債券は反発、株安や中期ゾーンの買いで-あす10年入札控え上値重い

債券相場は反発。前週末の米国市 場で景気減速懸念が強まり、株安・債券高となった流れを継続し、国 内株価が下落したことを受けて、先物や中期債を中心に買いが優勢と なった。もっとも、10年国債入札をあすに控えており、長期ゾーンを 中心に相場の上値は重くなった。

ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、相場が反発し たことについて、「株安となったほか、5年債には都銀などから買いが 入ったのではないか」と説明した。ただ、「あすの10年債入札を控え て積極的な買いは手控えられている。今週はイベントが多く、本格的 に投資家が動くのは来週以降とみている」とも語った。

東京先物市場で中心限月12月物は反発。前週末比1銭高の142 円24銭で始まり、いったんはこの日の高値142円33銭まで上昇。直 後から売りが優勢になり、午前9時半前には1銭安まで下げた。その 後は日経平均株価の下落などが支えとなって、142円20銭台を中心に 底堅く推移し、結局は4銭高の142円27銭で終了。日中の値幅は11 銭にとどまった。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の317回債利回 りは前週末比0.5ベーシスポイント(bp)高い1.025%で開始。前週 末に付けた約1カ月ぶり高水準に並んだ。もっとも、さらに売り込む 動きは見られず、その後は1.02-1.025%と狭い値幅での推移が続い ている。

5年債などに買い

中期債が堅調。5年物の99回債利回りは同1.5bp低い0.355%に 低下。前週末には0.375%と新発5年債利回りとして約2カ月ぶりの 高水準を付けており、買いが入った。UBS証券の伊藤篤シニア債券 ストラテジストは、「これまで売られ過ぎとなっていたため、水準感か ら買いが入っている」と話した。また、2年物の309回債利回りは同

0.5bp低い0.135%。ドイツ証の山下氏は、「利益確定売りを出しても、 債券残高を落としたくないだろう」と言う。

前週末の米国債相場は上昇。欧州のソブリン債危機や米景気の低 迷が世界経済の回復に重荷になるとの懸念が高まったことが背景。米 商務省が発表した統計で、8月は個人消費支出の伸びが減速したこと が示された。米10年利回りは8bp低下の1.92%程度。一方、米株式 相場は大幅反落となった。

こうした中、日銀が朝方発表した企業短期経済観測調査(短観) で大企業・製造業の業況判断指数(DI)はプラス2(前回はマイナ ス9)に改善。事前の予想調査ではプラス2が見込まれていた。農林 中金総合研究所の南武志主任研究員は、「短観はほぼ事前の市場予想通 りの結果で、特に相場の材料にはならない」との見方を示した。

一方、短観を受けた日銀金融政策について、JPモルガン証券の 菅野雅明チーフエコノミストは、「震災後の景気回復に伴う企業景況感 の回復が確認され、円高や海外景気減速の影響も限定的であったので、 日銀に対する政治的圧力低下につながることが見込まれる」と予想し ている。

あす10年債入札、クーポン1.0%か

財務省はあす4日、10年債入札を実施する。前回入札された10 年物の317回債利回りは1.02%で取引されている。このため、表面利 率(クーポン)は前回債より0.1ポイント低い1.0%が予想されてい る。1.0%で決まれば、昨年11月以来の低い水準となる。発行額は2 兆2000億円程度。

ドイツ証の山下氏は、今回の10年債入札について、「金利水準は やや物足りないが、20年対比では悪くない。地方金融機関からの需要 がどの程度あるかが焦点」と述べた。また、三菱UFJモルガン・ス タンレー証券の稲留克俊債券ストラテジストは、クーポン1.0%でも 価格が100円以下で、1.0%以上の利回り水準で入札を迎えられれば、 「期初の買い需要を喚起できる」と予想している。