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【日本株週間展望】底固め、欧州不透明感残る-日米の経済統計注視

10月1週(3-7日)の日本株は、 底固めの動きとなりそう。欧州発の金融危機再来に対する過度な不安 心理は和らいできたが、根幹にあるギリシャのデフォルト(債務不履 行)リスクはなお抱えたままだ。重要統計の発表が相次ぐ日米経済へ の警戒も強く、日経平均株価は8000円台後半でもみ合う公算が大きい。

第一生命経済研究所の人見小奈恵副主任エコノミストは、ユーロ 圏の救済基金である欧州金融安定化基金(EFSF)の機能拡充をめ ぐり、「各国の思惑が飛び交い、欧州問題の先行きが不透明で本腰を入 れて投資判断ができない」と言う。ただ、7月以降の急落で債券利回 りなどと比較した「アセットアロケーション面で相対的に株式の割安 感は出ており、そこを拾おうという動きはある。上値は重いが、底堅 い相場」を予想している。

9月4週の日経平均は、週間で1.6%高の8700円と反発。9月は 隔週で上昇、下落を繰り返した。20カ国・地域(G20)財務相・中央 銀行総裁会合では、欧州債務問題などを念頭に世界経済が直面する課 題に協調して取り組む姿勢を確認したものの、具体的成果は乏しかっ たとし、週初の26日には8374円と終値で2年半ぶりの安値を付けた。

ただその後は、米国のガイトナー財務長官がABCテレビとのイ ンタビューで、金融危機回避に向け欧州各国に一層の努力を促すなど、 外圧で欧州も積極的に対応せざるを得ないとみられ、日本を含む世界 の株式、商品などリスク資産の価格は反転。丸紅ワシントン事務所の 今村卓所長によると、米国のエコノミスト・金融市場関係者の間では、 欧州危機の波及がなくても今後の米景気が後退に陥る可能性は3-4 割との見方が多く、「その上に欧州の危機拡大という外的ショックが生 じれば、米景気は耐えられず失速してしまう可能性が十分にある、と 懸念している」という。

EFSFの重要な担い手であるドイツの連邦議会下院は29日、基 金拡充案を賛成多数で可決した。ドイツがEFSFに提供する保証は 2110億ユーロ(約22兆円)と、従来の1230億ユーロから増え、基金 からの国債購入や銀行への資本注入、財政情勢の厳しい国への予防的 な与信枠設定の許容度が増すことになる。

ただ、基金拡充案はユーロ圏17カ国すべての承認が必要で、29 日 時点での承認国は10カ国。与党内に反対意見を持つスロバキアなどの 採決を残す。また、欧州問題の端緒であるギリシャ情勢も、欧州連合 (EU)、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の代表団 が29日から財政再建策の進展状況の査定を再開。遅れている同国への 第6回目融資の実施判断は、大詰めの局面を迎えた。欧州危機は「経 済ではなく、政治と制度設計の危機」と丸紅の今村氏は指摘している。

雇用統計、短観など内外で重要統計

第一生命経研の人見氏は、「直近のリバウンド相場で無視していた 面もあるが、あらためて実体経済の悪さで相場の上値が重くなる可能 性」に警戒感を示している。10月1週は、米国で3日に9月の供給管 理協会(ISM)の製造業景況指数や新車販売台数、7日に9月の雇 用統計など重要統計の発表が目白押し。日本でも、3日に日本銀行が 企業短期経済観測調査(短観、9月調査分)を公表する。

ブルームバーグ・データによると日銀短観は、大企業・製造業の 業況判断指数(DI)が23調査機関の予測中央値でプラス2と、前回 6月調査時のマイナス9から改善する見込み。ただ、先行きDIはプ ラス3と、回復ペースは鈍るとみられている。今回調査分の大企業・ 全産業の設備投資額はプラス4.3%で、前回のプラス4.2%から小幅な 伸びにとどまるもよう。

日本経済の厳しい現状は、倒産動向にも表れている。東日本大震 災から200日目に当たる9月26日時点で商工リサーチがまとめたデー タによると、震災関連で直接、間接的に倒産した企業数は349件、負 債総額は6344億円に上った。1995年の阪神・淡路大震災時の関連倒 産は、震災発生からの3年間累計で314件だったため、すでにこの水 準を上回る。26日には東証1部上場で、リーマン・ショックから震災 に至る局面で業況が悪化した東北地盤のマンション事業会社、サンシ ティが仙台地方裁判所に民事再生法の適用を申請、受理された。

海外勢売り・国内勢買い

日本株を需給面から見ると、売買代金シェアで約7割を握る海外 投資家の売りが続く半面、年金や企業の自社株買いの動向を反映して いるとされる信託銀行、個人など国内純投資家が買い向かう構図とな っている。東京証券取引所の公表データによると、海外勢は9月3週 まで9週連続で売り越し、この間の売越額合計は1兆8440億円に達し た。これに対し信託銀は8週連続の買い越しで、買越額は1兆780億 円。個人は売り買いを交えながら、海外勢の連続売り越し期間中に 8700億円買い越した。

ただ、国内勢は上値を買わず、いわゆる「押し目買い」の傾向が 強いため、相場水準の押し上げ役にはなり得ない。実際に日経平均は、 海外勢売りが始まった7月最終週の9833円から直近まで12%下げて いる。海外勢の売り越し規模は足元で縮小方向にあるが、運用成績の 悪化などを受けて換金売り需要も根強く、早々に買い方への転身は見 込みにくい情勢だ。

世界最大の上場ヘッジファンド会社、英マン・グループは28日、 運用資産が6月末の710億ドルから9月末までに650億ドルまで

8.5%減少するとの見通しを示し、株価が25%安と約3年ぶりの下落 率を記録した。同社最高経営責任者(CEO)のピーター・クラーク 氏 は、「ここ数カ月間の極端に高いボラティリティ(変動率)により、あ らゆる投資資産で運用環境が厳しくなっている。年内は投資意欲が引 き続き抑制されると考えている」と言う。

【市場関係者の日本株の見方】 ●ビバーチェ・キャピタル・マネジメントの三井郁男氏

欧州金融問題の小康状態から、堅調に推移しそう。市場で最も懸 念されていた欧州の足並みの乱れが、足元では一定方向に向かい出し、 最悪を織り込んできた後の株価の修正余地はある。ECB理事会を控 え、金融サポートを多少期待する週になろう。米クリスマス商戦と並 び、中国の国慶節の消費状況も注視される。米経済指標などで世界経 済のリスク要因が低下するようなら、日経平均は9000円近くまで戻す 可能性もある。

●しんきんアセットマネジメントの藤本洋主任ファンドマネジャー

10月3日の米国のISM製造業景況指数の内容次第で大きく動 くと見る。ドイツ下院でのEFSF機能拡充案の可決で、欧州の問題 はひと息ついた印象。世界経済のエンジン役である米国の景気動向に 投資家の注目は集まる。ISMの内容が大きく改善するとは期待して いないが、日本株はすでにかなり調整し、バリュエーション的にも安 く、一方的に下げることはない。経済指標の内容が良ければ、ちょっ としたことで大きく上げる可能性もある。

●東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長

1998年のロシア、2001年のアルゼンチン、08年のエクアドルの 各デフォルトでは、デフォルトまでリスク回避で米10年債利回りは低 下した。しかし、各国がデフォルトを宣言すると、リスク回避の動き は収束。最近の異常なまでの米利回りの低下を見ると、市場は最悪の 事態をかなり織り込んだとみられる。日経平均は3月15日に付けた取 引時間中の安値8227円を死守した。ここで踏みとどまれば、チャート 上でダブルボトムの底入れパターンに持ち込む芽が出てくる。日経平 均9000円割れに伴う割安感は、そろそろ修正に向かうとみている。

--取材協力:長谷川敏郎、岩本正明 Editors:Nobuyuki Akama、Shintaro Inkyo

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