ドルと円が上昇、世界景気懸念でリスク回避-ユーロは1月来の安値

東京外国為替市場ではドルと円が 上昇。欧州債務問題や世界景気の先行き懸念を背景に世界的に株価が 下落するなか、リスク回避の動きから逃避通貨とされるドルや円に買 い圧力がかかった。

一方、ユーロ圏財務相会合を控えて、ユーロは下落。対ドルでは 1月以来の安値を更新し、対円では1週間ぶり安値を付けた。

バンク・オブ・アメリカ-メリルリンチの藤井知子シニアFXス トラテジストは、世界景気について「頼みの綱の中国も不透明感があ るし、米国も非常に危うい」と指摘。「欧州危機も銀行システムが絡ん でいるので、軽く見るべきではないし、思わぬ世界景気へのリスクに なる可能性もある。暗い話ばかりで明るい話はあまりない」と語った。

ドル・円相場はユーロや他通貨に対するドル買いと円買いが交錯 し、早朝に9月15日以来のドル高値となる1ドル=77円27銭を付け た後、76円割れの水準まで反落。その後再び77円台に乗せたが欧州 市場に向けては76円78銭まで値を切り下げた。

日本銀行はこの日企業短期経済観測調査(日銀短観、9月調査) を発表したが、予想範囲内の結果で、円相場への影響は限定的だった。

リスク回避

3日の東京株式相場は大幅続落。前週末発表されたドイツや中国 の経済指標が低調で、景気敏感株などが売られた。アジア株も下落。 前週末の米国株は大幅反落し、S&P500種株価指数は四半期ベース で2008年以来で最大の値下がりとなった。

ドルは対ユーロで1ユーロ=1.33ドル後半で先週末を終えた後、 週明け早朝の取引で1月18日以来の水準となる1.3322ドルまで上昇。 その後1.33ドル後半へ伸び悩む場面も見られたが、午後には1.3314 ドルまで値を切り上げ、約8カ月ぶり高値を更新した。

ユーロ・円相場も1ユーロ=103円前半から一時、102円32銭ま でユーロ安・円高が進んだ。

上田ハーローのシニアアナリスト、山内俊哉氏は、先進国の景気 鈍化と同時に新興国の景気も悪化しており、お金の動きとしては「新 興国からドルへ」という形になっていると指摘。今週は米雇用統計の ほか、欧州連合(EU)の財務相会合や欧州中央銀行(ECB)の金 融政策決定会合を控えて、今のところは欧州もまだまだ不確実な部分 が残るとし、株価の上昇も見込めず、「どちらかというとまだドル買い の流れが強い」と話していた。

ブルームバーグ・データによると、ドルと円はほとんどの主要通 貨に対して前週末の終値比で上昇。投資家のリスク回避姿勢が強まる なか、資源国通貨や新興国通貨は売りが優勢となった。

米指標、EU財務相会合に注目

ブルームバーグがまとめたエコノミスト調査によると、米供給管 理協会(ISM)が3日発表する9月の製造業景況指数は50.3と約2 年ぶりの低水準になるとみられている。8月は50.6だった。

今週はそのほかにもISM非製造業景況指数やADP雇用統計、 雇用統計と重要な経済指標の発表が相次ぐ。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、世界景気の先行き不透明感が強まるなか、リスク回避 による「悪いドル高が続く可能性が高い」とし、「指標が悪いとむしろ ドルが余計底堅くなってしまうという矛盾を抱えながらという感じに なる」とみている。

一方、欧州では3、4日にユーロ圏とEUの財務相会合が開かれ る。唐鎌氏は「来週のG20(20カ国・地域財務相・中央銀行総裁会議) までにEFSF(欧州金融安定ファシリティー)の機能拡充と金額の 拡充で合意を得られるかどうかだ」とした上で、EFSF拡充でとり あえずまとまれば、「相当ショート(売り持ち)があるので、ユーロが 急騰する可能性はあるが、それを基調変化ととらえないようにしたい」 と話した。

ECBの金融政策

ECBの政策委員会メンバー、フランス銀行(中央銀行)のノワ イエ総裁は3日、EFSFの能力増強のために「借入金」を活用する 構想を受け入れる用意があることを明らかにした。総裁はまた、EC Bにソブリン債の買い取り継続を求めるマンデート(責務)には「極 めて大きな限界」があり、切実に求められるユーロ圏の「流動性の安 全装置」は各国政府が用意する必要があると訴えた。

一方、6日にはECBの政策委員会が開かれる。欧州債務危機の 影響で域内景気の先行き不透明感が強まるなか、市場の一部では利下 げ期待も浮上していたが、前週末発表されたユーロ圏の9月のインフ レ率は前年同月比3%上昇と約3年ぶりの高水準となり、ECBが政 策の目安とする2%弱を大きく上回った。

バンク・オブ・アメリカ-メリルリンチの藤井氏は「ECBは利 下げするかと思ったが、インフレが急に跳ね上がったので今回はでき なくなりそうだ」と言い、「金融緩和は普通、通貨安要因だが、金融セ クターにとっては利下げは歓迎されただろうし、そう考えると複雑。 利下げが少し後ずれするからといってユーロは買えない」と指摘した。