【今週の債券】長期金利は1.0%中心か、根強い欧米懸念が需要を喚起

今週の債券市場で長期金利は1.0% を中心にした推移が予想されている。前週末には長期金利が約1カ月 ぶり水準まで上昇したが、欧州や米国景気の先行き懸念が根強いこと から投資家のリスク回避の運用姿勢は大きく変わらないとみられるこ とが背景。1.0%台半ばに水準が切り上がると買いが見込まれている。

三井住友海上火災保険の高野徳義氏は、長期金利について、欧州 動向や米雇用統計を見極める必要があるとしながらも、「1.05%からは 押し目買いゾーンとなるため、結果的に1%前後のもみ合いから抜け 出すほどは調整しない」と予想する。

長期金利の指標とされる新発10年国債利回りについて、ブルーム バーグ・ニュースが前週末に市場参加者4人に聞いた予想レンジは全 体で0.97%-1.08%となった。

前週の長期金利は0.9%台後半から1.0%前後に水準を切り上げ た。9月26日に日経平均株価が日中ベースで3月15日以来の安値圏 まで下げると、週間の最低となる0.975%を記録。しかし、その後は、 内外株価が上昇に転じると売りが膨らみ、週末には一時、9月5日以 来の高水準となる1.025%まで上昇。週間ベースでは4ベーシスポイ ント(bp)高い1.02%で終了した。

欧米で景気減速懸念

欧州の債務問題をめぐり、ドイツ連邦議会(下院)が29日に欧州 金融安定ファシリティー(EFSF)の拡充案を可決。同問題に関す る過度の懸念が後退して、世界的な株安・債券高に巻き戻しの動きが 広がった。しかし、ユーロ圏は9月のインフレ率が約3年ぶりの高水 準になり、欧州中央銀行(ECB)が景気を下支えするための利下げ が難しくなるとの見方が広がると、前週末には欧米の株式相場が急落 する一方、米独10年債利回りは低下した。

SMBC日興証券の野村真司チーフ債券ストラテジストは、欧州 の財政危機に起因する市場の不安心理が収束に向かう可能性は低く、 国内の金利上昇圧力を引き続き抑制するとみており、「10年債の0.95 -1.00%は売り、1.05-1.10%では買いで対応したい」と話す。また、 岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長も、欧州の債務問題 に関する懸念がいったん緩和しているとはいえ、問題解決が相当先に なるとの認識は変わっていないとした上で、「当面は1%台での買いを 探る時間帯だ」とみる。

こうした中、7日に発表される9月の米雇用統計で非農業部門雇 用者数は前月比5万人前後の増加となる通し。ドイツ証券の山下周チ ーフ金利ストラテジストは、世界的に景気が減速方向にあるのは明確 であると言い、「リスクオフ(回避)の持ち高調整による金利上昇は持 続的ではない」と予想している。

このほか、国内では3日に企業短期経済観測調査(日銀短観、9 月調査)が公表されるほか、6、7日には日銀の金融政策決定会合が 開催。米国では供給管理協会(ISM)の景況指数が発表されるなど 今週は内外で注目イベントが目白押し。

下期の投資家動向に注目

現物市場では2011年度下期入り後の投資家動向が注目されてい る。前週には中期から長期ゾーンで売りが膨らんだもようだが、下期 入りに伴って投資家の運用姿勢に変化が出るとの見方もある。みずほ インベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジストは、9月決算期 末を終えたとはいえ投資家が債券買いを急ぐ理由はないとしながらも、 「金利水準が切り上がれば押し目買いが着実に入る」とみている。

需給動向を見極める上で、4日実施の10年利付国債の価格競争入 札(10月発行)にも注目が集まる。今回の入札について、週初に相場 が大きく振れなければ新発債の表面利率(クーポン)は0.1ポイント 引き下げの1.0%と、11カ月ぶりの低い水準での発行となる。三井住 友海上火災の高野氏は、入札に備えた調整があっても一方向に売られ ることはなく、結果的に1%挟みの展開を裏付けるとみている。

市場参加者の予想レンジとコメント

9月30日夕までに集計した市場参加者の債券相場に関する今週 の予想レンジは以下の通り。

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物12月物141円90銭-142円80銭

新発10年債利回り=0.97%-1.05%

「10年債利回り1%台での買いを探る。欧州の金融危機への警戒 感が後退する中で、10月も利益確定売りでのスタートとなる可能性は ある。ただ、投資家の多くは残高積み増しの意向が強く、いずれ金利 は低下に転じるとみている。日銀の金融緩和の時間軸が中期ゾーンの 支えとなって、5年債の利回り0.4%手前では需要が膨らみそう」

◎三井住友海上火災保険の高野徳義氏

先物12月物141円70銭-142円70銭

10年国債利回り=0.98%-1.08%

「調整局面入り。リスクオフの地合いからの巻き戻しの動きの中、 投資家の買いが入る水準を探る展開となり、10年債入札では少しでも 高い利回りを確保したい意向が強まる。欧州動向や米雇用統計を見極 める必要もあるが、利回り1.05%からは押し目買いゾーンとなるため、 結果的に1%前後のもみ合いから抜け出すほどは調整しない」

◎みずほインベスターズ証券の井上明彦チーフストラテジスト

先物12月物141円70銭-142円70銭

新発10年債利回り=0.97%-1.07%

「長期金利は1.0%台前半。欧州危機への過度の懸念が緩和した ことから、内外とも行き過ぎた金利低下に修正が入っている。一方、 米独10年債利回りは2.0%付近が天井となるなど、外部環境が大きく 悪化している様子はうかがえない。5年債の0.3%台後半や10年債の

1.0%台半ばの水準で押し目買いが出てきてもおかしくない」

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物12月物141円80銭-142円80銭

10年国債利回り=0.97%-1.05%

「相場は横ばい圏か。ECBの理事会では本格的な利下げを行う のか、欧州の銀行に対する資本注入や債権購入など選択肢を取るのか 支援策を見極めたい。一方、バーナンキ米連邦準備制度理事会(FR B)議長の証言では、当面は様子見姿勢を維持して景気が一段と悪化 する場合には対策を取るという姿勢が示されそう」

--取材協力:池田祐美、船曳三郎 Editors:Hidenori Yamanaka,Masaru Aoki

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