東電の第三者委報告書:金融機関への債権放棄要請盛り込まず

東京電力の経営状況や合理化策を調 査する第三者委員会「経営・財務調査委員会」がまとめた報告書には、 金融機関に東電への債権放棄や金利減免などを求める要請が盛り込まれ なかった。会社が資金繰りの悪化に陥る前から債権者に協力を求めるの は理不尽という判断だ。

経営・財務調査委員会の下河辺和彦委員長は3日、野田佳彦首相へ 報告書を提出した後に会見し、東電が債務超過になってはいない状況で 金融機関に債権の放棄を求めることは、「法律上の理屈が通らない」と 説明した。同委員会によると、2011年3月末時点での東電の純資産は1 兆2922億円と資産超過の状態にある。

報告書では、福島第一原子力発電所事故の賠償費用は、12年度末ま でで総額4兆5402億円、福島第一原発1-4号機の廃炉費用は1兆817 億円になるとの試算も示した。

さらに、今後10年間で東電に対し2兆5455億円のコストカットを求 め、グループ全体で5万2970人(3月31日時点)いる社員のうち7400人 の人員を削減すべきだとした。すでに発表されている給与削減と人員削 減を合わせ10年間で1兆454億円のコスト削減が可能だという。

賠償に必要な費用を賄うため、東電が保有する資産や事業の売却で 3年以内に約7074億円を捻出することも求めた。会社側は5月の決算発 表時に6000億円以上の資産売却と5000億円以上のコスト削減を目指す計 画を発表しているが、同委員会は、有価証券(315件)の売却で約3301 億円、不動産(900件)で約2472億円、子会社や関連会社(46社)で1301 億円の確保が可能だと見ている。

資金不足8兆6000億円

一方で、電力料金の値上げがなく、定期検査などで停止した原発が すべて運転再開できなかった場合には、東電が8兆6000億円の資金不足 に陥るとの試算も示した。

下河辺氏は「国の産業の根幹を担う大きな電力会社。持てるリソー スを奮い起して自社のリストラと効率化にまい進してほしい」と述べ、 「特別事業計画が承認されて報告書に盛り込まれたリストラや資産売却 が実行に移されれば、機構からの資金援助に むけて大きな道筋はつく」 と話した。

東電の西沢俊夫社長は、同委員会による報告書の内容について「当 社にとって大変厳しい指摘事項が含まれているものと認識している」と のコメントを発表。特別事業計画を作成して経営の抜本的 な効率化・合 理化を進め、被害者への迅速な賠償の実施に努めるとした。

枝野幸男経済産業相は9月15日、ブルームバーグなどとのインタビ ューで、特別事業計画は「適切なものでなければ却下される」との考え を示していたが、具体的な判断条件については明言を避けた。

3日の東電の株価終値は前週末比1円安の239円。株価を前年比で比 較すると、88%安かった。

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