男のバーボン「ジム・ビーム」、甘さ売り物に女性に照準-分社化で

バーボンウイスキー「ジム・ビ ーム」を製造する米ビームは、女性をターゲットにすることを決め た。入れ墨のあるロックシンガー、キッド・ロックを広告に起用す るなど、216年にわたって男らしさを売り物にしてきたビームが、 赤ワイン入りのコニャック「クールボアジエ」や酸味のあるウオツ カ「パッカー」、低カロリーのカクテル「スキニーガール」などを売 り込んでいる。ビームはフォーチュン・ブランズから分社化され、 4日に別々の上場会社となる。

グローバル最高マーケティング責任者(CMO)のケビン・ジ ョージ氏はインタビューで、「2年前には、当社のマーケティングは 100%男性に照準を合わせていた。どんな場合でも女性向け宣伝はし て来なかった」と語る。マット・シャタック最高経営責任者(49、 CEO)は男性への売り込みを断念しているわけではない。「ビー ム・デビルズ・カット」や「メーカーズ46」など利ざやの大きい既 存ブランドを活用して業界全体を上回るペースで売り上げを伸ばす ことを目指している。「ビーム」や「ティーチャーズ・スコッチ・ウ イスキー」などの主要ブランドの国外での販売拡大も望んでいる。

ブルームバーグ・インダストリーズによると、リセッション(景 気後退)が終了した2009年6月以降、米国ではレストランやバーで のアルコール消費量が落ち込んでいるものの、家庭での消費は着実 に増えている。米蒸留酒協議会によると、アルコール飲料から市場 シェアを奪ったため蒸留酒の売上高は昨年、2.3%増の192億ドル (約1兆4800億円)となった。人々が手ごろなぜいたくを求める中、 米国人の飲酒量は今年、さらに増加する可能性がある。飲料情報グ ループ(コネティカット州)によると、販売量は1.8%伸びる見通 しだ。

偶然の産物

株主のウィリアム・アックマン氏が変化を要求したことを受け、 酒類や家庭用品、ゴルフ用品の製造を手掛けるフォーチュン・ブラ ンズは昨年、酒類に注力することを決めた。ゴルフ部門のタイトリ ストを今年、12億3000万ドルで売却し、ビームとフォーチュン・ ブランズ・ホーム・アンド・セキュリティーはニューヨーク証券取 引所で別々に取引される予定だ。

女性に重点を置く戦略のきっかけはほとんど偶然に生まれた。 09年にブラックチェリー入りのジム・ビームを発売した。マーケテ ィング担当者は「レッド・スタッグ」という男性的な名前を付け、 キッド・ロックのサインを入れて売り出した。ふたを開けてみると、 甘みのあるこの飲料の売り上げは、通常、女性がバーボンを購入す る場合の約3倍に上ることが分かった。

ビームがさらに調査を進めた結果、「女友達のつながり」が鍵に なっていることが明らかになった。ジョージCMO(44)は「女性 は女友達と一緒の時や多くの人が集まる場所で酒類をたしなむ傾向 がある」と指摘。「われわれは、女性がワインや蒸留酒を飲む感情的 な理由を理解したかった」と述べた。