東電:新規社債で調達目指す、15年度以降の社債償還資金―第三者委

東日本大震災以降、債券の発行が難 しくなっている東京電力は、2015年度以降に償還を迎える社債債務の返 済に必要な資金を確保するために新規の社債発行を目指している。ただ 発行の実現には不確定要因が多いとの声が社債市場の関係者から聞かれ る。

東電の経営状況や合理化策を調査する第三者委員会「経営・財務調 査委員会」が3日に発表した報告書によると、同社は、15年度から20年 度までで2兆3752億円、16年度から20年度までで1兆9371億円の社債償 還を予定している。払い戻しに充てる資金については「新規の社債発行 による資金調達を目標としている」。同社の7月末時点の国内の未償還 残高は4兆4657億円、海外社債は1885億円という。

3月の大震災で福島第一原子力発電所が事故を起こす前の同社は、 トリプルAという優良格付けを後ろ盾に多額の資金調達を社債発行で行 ってきた。同社の社債発行額は昨年までの10年間の年平均で4520億円に 上る。ただ、事故以降は格付け会社による東電の大幅な格下げが相次い だため、金融市場からの直接的な資金調達が難しくなっている。

同社広報担当の松本直之氏は、新規の社債発行の時期について「経 営合理化による財務の向上や事故の収束などにより状況が整った後」と 述べるにとどめ、具体的な計画については言及を避けた。同社は、金融 機関から3月から4月にかけて緊急融資として2兆円を借り入れており 15年度より前に償還を迎える社債については、借入金が原資として使わ れる見込みだという。

不確定要因

野村証券の魚本敏宏チーフクレジットアナリストは、「政治的に可 変要素が多いので、現時点で15年度、16年度ごろからの社債発行の確実 性を金融市場サイドから予見することは困難」と指摘。今後のエネルギ ー政策を踏まえた電力会社のあり方に加え、電気料金の値上げや政府支 援の継続、国民の反原発感情の成り行きが、今後の東電債の発行に不確 実性を与えていると解説した。

ドイツ証券の村田昭仁クレジットアナリストは、社債の新規発行に ついて東電が「想像するのは勝手だが、まだそこまでには曲折があるの ではないかと思う」と指摘。「例えば値上げして利益出せるような、あ るいはキャッシュが回るような、特別負担金があってもとりあえず自己 資本が1円ずつでも増えるような会社になるかどうかもわからない。だ から5年後くらいには考えても良いよという言いっぱなしの話だ」と語 る。

信用コスト

既存の東電債の保証料コストは、同社の福島第一原子力発電所事故 をきっかけとした経営問題で大幅に上昇。CMAのデータによれば、6 月には法的整理も取りざたされて、5年物の東電債クレジット・デフォ ルト・スワップ(CDS)の保証コストは1000ベーシスポイント(1b p=0.01bp)以上を求められる事態に達していた。

震災前は30―40bp前後の保証コストしか求められなかった東電債 のCDS相場だが、9月には福島第一原発事故の損害補償をめぐって、 東電の債権者が負担の共有を余儀なくされるとの見方が広がると、上昇 基調を再び強めた。

日本証券業協会のデータによると、東電が10年9月に発行した10年 債の国債に対する上乗せ金利は4日時点で508bpと、発行以来、過去 最高を更新した。震災前の平均10bpに比べ東電債に対する信用リスク プレミアムは格段と上昇している。

ブルームバーグ・データによると、14年度までに1兆8531億円、15 年度までに2兆2912億円の東電・国内普通社債(外貨建て除く)が満期 を迎える。