【クレジット市場】欧州勢のサムライ債発行が急減-債務危機が響く

欧州勢によるサムライ債の発行は 7-9月(第3四半期)に減少し、約2年ぶりの低水準となった。ユ ーロ圏の当局者らがソブリン債危機封じ込めの取り組みを強化する 中で、リターンも低下した。

7月1日以降のサムライ債市場で欧州の発行体による起債はポ ーランド政府とノルウェー輸出金融公社(エクスポート・ファイナン ス)、フランスの銀行のフランス相互信用連合銀行(バンク・フェデラ ティブ・デュ・クレディ・ミュチュエル)の計820億円。前年同期に 比べ84%減で、2009年1-3月(第1四半期)以来で最も少なかっ た。ブルームバーグのデータが示している。

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのデータによる と、フランスの銀行、BNPパリバのサムライ債の先月のリターンは マイナス5.37%。英銀バークレイズ債も1.25%のマイナスだった。

欧州の発行体によるサムライ債の発行残高は3兆7000億円で、 サムライ債市場の38%を占める。債務危機がギリシャからユーロ圏 のより大きな国へと波及する状況下で、欧州勢のサムライ債は敬遠さ れている。野村証券のデータによれば、サムライ債の利回りプレミア ム(上乗せ幅)は最大で国内の社債の3倍となっていたため、今年前 半にはサムライ債の人気が高かった。

エクスポージャー

明治安田生命保険相互会社融資部の高橋俊明氏は電話インタビ ューで「今、フランス系の発行体がサムライ債を出すのは難しいだろ う」として「欧州の発行体で買えるものもある。でもそれはギリシャ、 イタリア、ポルトガルやスペインのエクスポージャーに引っかからな いところだ」と述べた。

サムライ債全体では第3四半期に0.56%のマイナス。2009年4 -6月(第2四半期)から続いていた過去最長の連続四半期ベースの 上昇が止まった。9月は0.625%のマイナスだった。BNPパリバの ほか、BOA債の5.63%のマイナスなどが響いた。BOAメリルの データが示した。

BOAの指数によると、サムライ債の国債に対するプレミアムは 第3四半期に24ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大し 123bpとなった。

ブルームバーグのデータによれば、第3四半期のサムライ債起債 高を国別に見ると最大はオーストラリア、2位は韓国だった。大和証 券キャピタル・マーケッツのシニアクレジットアナリスト、藤岡宏明 氏は「豪州や韓国という買える銘柄が一巡してしまい、投資家の持っ ている国の枠もいっぱいになりつつある」とした上で、「欧州や米国 については、投資家は様子見だ」と語った。

JPモルガン

米銀JPモルガン・チェースは2月に1111億円のサムライ債を 発行した。08年のリーマン・ブラザーズ・ホールディングス破綻以 降で初の米銀サムライ債だった。ブルームバーグのデータによれば、 769億円の5年債の円建てスワップレートへの上乗せ幅は25bpで 決まった。このスプレッドはその後、過去最大の116bpに達した。 日本証券業協会の価格が示した。

明治安田の高橋氏は、「健全な銀行もとばっちりを受けて、スプ レッドが広がっている」と指摘した。そのようなサムライ債が「出て くるのであれば、買いたい」とも述べた。

日本証券業協会のデータによると、英銀バークレイズのサムライ 債(表面利率1.29%、2015年償還)のスプレッドは9月28日に過去 最高の160.5ベーシスポイントを付けた。10年9月2日に条件が決 定した際は70bpだった。

欧州の銀行の社債を保証するクレジット・デフォルト・スワップ (CDS)のスプレッドは第3四半期に大幅上昇した。CMAによる と、欧州の銀行・保険25社の優先債のCDSスプレッドで構成する マークイットiTraxx金融指数は、123.2bp上昇の275.4bp となった。

ソシエテ

国際決済銀行(BIS)の6月の報告によれば、フランスの銀行 はギリシャの民間および公的部門向けの債権567億ドル(約4兆3750 億円)相当を保有し、国別で最大。仏銀ソシエテ・ジェネラルは格付 け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスが6月15日に同行 の格付けを引き下げ方向で見直すと発表した後、計画していたサムラ イ債の起債を延期した。

ラボバンク東京支店の田中一秀長期資金調達部長は「個別に欧州 の発行体はサムライ市場に出られると思う。ただ、ハイグレードなも のに限られる」と述べた。「マーケットの機会があれば検討したいが、 今は具体的な計画はない」と語った。