会が欧州金融安定ファシリティ(EFSF)強 化法案を可決したことにより、欧州不安の高まりがいったんは後退、 短観もマインド、事業計画に大きな崩れはなく、日銀が追加緩和をす る緊急性はない」と指摘。「あるとすれば、10月末で受付期間が終了 する被災地金融機関向けの資金供給オペの延長だろう」とみる。

第2のリーマンショックの恐れも

しかし、欧州ソブリン問題の火種がくすぶり続けており、日銀、 金融市場ともに緊張感を緩められない状況にある。信州大学経済学部 の真壁昭夫教授は「欧州ではギリシャのデフォルト(債務不履行)が 不可避な状況にある」と指摘。「展開次第では“第2のリーマンショッ ク”をもたらすことにもなりかねない」とみる。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チーフ債券ストラ テジストは「欧州債務危機は『出口』が見えない」と指摘。「危機はこ れまでと同様、おおよそ3カ月タームで間欠泉のように噴き出しては 収まり、収まったかと思うとまた噴き出すということを繰り返してい くだろう」という。

上野氏は「今回は追加緩和があってもなくても、どちらでもおか しくない」とみるが、「会合直前に市場全般の状況がある程度落ち着き を取り戻していれば、とりあえず現状維持とした上で、10月2回目の 会合で展望リポートでの景気シナリオ下方修正に対応する形で追加緩 和を行う選択肢もある」と指摘。「どちらを日銀が選ぶかは、決定会合 直前の経済金融情勢次第と言わざるを得ない」という。

展望リポート公表時に追加緩和も

岩下氏は「展望リポートでは13年度まで経済・物価見通しを発表 するが、消費者物価指数(除く生鮮食品、コアCPI)前年比は1% 未満で低迷する見通しとなる」と指摘。「10月下旬に第3次補正予算 が提出される方向にあり、日銀は展望リポートで13年度CPI見通し による時間軸の再強化、それに合わせて資産買い入れ等基金の増額を 決定すべきだ」と語る。

東短リサーチの加藤出チーフエコノミストも「日銀は展望リポー トで実質成長率とコアCPIの見通しを海外要因への懸念を主因に下 方修正するだろう」と指摘。「その際、欧米での金融不安が一段と高ま っていれば、資産買い入れ等基金の増額を中心とする追加金融緩和策 を選択するだろう」としている。 ============================================================= ◎利上げ予想時期は次の通り(敬称略)

【2013年7-9月】信州大学真壁昭夫教授

【2013年10-12月】モルガン・スタンレーMUFG証券の佐藤健裕 チーフエコノミスト、東海東京証券の佐野一彦チーフストラテジスト、 野村証券松沢中チーフストラテジスト(0.0-0.05%から0.05%へ)

【2014年1-3月以降】みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコ ノミスト、東短リサーチの加藤出チーフエコノミスト、JPモルガン 証券の菅野雅明チーフエコノミスト、BNPパリバ証券の河野龍太郎 チーフエコノミスト、クレディスイス証券の白川浩道チーフエコノミ スト、バークレイズ・キャピタル証券の森田長太郎チーフストラテジ スト

【2014年度以降】三菱UFJモルガン・スタンレー証券の石井純チー フ債券ストラテジスト、SMBC日興証券の岩下真理チーフマーケッ トエコノミスト、第一生命経済研究所の熊野英生主席エコノミスト、 シティグループ証券の村嶋帰一チーフエコノミスト ============================================================= 無担保コール翌日物金利の予想は以下の通り(敬称略50音順)

                       11   12   12   12   12   13   13   13
                      12末 3末 6末 9末 12末 3末 6末 9末
-------------------------------------------------------------
調査機関                14   14   14   14   14   14   14   14
 中央値                0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
 最高                  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25
 最低                  0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
-------------------------------------------------------------
三菱UFJ・MS 石井      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
SMBC日興証 岩下       0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
みずほ証 上野          0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東短リサーチ 加藤      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
JPモルガン証 菅野         0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
第一生命経研 熊野      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
BNPパリバ証 河野     0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
モルガン・スタンレーMUFG 佐藤  0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
東海東京証券 佐野   0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
クレディS証 白川      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
信州大 真壁            0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.25
野村証 松沢            0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05 0.05
シティG証 村嶋        0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10
バークレイズC証 森田      0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10 0.10

(注)無担保コール翌日物金利の予想の0.10%は政策金利「0.0 -0.1%」の現状維持、0.05%は「0.0-0.05%」を意味します。アン ケート回答期限は4日午前8時。「日銀サーベイ」金利予想、経済・物 価情勢、金融政策の展望コメントを5日朝に送信しました。

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