新興国株式、弱気派が強気に転じる-先進国株との比較で割安感

新興国株式のバリュエーション(株 価評価)が2009年3月以来の低水準に落ち込み、パフォーマンスで先 進国株に劣る期間が過去10年余りで最長となっていることから、1年 前には新興市場株を敬遠していた投資家が買いに転じつつある。

TCWグループのチーフグローバルストラテジスト、コマル・ス リクマー氏(ロサンゼルス在勤)は、昨年10月には新興市場株の下落 に備えたオプション購入を勧めていたが、中国のインフレが鈍化し、 ブラジルやトルコが利下げに動いたことから、現在はこうした市場の 消費関連株の買いを推奨している。HSBCプライベートバンクのア ジア投資戦略責任者、アルジュナ・マヘンドラン氏(シンガポール在 勤)は、配当利回りが4%超の中国株を買い増している。

また、ハリス・ブライベート・バンク(シカゴ)のジャック・ア ブリン最高投資責任者(CIO)は新興市場株の投資配分を従来の3% から10%に引き上げることを検討している。同氏は1年前、ブルーム バーグ・ニュースの取材に対し、新興市場株は「高くなり過ぎている」 と述べていたが、今では、バリュエーションが「現実に沿った」水準 に下がっていることを理由に、投資家は保有拡大を検討すべきだとみ ている。

バリュエーション

MSCI新興市場指数は7-9月期に23%下落。パフォーマンス でMSCI世界指数を4四半期連続で下回ったのは、ロシアがデフォ ルト(債務不履行)に陥った1998年以来。MSCI新興市場指数の株 価純資産倍率(PBR)は1.5倍と、MSCI世界指数のPBRとの 比較で2年半ぶりの割安水準となっている。ブルームバーグの集計デ ータによると、新興市場指数の過去5年間の平均PBRは2倍。

同データによれば、MSCI新興市場指数を構成する企業の第2 四半期の利益は平均で23%増加し、世界指数構成企業の7.8%増を上 回った。

TCWのスリクマー氏は9月27日の電話インタビューで、新興市 場株に「買いを入れる時機かもしれない」と指摘。「新興市場は私が米 欧について予想しているようなリセッションには陥らないだろう」と 語った。

一方、米ヘッジファンドのトラクシス・パートナーズの創設者バ ートン・ビッグス氏は、政府指導者らが欧州債務危機や米景気減速へ の打開策を見いだしていないとして、新興市場株への投資は時期尚早 との見方を示している。同氏は9月22日のブルームバーグテレビジョ ンとのインタビューで、「今のところ投資すべき対象が見当たらない」 と説明。「当局が行動し、何か策を講じれば、新興市場は素晴らしい投 資先になる。ただ、私はまだ投資する用意がない」と話した。