今日の国内市況:日本株4日ぶり反落、債券反落-円が対ドル76円半ば

東京株式相場は、小幅ながら4日 ぶりに反落。古河電気工業が自動車用ワイヤーハーネスをめぐり、米 司法省との取引で発生する罰金を損失計上するため、電線大手など非 鉄金属株が急落した。対ユーロを中心とした円高方向への動きが嫌気 され、輸送用機器や電機など輸出関連株も安い。

TOPIXの終値は前日比1.13ポイント(0.2%)安の761.17、 日経平均株価は同94銭(0.01%)安の8700円29銭。欧州の債務、金 融システム問題や世界景気の先行きに対し、市場参加者らの評価は定 まらず、両指数は前日終値を挟んで一進一退の展開となった。

ドイツ連邦議会(下院)は29日、欧州金融安定化基金(EFSF) に国債購入や銀行への資本注入、財政難国への予防的な与信枠設定を 認める案を賛成多数で可決した。これにより、ドイツがEFSFに提 供する保証は2110億ユーロ(約22兆円)と、これまでの1230億ユー ロから増加する。

ただ、欧州不安の根底にあるギリシャの財政再建問題に対しては 懸念が強く、前日の欧米株式市場で好感されたドイツ議会の基金拡充 承認の動きは、きょうの日本株を押し上げるには至らなかった。欧州 連合(EU)と欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の3 機関はこの日、ギリシャの査定を再開する。ギリシャの首都アテネで は29日、市民が新たな賃金カットに抗議するため、3機関代表団の政 府への立ち入りを阻止する構えで、5つの省庁など政府の建物が抗議 市民によって封鎖された、などとも報じられていた。

また、国内外経済の先行き不透明感も、きょうの相場の重しとな った。経済産業省が30日朝に発表した8月の日本の鉱工業指数速報に よると、生産指数は前月比0.8%上昇したが、ブルームバーグ調査の 予想中央値1.5%上昇を下回った。

英HSBCホールディングスとマークイット・エコノミクスが30 日に発表した9月のHSBC中国製造業購買担当者指数(PMI)確 定値は49.9と、8月と変わらずだった。同指数は、50を下回ると製 造業活動の縮小を示し、3カ月連続の同水準割れは2009年以降で最長。

米国では来週に9月のISM製造業景況指数、雇用統計など重要 指標の発表を控えており、午後の取引では特に投資家の様子見姿勢は 強まった。このほか、きょうの東京外国為替市場でユーロが対円で104 円を割り込むなど、円高方向に振れた動きや、日経平均のチャート分 析上、投資家の短期的売買コストを示す25日移動平均線(8729円56 銭)が上値抵抗線となっていたことも、買い手控え要因だった。

個別では、古河電工や住友電気工業など非鉄金属が急落。古河電 工は30日朝、北米自動車部品事業の米反トラスト法違法行為に関し、 米司法省と罰金2億ドル(約154億円)の支払いなどの司法取引で合 意、特別損失を計上すると発表した。罰金が想定以上だとされ、同社 以外の大手電線株にも、今後の罰金発生による損失警戒感が広がった。

このほか東証1部売買代金上位ではトヨタ自動車や三井物産、ホ ンダ、キヤノン、東芝、東京エレクトロンなどが安い。

一方、海外情勢が見通しにくい中で、消費者金融のプロミスが制 限値幅いっぱいのストップ高となり、東証1部の上昇率1位。アイフ ルやポケットカードなどその他金融株に急騰銘柄が多かった。三井住 友フィナンシャルグループは30日、21%出資するプロミスを株式公開 買い付けで完全子会社化する方向で最終調整に入った。関係者2人が、 匿名を条件にブルームバーグに対し明らかにした。完全子会社化をめ ぐる情報は、30日付の日本経済新聞朝刊と読売新聞が先に報道。大株 主銀行との連携強化を見込む買いがセクター全般に広がった。

東証1部の売買高は概算で20億1317万株、売買代金は1兆2423 億円。値上がり銘柄数が663、値下がりは844。国内新興市場は、ジャ スダック指数が前日比0.2%高の48.69、東証マザーズ指数が同0.5% 高の402.15とともに4日続伸。

債券先物1カ月ぶり安値

債券相場は反落。ドイツ連邦議会(下院)が欧州金融安定基金(E FSF)の拡充法案を可決し、欧州債務問題に対する過度な懸念が緩 和。株高・債券安となった米国市場の流れを引き継ぎ、売りが優勢と なった。先物は約1カ月ぶり安値、長期金利は1.025%と約4週間ぶ りの高水準を付けた。

東京先物市場で12月物は反落。前日比1銭安の142円47銭で取 引を開始し、午前10時前に142円27銭まで下げた。午後には9銭安 の142円39銭まで下げ渋ったが、国内株価が一時上げに転じる中、32 銭安の142円16銭に急落。中心限月として2日以来の安値を付けた。 結局は25銭安の142円23銭で引けた。

29日の米国債相場は小幅続落。米10年債利回りは前日比1bp高 い1.99%程度となった。失業保険申請件数が予想を下回り、ドイツ連 邦議会が救済基金のEFSF拡充案を可決。欧州の金融株が上昇し、 米株式相場も上げた。S&P500種株価指数は前日比0.8%高の

1160.40。

現物債市場で長期金利の指標とされる新発10年物の317回債利回 りは横ばいの1.00%で開始。午前10時前に1ベーシスポイント(bp) 高い1.01%に上昇した。午後には1.025%と5日以来の高水準を付け、 午後3時46分時点では1.02%で推移している。5年物の99回債利回 りは午後に1.5bp高い0.375%と、新発5年債利回りとして約2カ月 ぶりの高い水準を付けた。

財務省は30日、2012年度一般会計予算の同省分の概算要求で、 国債の償還や利払いに充てる国債費について今年度当初比4.9%増の 22兆6000億円を計上したと発表した。要求総額は同4.9%増の25兆 1651億円。経済危機対応・地域活性化予備費9600億円も盛り込んだ。

円が対ドル76円半ばに上昇

東京外国為替市場では、円が対ドルで1ドル=76円台半ば付近を 中心に、前日の海外市場で付けた2週間ぶりの安値77円03銭から水 準を切り上げて推移した。ギリシャの財政再建をめぐる不透明感を背 景に欧州経済の先行き懸念が根強いことから、リスク回避に伴う円買 い圧力がくすぶった。

円は対ドルで朝方に付けた76円86銭を下値にじりじりと水準を 切り上げ、76円台半ばまで上昇。午後の取引で一時76円50銭を付け る場面も見られた。午後3時55分現在は76円67銭付近で取引されて いる。前日の海外市場では、米欧発の材料を受けてリスク回避の動き が緩和し、一時77円02銭と15日以来の水準までドル高・円安が進ん でいた。

前日の海外市場で一時1ユーロ=104円93銭と、2営業日ぶりの 水準までユーロ高・円安が進んでいたユーロ・円相場は、東京市場で 104円48銭を円の下値に103円台後半に値を戻して推移。午後には一 時103円52銭まで水準を切り上げた。

安住淳財務相は30日午前の閣議後会見で、財務省が外為市場での 介入資金の原資となる外国為替資金特別会計の借入限度枠を現行の 150兆円から15兆引き上げるなどの円高対策を明らかにした。

また、安住財務相は「70円台後半は日本経済に冷や水を浴びせ掛 けかねない水準。投機的な動きが入り、さらに円高になる流れになる ことは防がなければならない」と強調している。

ドル・円相場は8月19日に一時75円95銭と円の戦後最高値を付 け、その後9月9日に77円86銭まで円安が進んでいたが、同月22 日には76円11銭まで円が値を戻している。

欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(EC B)が派遣したいわゆるトロイカ代表団は29日にアテネ入りし、ギリ シャの財政再建策の進展状況に関する査定を再開した。

アテネでは少なくとも5つの省庁などの政府の建物が政府に抗議 する市民によって封鎖されたとの報道もあり、緊縮策の行方には不透 明感が根強い。

29日には、ドイツ連邦議会(下院)がEFSFの拡充案を可決。 これを受けて、欧州債市場では、ギリシャ国債が上昇し、他の高債務 国国債の上げをけん引した。

また、米国で29日に発表された経済指標では、4-6月の実質国 内総生産(GDP、季節調整済み、年率)確定値の上方修正や、先週 の新規失業保険申請件数(季節調整済み)の減少。米国株式相場は、 指標結果を好感して、ダウ工業株30種平均が2営業日ぶりに上昇し、 一時は上げ幅が260ドルに達した。株価の予想変動率の指標であるシ カゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティ指数(VIX 指数)は低下していた。

一方、ドイツではこの日、8月の小売売上高指数が発表されるが、 ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想では、前月比で0.5% の低下が見込まれている。

来週10月6日には、ECBの金融政策決定会合が予定されており、 市場では、ギリシャの財政再建や域内の景気動向を慎重に見極める動 きが続きそうだ。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で1ユーロ=1.3679ドルまで ユーロが上昇していたが、この日の東京市場では1.3601ドルを上値に、 一時は1.3507ドルまで下押されている。